
汚いサイトの,美しい二人
なぜか初noteがこのトピックというのが微妙すぎるのだけど
つい先日、ちょっとココロがあたたかくなったので書きとめようと思う。
コロナ前まではゲストハウスにはワーキングホリディビザを使って
働いてくれていた外国からのスタッフがいた。
今回お話するアンドレは2ヶ月滞在したフランス人で日本人より日本の国宝について詳しい国宝オタク。ラグビーW杯で日本チームのキャプテンを務めていたリーチマイケル様から全てのたくましさを奪ったような感じの男子だ。
日本語は結構上手だけれど 典型的に”喋りたい気持ちが先に立ってしまい
文法をすっ飛ばして独自の日本語能力をあみだした"弾丸トーカーだ。
彼の話すことは8割理解できるが、全然何言っているかわからない時もあるレベル。しかしあれだけ話せるのは素晴らしいと思うほど独自の日本語を操る”コミュニケーションの鬼”だ。
「社長ぉぉぉ、僕ねえ、彼氏ができましたあ♬ 姫路に連れて行きますねー」
超ゴキゲンなLineがきた。
ちなみに「社長」というのは私のことだ。バリバリの個人事業主で社員ゼロ、スタッフはバイトだけという超マイクロビジネスであるが彼はワザと私のことを社長と呼ぶ。
さて添付された写真を開くと,サイコーに感じのいい20代イケメン。溢れ出るラブラブオーラが目に痛い。何だこれ。
「イケメンの上に性格良さそうで、ちょっとアンタ羨ましすぎるぞ」
と正直に答えると
「ソォオオオオでしょー。うふ。かっこよくて、優しいでぇす。うふうふ」
とハートがビュンビュン飛んだスタンプを送って来た。最高にうざい。
そして昨日、ゲストハウスに現れたアンドレは少しシャイで見た目通り性格の良いハンサムボーイ・黄くん(仮名)を連れて来た。
なんなんだ。美少年と野獣ではないか。
なんなんだ。そんなにイチャイチャするのはやめてくれないか。
聞くと黄くんは台湾出身だそうで、魯肉飯を作ろうか?と提案したらベジタリアンだった。慌ててレトルトお赤飯をレンチンする。「ほら、二人のお祝いだからさ」と辛い言い訳をする。「美味しいデスねえ」とお調子者のアンドレが喜んでくれる。
ふと、目をやるとアンドレが黄くんに「ちゃんと食べないと。食事を出してくれた人へのマナーだからね」と中途半端に残った赤飯を見ながら優しくいなしたり、アンドレが何かをこぼすと黄くんがそそと拭いたりと終始お互い労わりあっている。ゆっくりな日本語で。
二人とも同じ大学に通っているクラスメイトなのだが、黄くんの日本語能力は高くないため ゆっくりゆっくり会話が進む。
何かを察したアンドレが私の方を向いた。
「ワタシタチの愛の言葉は、日本語デスyo」
とにっこりする。
「彼は英語もっとヘタデス。だから二人の会話全部日本語ネ。言葉足りないケド、イッショケンメイ 伝えますカラ、タノシです。コロナがあって学校なくなったデスけど、町のヒト助けてクレタ、彼にもアエタ、、彼と一緒にご飯ツクル楽シィ、リサイクルショップ行くの楽シィ、毎日のチイサイ、チイサイこと、楽しね!」
何をするときも一緒らしくあまりにも幸せそうな彼らを見ていると微笑ましい。本当に良かったねえ...1年前に訪ねてきてくれた時はパートナーがいないと落ち込んでいたのにね、というと
「社長ぉーのヒトコトのオカゲデス」という。
すっかり忘れていた。
どうも傷心で1年前に遊びにきてくれた時、彼は私に自分がゲイだということを告白してきた。私は前からそうかもねと思ってたので「そうだろなと思ってたから驚かないよ。」とあまりにもあっさりしていたのでとても安心したのか、色々自分の恋話をしてくれた。
ゲストハウスの外にあるソファで携帯であるアプリを開けた。
「僕、このマッチングアプリを使ってるんですけどォ、いい人イナイ。。。カラダもココロもあう人生一緒のする人が見つかりマセン.....」
悲しい顔をして見せてくれた彼ら専門アプリは、プロフィールの2枚目の写真へスワイプすると、ほぼ全員が全裸かイチモツのアップを載せており、ギョッ!としてしまった。まあ、よくよく考えれば本来の男性の身体的な欲求としては、ああ、そうかと合点がいった。(が、アプリは3人目くらいでお腹いっぱいになり閉じたw)
というか、ここまで肉体に寄った写真ばかり載せているのに、これでココロを探す・・・のか。んだな。そうだな。うむ。
「まあ、でもさ、海は広いから、見つかるよ。まだアンドレが見てる範囲は
湖ぐらいちゃうか?海広いから魚はいっぱい、いるよ。ダイジョーブ!一緒に広い海で探そうよ!ね!」
と自分自身も海外ゲストから言われた言葉をコピーして伝えていたようなのだ。
アンドレは単純な言葉だけど ちゃんと受け止めてくれて諦めずに探したらしい。
「実は、黄さんと僕はね、あの時の汚いアプリで知り合ったの。うふ」
と笑っている。汚いアプリ。ああ、1年前のあれね。
多分、言いたかったのは「下品なアプリ」ってことね(笑)。
「だから僕のHusbandにも、社長からその言葉を聞いて欲しかったンダヨ。
”海は広い”。シンプルだけどいい言葉ネ。。
.....まあシャチョは忘れてたけどネ....」
汚いアプリで知り合ったボクタチ、幸せダネ!!!
そして結婚シタイヨ!
と2人で見つめあってるのを見て
私は本当に美しいなあと思ったんだ。
おめでとう!!!
おめでとう!!!!
そして未だに広い海で迷子の私。何だこれww
*LGBTの表現など適切でないかもしれませんがあくまで本人たちが言っている言葉で書き留めました。スミマセン