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#18 デザイナーの本棚その3:「デザイン独学」の視点で選ぶ本

これまで「デザイナーの本棚」というテーマで過去2回ほど、デザイナー夫が今現在読んでいる本を紹介しましたが、今回は書庫の中から「デザインを独学で学んでいる方にすすめたい本」というテーマで数冊ご紹介します。

「デザイン独学」と「本」

今回このテーマを思いついたのは、デザイナー夫が毎週オンラインで開催しているデザイン講義の中で、参加者の方から「デザインを独学で学ぶのに役立つおすすめの本」について質問されることがよくあるからです。

そこで今回も、デザイナー夫へのインタビューも交えながら、「デザイン独学」という視点のもと、山のように積んであるデザ夫さんの本の中から数冊、ピックアップしてみたいと思います。デザ夫さんに勧められた通り、私【デザイナーの妻】も各本の序章をきちんと読み、概要を把握したうえで記事を書きたいと思います。

それでは、今日は3冊ご紹介です!

1冊目:決定版 脳の右側で描け 第4版 ベティー・エドワードズ 著|野中邦子 訳

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第1章に入る前の「はじめに」の20ページを読み、印象に残った点は、①(デザイン講義でも言われていることですが)「絵が描けない」というのは、やはり「きちんと見ていない」ということで、絵を描くことも、字を読むこと・書くことと同様に適切な指導を受ければ誰でも身につけられる技能であるということです。

そして②本のタイトルにある「脳の右側」について序章からわかった点は、学校教育では、左脳タイプの能力(分析、調査、要約、抽象化などの思考プロセス)を伸ばす学習内容に重きが置かれ、右脳タイプの能力(知覚、直感、想像力、創造性など)を伸ばす学習の機会がないがしろにされてきたという背景についてです。

私たちの脳は『左脳モード』が優勢になっているので、『右脳モード』に入って作業するのを邪魔しようとするようです。それで、この本は、本来は幼少の頃から学習内容にもっと取り入れられるべきだった「右脳へのアクセス」の訓練へ、12のレッスンを通してガイドしてくれるものです。

このレッスンを実際に受けた生徒たちの声も載っていますし、彼らのデッサンがどのように変化していったかも写真で見ることができます。

余談ですが、レッスンの一つに『上下逆さのスケッチ』がありますが(第4章に出てきます)、これはこの本のコンセプトを理解するのにとても良いレッスンだと思います!実際【デザイナーの妻】もこのレッスンを他の方達と一緒に試したことがあります。【デザイナーの妻】が「右脳モード」にアクセスする前の絵が下手すぎて、一緒に参加した他の方達が必死に笑いをこらえていたのを覚えています!「お、お、奥様、ダイナミックですね〜!」【デザイナーの妻】は心の中で「いや、むしろ笑ってくれ・・・その方が救われる・・・」と思いました。

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いつか勇気が出たら、その時の絵を公開しましょう。皆さんの励みになるかもしれませんので・・・。

それでは、この本についてのデザイナー夫のコメントをご紹介します。本当に有益なのはここからです(笑)。グラフィックデザイナーとして、そして美大の先生として、なぜこの本はデザインを学んでいる方におすすめしたいのですか?

デザイナー夫のコメント:
この本では、絵を描くことの基本を学べます。画家やイラストレーターになるほどの画力は必要ありませんが、デザイナーも絵が描けた方が良いです。コンピューターやソフトを上手に使えることは大切ですが、そうしたツールに頼らないでもアイデアを表現できるようになるとデザインの幅が広がります。言葉にならないアイデアは描いてみるしかありません。アイデアを「描く」ことができなければ、「形」にすることはできません。絵を描く上で最も基本的なツールは紙と鉛筆です。実際、コンピュータが使えれば、デザインができようになるというわけではありません。ということで、デザイナーとしての最も基本的な練習として、やはり絵を描くというのはかなり大事です。
この本では、絵を描くとはどういうことかを学べます。本当に「見る」ことや、「自分の見ているものを表現する」基本を学べます。美大に入るために学生は必死にデッサンを学びます。デッサンがうまいに越したことはありません。でも、やりすぎると技巧的になりすぎて、逆に本質を見逃してしまうこともあります。それで、2−3ヶ月かかると思いますが、この本にあるレッスンを試してみるのが良いと思います。

