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自然と調和して

第一回 紀北‘‘海と川‘‘コース 2020/10/17~/18

2020年10月17日、いっぱいの荷物が詰まったリュックと手提げ袋を両手に、私は最寄り駅から乗車した。周囲の視線が少し気になるものの、私の心は踊っていた。

コロナウイルスの感染拡大により幾度となく延期されてきた、自然環境リテラシー学にやっと参加することが出来るからだ。

集合場所である江戸橋駅に到着する。そこには自分と同じように大荷物を抱えたメンバーがいた。おずおずと自己紹介をする。初めは少し緊張したが、会話を重ねるうちに打ち解けあえてきた。オフラインでの人との関わりの楽しさを、改めて感じる。

約3時間後、ようやく実習拠点となるシーカヤックステーション小山ハウス(http://www.oyamahouse.dohmo.jp)に到着するもあいにくの雨。波の高さからカヤックは断念することに。小山ハウスの倉庫にて、PFD(ライフジャケット)の着用方法、基本的なパドリングの仕方を教わった。

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「みなさんはPFDの役割を知っていますか」

ガイドの森田さんが私たちに順番に問いかける。私は「溺れないように浮く」という考えしか頭に思い浮かばなかった。もちろん、これも正解なのだが、この他に、身体の保温、保護、目立つ色で発見されやすくする、救助の際に持ち手になる、などの役割があるという。これを聞いた私は、今後一切、PFDなしで海に出ることはないだろう。

パドリングについても同様に、森田さんに指導していただいた。初めてもったパドルは、その長さの割には軽かった。

その後、夕食に鍋で沸かしたお湯でカップラーメンをつくって食べ、反省会を行い、寝袋に入って就寝した。どちらも悪天候により、倉庫内であったが、キャンプの気分は少し味わうことが出来た。

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二日目、天気も回復し、いよいよカヤック体験。

比較的水面の揺れの少ない、銚子川にて行われた。森田さんの指示に従って、カヤックの基本的な操縦方法を学ぶ。が、話を聞いている間も、カヤックはどんどん水に流されていく。カヤックの漕ぎ方を教わる前に、カヤックを一定の位置に留めておくように漕がなくてはならないという矛盾が生じた。

基本的な操縦を一通り学んだ後、銚子川の上流に向かって漕ぎだす。さすがは「奇跡の川」と呼ばれる川。透明度が高く、大きな魚(ボラと思われる)が泳いでいく姿が見られた。

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雄大な自然を全身で感じたいところであったが、残念ながら私にはそんな余裕はなかった。波の動きをつかめず、すっかりみんなにおいて行かれてしまった。学生スタッフの方に支えられ、大幅に遅れて中間の休憩地点に到着。昼食としばしの休息の後、再びカヤックに搭乗した。後半は船津川を漕いだ。

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前半よりは、みんなについていけるようになった。だが、まだおぼつかない。四苦八苦している時、ふと昨夜の反省会にて、坂本先生がおっしゃった、「自然に抗ってはいけない」という言葉を思い出した。そこで、私は流れに逆らうことをやめ、流れを利用した漕ぎ方に変えてみた。すると、カヤックのスピードがぐんと上がり、意思通りに動いてくれるようになったのだ。カヤックは自然を開拓して進む乗り物ではなく、自然と調和する乗り物であると身をもって体感した瞬間であった。

今回の実習で学んだことは、自然と調和することの大切さである。カヤックで、いくら自分の思い通りの方向に進もうとあがいても、川の流れには勝てなかった。対して、流れに従ってみると、従っているはずなのに操縦が上手くいくのだ。誠に不思議である。

自然に抗い、自然を開拓した世界で、普段生活している私が、どれほど自然と調和していけるのか。4回にわたる実習を通して成長していきたい。

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