小ディストピア3編
1
世界以外は現実!!!
あなたは現実!!
あなた以外も現実!!
でも
本当は宇宙でもがきながら残りのピザトーストを食べている
気分になっている………
ヴァーチャル世界 発売
2
"固形概念"
が値上がりします!!!
100g 500円でしたが、3月から550円に値上がりとなります。
今回、固形概念に含まれるものは
「おばさん ギャル 寿司 サイコパス」
になります。購入後レシートに記載のバーコードはライセンスとなりますので大切に保管ください。
3
―HIKOMARO―
Karte 1
日本の著名なグルメリポーターでありタレントとしても活躍する原 吉彦。56歳。
そう「彦摩呂」は朝、目が覚めるといつもとは違ったナニカを嗅覚から感じ取った。
「潮の香りがする・・・」
彦摩呂の自宅は南麻布のマンションの14階。
アガーウッドのアロマが焚かれた寝室で僅かな音量でキューバの甘いジャズを流す。
ウイスキーを軽くあおり、そのまま夢を見る隙もなく眠りに落ちる。
そんな生活の中に海を、海の中でもどこか幼いような消えてしまうような、潮の香りを感じることなどありえない。
目を開けるとそこは、神奈川県は南。
大磯市の海を贅沢に一望できる施設、
大磯ロングビーチだった。
しかしあたりを見回しても人の気配はない。
よく見ると自身の足元に様々な色と形の石で丁寧に施された立方体の箱を見つけた。
「宝石の箱、宝石箱や・・・」
義務のようにつぶやき、その箱を開ける。
中には海鮮丼が入っていた。
「これは宝石の箱、宝石箱に入った海の宝石箱や・・・・」
更にその海鮮丼の奥にキラリと光る何かが入っていたので取り出してみる。
それは四角い箱のような形をしたキラキラと光る石だった。
「箱宝石(はこぼうせき)や・・・」
「宝石の箱、宝石箱に入った海の宝石箱に入った箱宝石や・・・・・なんなん一体・・・」
宝石箱に翻弄させられている間に目の前の海が満潮によって彦摩呂の居る大磯ロングビーチを覆いつくした。
彦摩呂が異変に気付いたころ、時すでに遅し。
彦摩呂は宝石箱を抱えたまま光の届かないほどの深さまで沈んでいた。
するとなにやら怪しげな音を立てながら宝石箱がまばゆく光り始めた。
光が届いておらず周囲が見えなかったが宝石箱の光で周囲が照らされた。
そして自身に降りかかっている状況に彦摩呂は頭が真っ白になった。
なんと彦摩呂は大量の海鮮丼の中で藻掻いていたのであった。
えび、イカ、蛸、ウニ、いくら・・・新鮮な、
色とりどりの具材が彦摩呂の五感を奪う。
宝箱は抑えが効かぬほどの閃光を放っている。
「海は宝石箱だったんや・・いや、海の宝石箱は海だったんや・・・ああ・・・・」
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光と海鮮丼に柔らかく包まれ素粒子レベルに分解された彦摩呂は、海鮮丼の「宝石」の一部として今もどこかの海を漂っているという。
新しい宝石箱のピースを求めて……
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