MOGWAI at 赤坂ブリッツ(2001年4月25日)【アーカイブ記事】
初出:Smashing Mag, 2001年
会場に入ってまず客の多さに驚いた。まさかこんなに人気が出ているとは思わなかった、MOGWAI三度目の来日公演であった。
昨年のフジ・ロック・フェスティバルでのライブを「マンネリ」と言う人がいた。あのライブは素晴らしかった。だがそれは「MOGWAI好き」な人たちからすれば、の話だったのではないだろうか。当然、僕はあのライブは凄かったと今でも思うし、開き直った言い方をすればあれがMOGWAIである。やれる事を徹底的にやり、客の要求に真っ向から答えて行くと言う至極まっとうなスタンスであった。ところが当人達の間ではイマイチだったようで、やっている自分達にとってもパターンが確立してしまった様な感じがあったのだろう。
そうした発言を受けて今回のライブは新作『ROCK ACTION』で聴かせたようなメロウなものになるのかな、と予想していた。しかしその予想はいきなり裏切られる。満足な新作が作れた事で開き直れたのであろう、初っ端からMOGWAIである。はっきり言って何も変わっていない。だがそれでいいのである。押し殺したような感情と、それを大爆発させた感情。それがメロディーとノイズになって表現される。ハッキリ言えば彼等にはそれ以外にやれることはないのだ。「徹底的に形式化されたライブ」と言うのが僕の印象で、それはつまらなければ「マンネリ」と批判されるべきだ。だがこの日のライブは「客が一番聴きたいMOGWAI」に真っ向から応え、その上で期待以上のライブをやると言う現代に於ける「闘う」と言う事の意味をきちんと表したライブだった。
決してハデさはないがこれは一流のエンターテイメントだし、それをやるだけの自覚と度胸があるからこそMOGWAIは信用できる。今年のフジロックにも出演が決定した。ホワイトステージで是非ともMOGWAI流エンターテイメントを炸裂させて欲しいし、多くの人にそれを目撃して欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?