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ねんどの素材解説2021(5)ダイソー樹脂粘土、モデナ、小麦ねんど、ニューパンド、グレイスカラー、無穴パール、木粉粘土など

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「ぶんぶくちゃがま」「ぬらりひょん」「カッパ」「猫又」。軽量澱粉粘土モデルマジック使用。2013年。


2012年のイベント以来ねんどワークショップなど開催出来るようになり、高さ7~9センチ程度(100円ショップのコレクションケース等に入れられるサイズ)の小さい人形を教材用に制作などしてました。

初めての方や、子供ちゃんに作ってもらえるよう少しでも単純な形にデザインしたいですが、これが、なかなか難しいです。それと自分の好みでもありますが人形をどうしても「立ちポーズ」にしたい。またモデルマジックはほぼ入手不能なので、代わりの素材をみつけたい。

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ダイソー樹脂粘土


2014年の夏ごろに「ダイソー樹脂粘土」が登場。樹脂粘土は前年に「モデナ」を試していましたが、作業中のねんどの劣化がかなり早く、ワークショップでの使用は難しい様でした。


「モデルマジック」・・澱粉粘土。餅のように伸びる。霧吹き等で水分を足せば何度でも(といえるほど)練り直し、やり直しが可能。仮に乾いてしまっていても、大根おろしですりおろして水をつけて練ればねんどの性能が復活。開封済み未使用ねんどをラップにくるんで保管していれば数ヶ月~年単位で長持ち。

「モデナ」・・樹脂粘土。キャラメルのような感触。失敗しての練り直しは1度が限度。最も、「フェイクスイーツ」「スイーツデコ」によく使われている粘土なので、私の様に複雑な人形を作る使い方は想定されていないだろう。開封後は密閉していても1週間以内に使い切るのが吉。「モデナカラー」のブルーが、他にない好みの色なので(下写真のサメを参照)、劣化の速さがとても惜しい。

「ダイソー樹脂粘土」・・チューインガムのように伸びる。水で練り直すことは推奨できないが、加湿器の湯気に当てて水分調整などはなんとか良。開封後も密閉プラ容器に保存しておけば、数ヶ月は保存可能。現在のメインねんどのひとつとなりました。

樹脂粘土作例 色々


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「因幡の素兎」

ダイソー樹脂粘土で。背中をサメにかじられたので、バンソウコウつけてます。何かワンポイントあると「キャラクター」が立ちますね。

右のサメの色は「モデナカラー」のブルーを混ぜて。この感じの青色(シアンに近い)は、今のところモデナとモデルマジック以外のねんどでは見当たりません。

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2012古事記編纂1300年「神話博しまね」でワークショップ教材用に作ったもの。ウサギの立ちポーズボディが「ボディ、太もも×2、足×2」の計5パーツですが、樹脂粘土バージョンではこれを1パーツで。ついに上の「立ちポーズ」にたどり着くまでに、2年もかかりました。もう自分の発明とでもいいたいくらいです。

全体に黒色をゴマ粒程度まぜているのでサメの青色は少しくすんでいますが、原色は上のモデナと近いです。

立ちポーズ


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1度、立ちポーズが出来れば同じボディの作り方で様々な動物など作れます。汎用性が高いです。

ただワークショップだと初めての方には難しいので、練習用に「小麦ねんど」でまずボディの作り方を覚えてもらって、その後に樹脂粘土で本番にチャレンジしてもらうなど工夫しています。


「小麦ねんど」・・作例はないですが、樹脂粘土と同じ作り方で似た感触のものが作れます。ただし完成しても1ヶ月くらいで塩を吹いて壊れます。金額は樹脂粘土の10分の1程度なので、初心者さんの練習用には重宝します。



上左は「大友お守り犬」と「うすきの赤ねこちゃん」。大分市の「大友氏館跡遺跡」から安産祈願などの「犬のお守り」土人形が発見され、その犬がたれ耳で、尻尾も巻いていたので(この人形はまだ資料の観察が十分でなく尻尾が立ってますが)、たぶん「柴犬」の子犬ではなかろうかと、早速立ちポーズのねんど人形にしてみました。

右は「臼杵の赤猫根性」というあまり好まれない意味で使われてきた言葉を、逆に可愛いイメージにしようと制作。


ネコのアタマ


「ネコのアタマ」の形は、初心者さんにコツを覚えてもらうにはちょうど良く、ねんどを丸めた「お団子」状態から、慣れれば数十秒で作れるようになります(アタマが単色でなく2色以上の場合は、また別の技術を要しますが)。

「犬のアタマ」は、ネコのアタマの形からさらに口を伸ばしたりと工程が増え、そのホンの少しの違いで初めての方には難度が跳ね上がりますので、いくつか色々作ってみてまずはねんどに慣れましょう。


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「無穴パール」・・これら小さな人形の目玉には「無穴パール」の2ミリ径(だった記憶)を使っています。「無穴パール」は2014年当時ネットで探しても販売サイトが1件しか見当たりませんでした。現在そこでは扱っていない代わりに、別のサイトやホームセンターで見かけはしましたが、素材や色合いは各々違い、また3ミリ径表記でも先の2ミリ径(?)と同じ大きさだったりとまちまちな場合があり、同じものを作りたい場合は少し注意が必要となりました。


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「ぶんぶくちゃがま」

タヌキのアタマも、犬のアタマと同じくかなり難度は高いです。背中の茶釜がさらに複雑な形なので、ワークショップ用には封印。


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「カッパ」

犬やタヌキのように1パーツでクチを伸ばさずに、このように別パーツをくっつけたデザインなら、ぐんと易しくなります。これは横浜の小学校の放課後ワークショップなどで、子供達にも楽しんで作ってもらえました。腰の、酒の徳利だけ少し難しいかも。