なるほどですね👀とてもわかりやすいです。デザ夫さん、ありがとうございます。

この本は初版が1979年、それ以来ほぼ10年おきに3度にわたって改訂されてきました。今回紹介している第4版は2012年に出版されました。17カ国語以上に翻訳された本で、教育の現場で指導しつづけた著者によって、改善が重ねられたこの決定版はおすすめですね。

2冊目:GRAPHIC DESIGN THEORY ーグラフィックデザイナーたちの〈理論〉ヘレン・アームストロング 編著|小川浩一 翻訳


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こちらの本は、まずデザイナー夫のコメントを読んでみてください。

デザイナー夫のコメント:
これも良い本ですね。グラフィックデザインの歴史を俯瞰し、どんな流れで今のグラフィックデザインがあるのかを学ぶ時にはこういう本がいいですね。時代を作ってきたデザイナーたちの哲学について、例えば「なぜグリッドが必要なのか」といった説明などが出てきますが、グラフィックデザインの基礎となる考え方を知ることができます。

本の表紙にもデザイナーたちの名前が列挙されていますが、この本は大きな影響力を持ったこれらのデザイナーたちの論考やエッセイから、彼らが持っていた「思想」を学ぶことができます。序文では、現代はデザインに関する書籍やインターネットの情報には「作品集」や「ハウツー本」があふれているものの、デザイナーとしてもっとも大切な「思想」や「デザイン理論」が欠けていると書かれています。

なんとなく「今っぽいデザイン」を生成できるツールを使ってレイアウトを組んだり、PhotoshopやIllustratorなどのソフトウェアを使いこなすだけでは、デザイナーとは言えない。クライアントにとって「そのデザイナーでなければいけない」という存在になるには、「目指すべき場所を明確にしてくれる人」になければならないという点が興味深いと思いました。本に収録されている論考やエッセイを通してデザイナーたちが刺激を受け、自分たちの「思想」や「デザイン理論」を構築していくことができるのでしょう。現代のデザイナーたちは、条件と要求が絶えず変化する環境にいるとの言葉もあり、読むべきもの・考えるべきものが増えている今のデザイナーたちが積極的に議論に参加していくための土台となる本だと書かれていました。

3冊目:デザインのデザイン 原研哉 著

2冊目にご紹介した本の表紙に列挙されているデザイナーたちの中に、こちらの本と著者も挙げられていることにお気付きでしたか?👀この本は皆さんもご存知の本ですが、我が家のデザイナー夫も、デザインを学んでおられる方におすすめしたい熱い思いがありそうですので、ご紹介します。


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もうこれは、まえがきを読んだら【デザイナーの妻】がいつもデザイナー夫の口から聞いている、まさにその内容ではありませんか。以前の観察日記でもレポートしたことですが、「アンラーニング」や「分析思考」についてデザ夫さんが話すことと一致していますね👀✨それではこの本をおすすめする理由を教えてください。

デザイナー夫のコメント:
日本を代表するデザイナー、原研哉さんの本です。現在、ご自身が卒業された武蔵野美術大学の基礎デザイン学科で教えていらっしゃいますが、原研哉さんのデザインのとらえ方は、素晴らしいです。グラフィックデザインの系譜の中で、日本のデザイン界を代表するキーパーソンですね。日本で「デザイナー」というと、「インパクト」や「話題」を作る広告系のデザイナーたちがメインストリームな印象がありますが、原さんは、よりデザインの原理に近い人だと思います。「機能させる」や「伝える」という、もっともっとピュアで純粋なデザインを勉強したいと思ったらこっちです。


以上3冊のオススメ本のご紹介でした。デザインって、本当に論理的に学ぶことが多いのですね。思想、原理原則、そして「ものを見る」ということ。デザインを追求してきたデザイナー夫の観察を続け、これからもデザイナーの生態を学んでいきたいと思います。そしてデザインを勉強している方たちを引き続き応援しています。

本の紹介については、最初からデザイナー夫のコメントだけでよかったんじゃないかという意見もありますが・・・観察日記#18、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

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