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着たい服はないけど纏いたい香りはある

香りのことを考えている。元々、香りのことを考えていた訳ではなかったのだが、話題が派生してそうなっていた。

ムエットで色々試してみて、良い香りだけれども果たして自分が纏うような香水であるのかと思うようになった。

例えば、百合の香水を見つけたとしよう。新鮮で本当に百合が目の前にいると感じるほどである。フローラルな香水の独特な甘さだけではなく、茎や葉の青臭さもほんのりと感じる。しかし、本当に普段この香りを使うことはあるのかと考える。

この香りを纏う時は、好きな男に100年待っていてほしいと言って、100年後に接吻するときだろう。カーテンのように白い緩やかなワンピースを着て。

そのような素敵な場面があったらぜひ使いたいが、おそらく今後ないであろう。
というように頭を殴られるほどの香りであっても、普段使いできるかを考えるようになった。

あの日見た藤の美しさを思い出したくて、藤の香水を購入した私が言うのも説得力がないが。

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