ボディの練習用に小麦粘土を使用。先生たちにお手伝いをしてもらいながら、25名ほどのキッズが2時間前後で完成。私1人だと、15名弱が限度でしょうか。


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「おサル」

初め、「カオ」のピンク部分を茶色の「アタマ」パーツに埋めて作ろうとしたものの、難しすぎて諦め(「黒岳の怪物ヤカン太郎」のような大きな人形であれば可能)、数日考えて、アタマの上にカオパーツをぺたっとくっつけるだけにすると、やっと初心者向けの作りになりました。

おサルは、お尻が命。 ・・ワークショップの作業工程では、ピンクのおしりとしっぽを最後に作ります。




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「からかさお化け」

パーツも少なく、意外と簡単。初心者向けです。


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「OHAKA」

「縮み」と「戻り」がかなりある樹脂粘土の性質上、丸い形状を作るのは楽でも、直線的なものは苦手です。

このお墓と卒塔婆には、たしか「ニューパンド」を使った覚えがあります。


「ニューパンド」・・あまり使っていないので詳しくないですが、比較的「戻り」が少なく、「練り切り」の感触に近かった印象。ニューパンドの人形作家さんもいらしたので、入手が楽で色の種類もある「ダイソー樹脂粘土」が発売されていなかったらメイン使用も考えていたと思います。


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「大友ひげカボチャ」「ひげカボス」

カボチャは豊後大分大友宗麟の南蛮貿易で初めて日本に輸入されたということで、カボチャに大友宗麟公のひげをつけて「ひげカボチャ」というオリジナルキャラクターを作りました。大分のソウルフードのカボスにも。

パーツが3、4点と少ないので、子供でも30分前後、大人だと20分ちょいで作れます。


2016年夏に大分市の地域おこし協力隊 文化・芸術振興部門担当として故郷大分に帰郷してからの3年で、30回ほどワークショップの題材にさせてもらいました(小学2年生以下の子供さんは、要保護者同伴)。小さい子が10人いた場合、さすがに「ひげ」パーツの形は難しい様で10人分全部私が作る事になりました。


「軽量粘土」タイプのモデルマジックと比べて、樹脂粘土で作れるパーツの大きさは3分の1~4分の1程度が適しています(ねんどが自重で潰れます。このひげカボチャで12グラム)。「縮み」「戻り」が大きいなど扱いに気を遣う樹脂粘土では、小さい造形物だとちょっとした複雑な形の難度がかなり上がるので、子供向けワークショップにはまだひと工夫、ふた工夫必要ですね(ただし、ちゃんと完成できると仕上がりは美しいです)。

2012古事記編纂1300年「神話博しまね」では全国の子供達が1483匹作ってくれた「ヤマタノコロチ」ですが、モデルマジックがない現在は封印せざるを得ないのが残念。ですが「完成物を持って帰ってもらう」のが前提のワークショップと違い、ネットでのリモートワークが当たり前となった現在は、「小麦ねんど」などでの「練習用動画」で良いのではなかろうかと、最近思い始めました。


「グレイスカラー」・・上の「からかさお化け」「ひげカボチャ」「ひげカボス」では、ダイソー樹脂粘土の白に「グレイスカラー」の「きつね」「グリーン」を混ぜて色を作っています。

ねんどのメーカーによって「色」のチューニングに違いがあり、「グレイスカラー」の「きつね」はクッキーなど作る時の色に似合い、「グリーン」は野菜の緑に似合う色合いの様です。「芋きんとん」の様な感触。混ぜる割合はダイソー樹脂粘土の性能を壊さないように、3分の1程度までが限度の様です。


お気に入りなど


さて初心者向けでは全くないですが、この頃に作ったものをあといくつか。

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「カチカチ山」

ウサギの殺ル気満々の笑みが、とてもお気に入り。昔から悪者大好きなのです。

また水木しげる先生のサラリーマン山田的ショボい感じが好きで、タヌキのショボい表情もよくできました。

「カチカチ山」の舞台は、山梨県の河口湖畔や、天上山付近とされているので、ロケ撮影にいきたいなあ。


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「さるかに合戦」

カニで表情は作れるのか? ・・チャレンジでしたが、良い塩梅にショボい感じになってくれました。不思議 笑。


「木粉粘土」・・「臼」を作るのに、樹脂粘土で「木」の感じをどうするか考えて、ならば本当に木を混ぜればどうだろうと「木粉粘土」を混ぜたらとても上手くいきました。


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「花咲かじいさん」

2016年夏に大分に帰らなかったら、関東のとある文化教室で大人向けのワークショップ開催の見込みで、こちらの準備を進めていました。他のミニ人形と比べて大きめで、12弱センチくらい。週1回2時間×6週のコースで、ちゃんと初心者さんから作れるようになっただろうか・・?



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「ダラビチ博士」

ダイソー樹脂粘土を試したばかりの時に作った習作。これは私の病なのでゆるしてください 笑。どうしても真面目なものだけ作っているのが性に合わないのです。


ダイソー樹脂粘土の「イエローオーカー」を白色で2対1に薄めたのが、この肌の色。少し濃かったので(乾くとどんどん濃くなります。要経験)、上の「花咲かじいさん」では4~6対1くらいに薄めたと思います。


次回では、樹脂粘土素材を組み合わせて写真撮影用に大きめの人形(15~18センチ)を作る試みについて解説します。


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