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プロセカ劇場版備忘録(ネタバレ100%)

鑑賞日は2025/01/23。一週間もすると記憶も薄れてきました。もっと早く書いておくんだった。

『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』
観に行く前に仕入れていた情報は、予告動画くらいのもの。あんまりネタバレを踏まないようにXから離れるようにしていたのは、正解だったと思う。


『共鳴させられたテーマ』


生まれてから20数年、自分は推し活以外の何かにのめり込むこともなく、ただなんとなくふわっと生きてきた人間だった。部活でめちゃくちゃ頑張ったわけでもない。偏差値の高い大学に入るために身を削って勉強した訳でもない。
けれど、日常のどこかでふと感じる小さな挫折や諦め、劣等感。そういったものを強く刺激される作品だった。

もちろん、映画の登場人物達には皆何かしら力を入れていたものがあって。思うようにいかない、或いは追い詰められて余裕がなくなっている。いっぱいいっぱいになってしまって、明るい気持ちを抱くことも出来なくて。本来ならきっと笑えた筈の何かにだって、全て苛立ちを感じてしまう。
誰もが生きていれば大なり小なり感じるだろうそれを、様々な立場の人間を描くことで観客である我々のどこかに結びつけ。見事私は、登場人物のひとりとして映画の内容に共鳴させられた。


『初音ミク』

映画内で描かれた世界においてそのVOCALOIDの存在は、きっと私たちが今生きている世界よりずっと広くあらゆる人に認識され、生活に溶け込み、力を与えているのだと感じた。
グレーの衣装を身に纏った異質な初音ミクが、様々なデジタルパネルの中を通り過ぎていく。老若男女、沢山の人が違和感に気づいて声を上げるのに、届いてほしい人には届かない。
「こんなにも、届いているのに」
うろ覚えだけれどそんなことを言っていた気がする。初音ミクの声は世界に溢れているのに、自分だって同じ初音ミクなのに。その孤独は計り知れないものだろう。他のセカイを持つキャラクター達が協力してくれているのに、それでも届かなくて。

他の皆が歌えば周囲の人は笑顔になるのに、彼女が歌っても顔を顰めるばかり。しまいには「消えろ」とまで言われる。映画においてこれは初音ミクに対する言葉だったけれど、人間が生きていく上で余裕が無くなった時に出てくる態度として最悪の……しかも良くあるものを上手く描写していたと思った。余裕が無くなると、周囲がぜんぶ憎たらしくなるのだ。自分の周囲の人間も、景色も、なんにも変わっていやしない。そこにあるのは余裕がなくなった本人だけなのに、あらゆるものがノイズに聞こえて、ぜんぶ無くなってしまえばいいと思う。なんにも聞きたくない、なんにも考えたくない。
そうやって限界に陥った人間の『想い』を大量にぶつけられた結果、あのセカイは壊れてしまった。現実世界において沢山の人を支えていた『初音ミク』を途絶えさせてしまうくらいの衝撃を、与えてしまった。

その時、あの壊れかけたセカイに他のバーチャルシンガーが居ればよかったのだろう。ステージのセカイでKAITOがみんなを救ったように、ストリートのセカイで、みんなで協力して波を防ごうとしたように。ミクに手を差し伸べて、「一緒に頑張ろう」と言ってくれる存在がいれば、よかった。
けれどミクはひとりで耐えるしかなかったから、ひとりで耐えて、ひとりで足掻いて、そして壊れてしまった。


『支え合った想い』

ひとりで壊れたセカイに埋もれたミクに、手を差し伸べるバーチャルシンガーこそ居なかったけれど。ミクには知り合いが沢山居た。「代わりに声を届けよう」と全員が動いたあの瞬間の感動は忘れられない。
フェスで、配信で、路上ライブで、動画サイトで、ステージ上で。皆がいつも通りを少し広げて、いつもより多くの人に声を届けようとする。同じ日に、異なる場所で、同じ想いが爆発した。
一度の鑑賞で全ての曲を把握しきれはしなかったけれど、衝撃のまま聞いた中でも込められた想いが共通していたことは感じ取れた。

伝え方が異なっただけだ。
ビビバスに背中を蹴っ飛ばされ、ワンダショに笑顔で手を引かれ。モモジャンは明るく行先を照らして、ニーゴは泣いてもいいと寄り添ってくれる。そしてレオニは、頑張って生きる姿を肯定してくれた。
5曲あったはずのライブシーンは、あまりにもあっという間だった。ビビバスの始まりで大興奮して引っ込んだ涙は、いつの間にか止まらなくなっていた。
ミクひとりでは届かなかった声を、皆が繋いで届け。途切れた歌をバーチャルシンガー達が引き継ぐ。重なり合った想いが歌となり、セカイとミクの本来の姿が現れる。

新しい、メインストーリーの始まりのようだった。


【おわりに】

もう色々と記憶が薄れているので、とりあえず思い出せるところだけ書き記してみました。気を抜くと「本当に良かった……」しか出てこない映画。最高だった。
家に帰ってシリアルコードを交換して、バツミクちゃんや他のみんなのカードを舐めまわすように見ました。ついさっきまで星2の交換は迷っていた!ビビバスのみんなとKAITOさん、瑞希ちゃんにしましたが……ミクちゃんを手に入れるべきだったかもしれない……!後悔は募るばかり。
さすがに国家試験を控えたこの時期に数回足を運ぶ勇気はありませんでした。無念。

会場前アナウンスから本編からアフターライブから、何もかもが良すぎて最高だったな……そしてBADDOGS推しは生きているんでしょうか。私は死んでいます。一緒に行った友人もバドド推しだったのでふたりで死にました。良かった。

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