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博論日記(15/365):勉強会/暑い/暑い
・昨日書いた勉強会が今日あったので、まずはそのことについて。昨日の日記にも書いたとおり、フロローヴァ=ウォーカーの『ロシア音楽とナショナリズム:グリーンカからスターリンまで』(2007)を読んだ。もちろん全部ではなくて序章と第1章の前半まで。
・第1章は、18世紀末〜19世紀前半くらいにかけて、徐々に「ロシア」というものがステレオタイプ化されていった過程をたどりつつ、そのようなステレオタイプがグリンカ以降のロシア音楽にいかに反映されていなかったかをたどるという内容。
・思想面で定義されていたロシアは「西側」に対立するものだった。西欧は商業的に都合のいいものならなんにでも手を出す功利主義・個人主義社会だった一方で、ロシアは「究極の真実を虚しく探求する」悲劇の魂があるとされた。その一方で音楽はと言うと、より楽観的で力強いというイメージが根付いている。
・以上のような内容のうち、思想面にだけ焦点が当てられている前半だけでもかなり濃ゆい内容で、色々なことが言われていたのだが、特に着目されていたのがロストプチーンのビラ、チャアダーエフの手紙、狭義の「スラヴ主義 славянофильство」。ロストプチーンによって喚起された民族的シンボルの重要性に始まり、知識人たちに西欧派とスラヴ主義のどちらを取るかを強いた『哲学書簡』を経て、特にロシアのナショナリズム形成に貢献した「スラヴ主義」に至る流れはわかりやすかった。ともあれ概説的な記述ではあるので、各項目の詳細をしっかり理解するためには、それぞれのトピックについての論文や書物を読んでいかなければならないなあとも思った。人生は短い……!
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