母になったねねどん②
帝王切開での出産
帝王切開だと残念みたいに言われたり、ラクって言われるとか、そういう話を毎日のようにニュースアプリなんかで見る。
妊婦さんが『帝王切開になるかもと言われて怖い、普通に産みたい』とSNSに書き込んだら、帝王切開を貶してんのか!みたいなリプがついたりとか。
私はね、まず自分自身が帝王切開で生まれたこともあって、そうして産んでくれた母の話を百万回くらい聞いて、特に感謝するでもなく『へー』とか思ってた。とくに妊娠、出産に関しては、悪気や悪意があってもなくても、言う人は何か言うのよ。
どうやって生まれてきてもよくない?
お釈迦さんなんて、ワキから生まれたで?
誰か出産したら『おめでとう!』それでいいやん。
百万回聞いた、ねね誕生の話
母の出産エピソードは全部丸暗記してるほど聞かされたが、口から語られるより、母子手帳を見たときのほうが驚いた。
私は42週6日で誕生。そして、『児頭骨盤不均衡』を見逃され、35時間以上陣痛が続いたが、母体の骨盤より胎児の頭が大きいということは出られない。やっとのことで帝王切開が決まったが、今度は縫合をミスられたらしく、高熱で母の意識が飛んだ。手術やり直しの話も出て、1ヶ月検診のところには『子宮復古不全』の記載。
42週6日は待ちすぎじゃ…?
(42週を超えると、過産期という)
母も多分、陣痛が来ない体質だったんじゃ…?
『なんか、先生その日ゴルフ行っててんやんか。朝まで手術無理ですー言われて、もう早よ切ってくれへんかなぁー思っとってんけど』
いや、誰か連絡しろよ!帰ってこいよ!せめて様子見にはきたよね?うちの母が知らないだけで…。どう考えても、放置しといたらヤバいやろ、先生がいたとしてもこれは個人病院では無理ってなって大きい病院に搬送するやつやろ…
母子ともによく死ななかったものだ。私は混濁した羊水を飲み込んでいたらしく、とにかくヤバいヤバいで誕生したらしい。
長女誕生、母になった私
話は戻って、私が出産したとき。
麻酔がなかなか入らないとかいうトラブルはあったが、どうにか入って手術開始。医師のひとりに『痛かったら言いなさいね』と激謎なことを言われた。
え?手術の最中に痛かったらて、何ィ?
そんな、歯医者で痛かったら左手あげてねみたいなこと、腹切ってるときにある?!
と思ってたら、手術開始から数分で長女誕生。
3秒くらい対面して、長女はどっか行った。
そこからが長かった。
何も感覚はないのだが、体が思いっきり上下に動いている。意識はあるので、何これしんどい…いつ終わるの…?何か、サイトとかには産声を聞いて対面を済ませたら、麻酔入れて寝かせてくれるとか書いてたけど、そういうのない感じ…?
これは二人目出産のときにわかったのだが、鎮静剤は点滴で投与されていた。効かなかっただけだった。二人目出産のときは、『生まれた後は寝かせてほしい』と書類に書いて、健診のときにも話していた。手術中に執刀医も『じゃあ、寝ますねー』(ちょっと謎な言い回しだが、外国人の先生だったため。)と言っていたが、
マジで1ミリも効かず、追加されても効かず。
あー、これ、長女のときも多分入れてくれてたけど、普通に効かなかっただけなんだわ…
え?こんなもんなの?感動とかは?
手術が終わり、長女のときは経過観察のため、手術台のすぐ隣のベッドに移されて、旦那、母、伯母が入ってきた。
全員が謎なことを言っていて、なぜか娘を抱いているのは伯母だった。おばあちゃんになった母に、初孫を抱くよう伯母や助産師さんが促しても、
『ええわええわ、うち、怖いわ!!落としたら嫌やし!!ねえちゃん、抱いといて』
何それ?
誰一人特に私をねぎらうでもなく、旦那も何かそれなりに感動するようなことを言うでもなく、え?子供産まれたときってこんなもん??てなった。
私自身も謎なことを言った。
『ブサイクすぎへん?大丈夫なんかな?』
そして、面会時間は遅くまであったのだが、看護師さんに『家族はどこにいますか?』と聞いたら、
『あっ、帰られましたよー』
えっっ?!何?知らん間に帰る?!
『帰ってもいいと言われたから』帰ったらしい。
母からは外に出たら虹が出てた、縁起がいいみたいなクッソどうでもいいLINEが届いていた。
母を救った、デカい娘
娘は、出産予定日ほぼピッタリに生まれて、出生体重が4000gを超える巨大児だった。巨大児は未熟児の逆で、4000g以上で生まれた子のことをいう。私は過産期に入ってから生まれて3600gほどだったので、遅れていなければもっと小さかったことになる。
医師から娘を受け取った助産師さんが『うわ!大きい!』と体重計測をする前にわかったと話してくれた。生まれてすぐの対面もままならなかったのは、転院前の病院が私の妊娠糖尿病を見逃しているかもしれないとなって、低血糖などがないかをすぐに検査するためだった。
これに気づかず、ビショップスコア0点とか1点で自然分娩にしていた場合、難産になるか、緊急帝王切開になるか、もしかすると母子ともに危険な状態になったかもしれないと説明された。私のゴリ押し感はあったものの、予定帝王切開で本当によかったと。
じーっと、母の体に何の変化も起こさず自分から生まれてこようとしなかった娘に、私は助けられたようなものだ。
もう赤ちゃんではないけれど…
何のめぐり合わせか、母と娘としてこの世で出会った私達。どうせこんな私のことだから子供も適当に育てたと思われることも多いが、赤ちゃんの頃は何をしても何を見ても何もなくても心配して、成長してるかなぁ?と心配で。
その子がもう、小学校に当たり前のように通っている。私にできないことをさっさとこなす子に育った。たまに思い出そう、お腹にいたころのこと、生まれた日のこと、赤ちゃんのころのこと。
誕生日おめでとう。
娘であり、恩人でもあるあなたの誕生日を、
母は心から祝福しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?