わたしの鎧。

わたしは目が悪い。
中学生にあがった頃から眼鏡をかけている。

高校生になる頃には、周りの友達はみなコンタクトへ移行し始めたが、わたしはその波には乗らなかった。"新しいわたし、デビュー" に至らず。

年々目は悪くなり、これ以上眼鏡で視力を補正しようとすると、瓶ぞこ眼鏡のようになってくるので、それは流石に恥ずかしく、大学生の途中からコンタクトをつけ始めた。
そのタイミングでほとんどの人は眼鏡離れをすると思うのだが、わたしは離れられなかった。
だから、コンタクトの上から眼鏡をかけている。
ちなみに、伊達眼鏡では無く、コンタクト装着後の視力に合わせた度数で作っている。
ちゃんと度入りの眼鏡だ。(なんと変なこだわり。同じような方、いるのだろうか)

わたしはいつしか、眼鏡で自分自身を護っていた。というか、武装していたのだ。

言わば、眼鏡はわたしの鎧。

装着することで、よそ行きのわたしを繕い、知られたくない本当のわたしを隠している。
そして、外界から飛んでくる矢や剣から身を護っている。
眼鏡を装着することで、オンオフを切り替えているのだ。
冷たくて分厚い鎧を身につけているわたしは、どこか冷たい人間だと思われているかもしれない。

近頃は、眼鏡もおしゃれアイテムのひとつとなり、普段の生活で浮くことはない。
むしろおしゃれな人と思わせることもできる。
だから武装してるだなんて、周りの人達から思われることもない。

でも、最近は鎧が重たくなってきた。
鎧を装着していても、痛みを感じることはある。どうせ痛いなら、身軽な方がいい。
よそ行きの自分でいることに疲れたのだ。


だから眼鏡を外すタイミングを伺っている。
転職を機に、挑んでみたもののデビューできず、今に至る。いやはや、いつになったらデビューできるのか…。

眼鏡は重たい鎧ではなくて、
小さなお守りくらいの感覚で、

気軽におしゃれを楽しむアイテムとなる日が来るといいな。