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願い

神様、どうか私をスターにしてください。
平々凡々な人生なんて絶対に嫌。
何かしなければ。何かを成し遂げなければ。
大衆からの注目、歓声、尊敬…喉から手が出るほど欲しい。

思い返せば幼少期の頃からそうだった。 
自分で作った積み木のステージで歌い踊っていた。幼稚園の催し物では1人目立つ衣装を着てステージに立っていた。
小学校に上がると所謂"天然ボケ"を装い周りを笑わせた。私の言動で周りが笑い出す。幸せだった。

だが、中学高校に上がるにつれ上手くいかなくなっていった。誰も私に見向きなどしない。何事にも上には上がある。現実を知った。自分の醜さも知ることになる。私は私の中でしかスターになることができなかった。学校から家に帰ると好きな音楽をかけ、ひたすら妄想に耽る。妄想の中の私は煌びやかな世界で常に輝いていた。幸せだった。
しかし、この妄想癖のせいで勉強や習い事の練習は疎かになり、みるみるうちに成績や私への評価は落ちていった。アホかと思われるだろうが、こうする事でしか自分を保てなかったんだ。

神様、どうか私を"スター"にしてください。
大衆からの注目、歓声、尊敬…喉から手が出るほど欲しい。
なぜ私を見てくれないの。

私はスターよ。




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