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唯一手放せなかった

彼のことはとても大好きだったけれど
彼といる自分のことはあまり好きじゃなかった。

だから、今の暮らしと今の自分の方が好き。

なのになぜだろう。
それでも、わたしは彼と生きたかった。
生きてたかったんだよなぁ。



思い返せばいろんなものを自分から
手放してきた人生だったけど、
彼のことだけは辛くても逃げたくても、
唯一、どうしても手放すことができなかったなって。

元夫は幼少期に大病もしてたし、
お母さんも早くに亡くし、
仕事上でもいろんな人からの裏切りや別れに
一緒に胸を痛めてきたので、
わたしだけは何があっても彼を裏切らない、
居なくならない、ずっと味方でいたいと
そう強く覚悟して一緒に居た。

だから、いろんなことがあっても
子供がほしくてしかたない時もあっても
ぐちゃぐちゃでも自分から彼と離れることは
どうしても選ぶことができなかった。

わたしはどんな二人でも
一緒に生きることに意味があると思っていたんだよ。


けれど、彼は違ったんだよね。
それも、間違ってない。

だから、もう幸せでいてほしいんだよね。
本当、わたしが幸せにできなかったから。
幸せで笑っててほしいと思う。


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