離婚を告げられた側。
不妊の人が離婚したいと言われてしまった、
という例を残酷だがたまに聞く。
けど、わたしは
男性不妊の夫に離婚を告げられた側。
子供を強く望んでいたわたしだったけど、
最初の頃、男性不妊がわかって
子供が持てないからという理由だけで
夫と離婚するなんてできなかった。
大切な家族だったから。
それでも、死ぬほど苦しんで悩んでき月日を超えてきた。
夫は元々子供がいらない派だったらしく、
尊厳もあったのか不妊治療をする気は一切なく、
なんとなく子供に関しての話題はタブーのような
感じでわたしも夫に苦悩は伝えることがなかなかできなかった。わたしは子供が大好きだったから、
周りの妊娠報告を受ける度に、心が少しずつ
死んでいくような感覚にもなった。
どんどん年齢を重ねていくうちに、どんどん産める自分にリミットを感じていたりした。
それでも、子供が全てではない。彼と二人で生きていくんだ!とも覚悟したりしてなんだかんだ30代半端まできた。
そんな彼から35歳で、いきなり離婚を告げられて、
わたしよりも9つ下の彼女が出来ていた。
あれ?わたし子供も産めなくなっていく年になってるし、彼もいなくなった。あれ?
今までの苦悩ってなんだった?あれ?何も残らない?あれ?
その事実をしっかりと受け止めると、言葉にすると
とんでもない感情になるのではないかと、
今までしっかり言葉として言ったり書いたりできなかった。
けど、もうここらへんでしっかりとそのダメージは
受け止めておこうと思う。
なぜなら、かなり情けないし惨めだし、
とんでもない時間の無駄だったのかもしれないけど、
やっぱり彼と一緒にならない方が良かったとは
思わないし、彼自身もとても苦しんだだろうし、
もう子供とは出会えないのはわたしの運命だったんだって、思うから。
ただ、もう少し彼も事実から逃げないで、
見ないふりしないでくれていたらもっと違った
二人の未来もあったのかなぁとか、
彼と違う人と結婚してたりしてたら、
普通にお母さんになってたのかなぁとかも
たまに思ってしまう日もあるけど、
彼といた約10年。
やっぱりなかったことになんてできないから。
彼に救われた部分がたくさんあったから。
やっぱり、悲しい最後だったけれど
「ありがとう」って思うから。
一人になって、少しほっとした部分もある。
もう独り身になったことで
「母親」とか「妊娠」とかそういうものから
一抜けできるんだって。
「お子さんは?」って聞かれるレースから抜けれるんだって。