台湾映画『呪詛』感想(ネタバレなし)
予告が大変恐ろしかったので観てみました。観終わってから、実話を基に作られた映画というのを聞いてびっくりしました。調べてみると、一家6人が悪霊に憑依されて殺し合いにまでなったという2005年の事件(わりと最近!)がモデルになっているそう。
あらすじ
主人公の女性(幸薄そうでどこか影がありそう)が小さな女の子を児童保護施設から連れ出しに行く。女の子は主人公の実の娘なのだが、なぜ施設に預けていたのか?それに父親はどこで何をしているのか?やがて主人公は数年間精神科に通っていたこと、精神科に通うようになる前、つまり娘が生まれる前はもっと明るい普通の人柄だったことがビデオ映像から分かる。主人公は他男性2人と一緒にYouTuberらしきものをやっていて、この片方が娘の父親だった。動画にするために彼ら3人はある人里離れた集落にやってきて、そこで信仰されている謎の宗教(仏教系?)の儀式の様子をこっそり撮影しようと試みていた。だが集落のある場所に車で到着した時から些細な異変はいくつも起きていて、いよいよ撮影決行のときには既に3人はこの謎の宗教にまつわる怨念に取り込まれていた。……
感想
このYouTuberもどきの撮影映像と、この時に主人公と、主人公のお腹の中にいた娘とに降りかかった呪いの進行とか同時並行で代わる代わる映される。こうして序盤の主人公にまつわる疑問点がだんだん明らかになっていく構成で、謎が少しずつ解明されていくので、理解しやすかったし自然に感情移入できた。怖い雰囲気を演出するのが上手だと思ったし、かと思ったら後半は雰囲気だけでなくしっかりホラーだった。でも怖いよりも、怪異のせいで平凡な生活もままならない主人公をすごく応援したくなってしまう。周囲から頭おかしいやつだという視線を浴びながらもなんとか自分の手で娘を育てようとする主人公には幸せになってほしいなと思っていたし、呪詛というものが本当に存在したら、こんなふうに人の生活を蝕んでいくのかと想像してしまう。
YouTuber3人組が到着して早々、すでに禍々しいオーラだだもれな邪教集落の雰囲気も良かった。完全に邪教の一部となっている村人たちがお経を唱えている姿は圧巻だったけど、特に巫女?神託を受ける係?のような不思議少女がいて、彼女にはYouTuber組がこっそり儀式を撮影しようとしてるのがバレバレだったり、その他諸々、透視の能力があるせいで異様な空気を纏っていた。しかも顔だけはとても綺麗で、余計に人間離れして見える。お気に入りキャラ。
まとめ
話題沸騰するのも納得の映画で、緊張感が途切れないし怖がらせ方も結構好きな部類の良作でした。何よりも登場人物のキャラ造形に現実味がある所と、やっぱり集落の描写にも謎のリアリティがあるのがすごいです。主人公の生活が少しずつ呪いに侵食されていく様も、見ているこちら側まで引き込まれそうでした。でも色々な者や人が狂っていく中で、主人公のことを最後まで応援したくなります。見るのになかなかカロリーを使うかもしれませんが、それでもおススメの映画です。
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