旧正月の犯人は誰だ
2年前の旧正月。私はシンガポールにいた。
もう今となっては遠い昔な気がする豪華クルーズ船にシンガポール発着だと格安で乗船できると聞きつけ友人と一緒にシンガポールへ向かった。
シンガポールの町並みはいたるところに赤、金の装飾が溢れておりお祝いムードが最高潮に達していた。そしてモチーフは干支と「金」である。
この時はイノシシ年(向こうの豚年)だったので豚モチーフ。そしてその下にある楕円形が金のモチーフなのだ。街中のいたるところにこのモチーフがあり「金、金、金が来ますように!」と願ってる。そりゃ欲しい。お金欲しい。でも日本みたいに「みんなが仲良く暮らせますように」とかはないんかい!と心の中で突っ込んだんだけど
よくよく考えてみると中華文化圏の人たちは家族や親族との結束が固いから「みんなが仲良く」なんてデフォルトすぎて神様に祈るものでもないのかもしれない、とまた自分で突っ込んだ。
ホテルは新年だからいいところに泊まろう、と老舗フラートンホテルを選んだ。
フラートンのロビーで友人を待っていると、ざっ、ざっ、と列をなした美女たちが突然現れたのだ。
何だろう。このフォーマルな整列は。
政府の要人かVIPが来るのか???
何なら芸能人か?シンガポールの芸能人は知らんけど懐かしのディックリートかなら嬉しいから待とう。
そう思っていたら、来たのはこいつだった。
ドラゴン!
そして
「獅子」である。
なるほど。日本で言うところの宝恵駕籠ホイ!みたいなものね。
ドラを鳴らしながら舞を舞っている。
そして彼らの狙いはこちら。
天井から吊り下げられたレタスだ。
隣の中華系のおっちゃんが教えてくれる。
「獅子の好物なんだよ。
レタスをお供えすると、幸運が回って来るんだよ」
ほぉ!
レタスをジャンピングキャッチし(肩車ご苦労様です)
もっしゃ!もっしゃ!もっしゃ!
レタスを食べ散らかす獅子ww
あれ、なんならミカンまで食べてるやん!
頭を振ったり、子供の頭を噛んだり ミカンを食べたりして
散らかすだけ散らかした獅子が去って行った。
するとそこにはダイイングメッセージのように
お金のモチーフに、年号????を並べたの?それも短時間で皮を剥いたの??獅子の頭振ってる間に???
獅子の中の人、ご苦労様です!
隣に立ってたシンガポール人曰く
「この儀式はね、このホテルにとってのラッキーが降ってくるように
おまじないみたいなものよ」という。
なるほど!まさしくお正月やね。
獅子たちご一行様が帰るとホテルの美女たちが「新年快乐(新年おめでとう)」とミカンと赤いご祝儀袋的なものをくださった。
ありがとうございます。そしてポチ袋の中にはコイン形のチョコレートが
入っていた。「縁起物だからもったいなくて食べれないよね」と言った1時間後に早速食べてしまった。
味?
昔駄菓子屋で食べたチョコの味デス。
さて、せっかくシンガポールに来たのだから思いっきり観光地に行こう!とマリーナベイサンズの屋上バーに行ってみました。
登るだけで2000円くらいかかるような場所。あ、もっとだったかな。忘れたけれどヒトが手をワナワナさせて払えるくらいのギリギリのプライシングだ。素晴らしい。
高所恐怖症的にはちょっと怖いが見晴らしと雰囲気は最高だ。
そしたら、そんな究極のオシャレスポットにまで またドラゴン&獅子ご一行様が来ていた。この日でどのくらい稼ぐのだろう。何件回れるのだろうか。1回のご祝儀はいくらなんだろう...
と言いながらエレベーターホールに行くと。
またお前かっ!!!! と言いたくなるほどぐちゃぐちゃに
そして縁起メッセージが
まさしく現場に残されたダイイングメッセージのようにそこにあった。
「大吉、大利」
ああ。今は旧正月。きっと今年もシンガポールの街角には獅子とドラゴンたちのメッセージがそこらかしこにあるのだろうか。それとも自粛なのだろうか。
また落ち着いたら、楽しく行けますように。Happy Lunar New Year2o21!