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映画『インセプション』感想(ネタバレあり)

他人の夢に侵入して情報を盗む、というテーマが面白そうだったので観てみた。
しょっぱなから非現実的な日本風の豪邸に潜入・格闘する主人公コブ(ディカプリオ)と相棒アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が映されハラハラドキドキ。ターゲットにはったりをかけるも、見破られ、主人公たちによって創られた幻想世界が壊れていく。しかもターゲットであるサイトー(渡辺謙)に密告していた謎の美女(マリオン・コティヤール)モルは、どうやら主人公と過去に深い関係があったらしい空気。

謎めいた始まり方からどんどん展開していく話は好きなのだけど、この映画に関しては謎が高度過ぎてやや置いて行かれた感あり。あと夢に潜入する際のルールやら深層心理の構造などは緻密だった分、登場人物には感情移入しにくかった。「仕事仲間とはいえ他人の過去にそんなずばずば侵入しちゃうの?」とか「人の生き死にがかかってるのに幻想だって分かってる相手を消すのにためらってる場合か!」とか。そうしないと話が進まないのだが、チームリーダーなのに肝心なところでピンチの原因を作るディカプリオに何度も苛々した。ただ、序盤からハッピーエンドで収まりそうな雰囲気の映画なので危機が連続してもそんなに辛くはない。

唯一人間らしいなと思ったのは主人公の亡き妻であり、今や主人公の夢の中の幻想存在でしかないモルだった。夢と現実の区別することを放棄して、真実を心の奥底に閉じ込め、自ら鍵をかけてしまう。そうして現実世界に戻ってきた彼女は、正常な人間として生きる力を失ってしまっていて、自殺する。なぜ主人公が妻の死にそれほど罪悪感を感じていたのかも納得がいくもので、この辺りは一番集中して観てた。

一番楽しかったのは最初と最後の、和風御殿の中でディカプリオと渡辺謙が対峙している場面だった。同じ場所にいるのだけど、最初の二人の不穏な会話の意味が最後になって分かる感動シーン。しわしわよぼよぼになってしまった渡辺謙の姿にぐっと来た。

総括

クリストファー・ノーラン監督の映画を一回で理解できた試しがなく、今回のも視聴後に考察サイトをいくつも見てやっと納得した。納得してからはちょっと良い映画だったのかなという気持ちにさせられたが、キャストが豪華じゃなかったらそれも思わなかったかもしれない。
観る前の期待が大きかったせいか、まあまあかな、くらいの満足感の映画だった。一般的な評価は高いみたい。ノーラン監督の作風と相性悪いのかな?テネットは割りかし好きだったけど。

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