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マラカイト

簡単な答えではないとは思いつつも、ひとは期待してしまうものだ。

答えはひとつじゃないのだろうし正解なんてきっとないよ。自分の中で居心地の良い最適解を見つけるほかないのだけれど、ひとは自分の指針を見失った時、どうしたらいいのだろう。針の狂ったコンパスはどこも指してくれない。全てが誤りで全てが正解で指標は自分で決めるほかないのだろうか。自分の手に全ての責任が委ねられることからのそのそと逃げ続けていたかったのに、逃れられない場所へやってきて、ああ今日も狂ってると思いながらカフェラテを飲む。そうだ最初から狂っていたんだ。

すきとかきらいとか有無を言わさず強制的に「〜せねばならない」日々に退屈して、毎日同じようなことを繰り返し、目には見えない宝の原石は目の前に転がっている。大切なのに捨ててしまいたくなる。大切だから手放したくなる。手放してしまいたくなっても、また甘えるように戻ってきてあなたは猫かな犬かななんて尋ねながら、そうかあなたは猫と犬のハイブリッドだったんだねなんて納得したりする。猫でも犬でもどっちでもいいよあなたのことがすきだよと言う。落ち着いたり落ち着かなくなったりする毎日。不安になる時にはマラカイトを握りしめて心身浄化したい、普段はそういうの信じないのに、今日も狂ってるね。

桜舞う季節がやってきて緑道を歩くと街灯に照らされる夜桜が狂気に満ちて怖くて慄き、散りゆく儚さは故郷の雪みたいで懐かしい気もする。歩いているとまた得体の知れない感情に支配されてどうしようもなくなってゆくから早く邪気を祓いたいよね、本当はそんなの信じてないんだよ。信じたくないことを信じないとやっていけないくらいに疲れてる。どうしようもないね。でもあなたのその感性はあなたにしかないから丸ごと愛したいよ。愛されたことを憶えてないから愛し方がわからないの。困っちゃうよね。うん、困ってる。困って欲しくてそうしてるのかなと思うくらい。愛おしいし、大切にしたいけど繊細で簡単じゃなくて本当に困っちゃうよね。だから今日もマラカイトをお守りのように握りしめて眠るしかできない、今日もおつかれ私おやすみなさい。