思ってきたこと、思うこと。

うまく言葉が出ない日々が続きました。


何週間か無理に仕事をせず、とにかくゆっくりとした時間を過ごしました。
基本的に止まるのが苦手で、何か新しいことを考えていないと人生がつまらなく感じてしまうタイプなのですが、どうにもやりたいことや、やる予定だったものをどうやって書いていけばいいのかわからなくなってしまい、ゆっくりと過ごしました。
言葉を紡ぐことが仕事ですが、それは自分の気持ちを整理する作業だったりします。
整理しようがなく、何か書こうとしても、今は書きたくないなと思ってしまい、大尊敬している方からのメールすら返信をするのに2日かかったりしました。
「返事が遅い不義理なやつだ」と思われるのではないかと思ったりしましたが、私の尊敬している大好きな方は「返事が遅い」などという理由で人を嫌いになったりする人ではないはずである、わかっているだろう、死ぬほどあたたかい人だ。と自分の中で自問自答して自分のペースで生きていました。
自分の芸術の無力さをもう心が張り裂けてしまいそうになるくらい感じて、しっかりとそこと向き合わないといけないと、とにかく自分がこれまでに何を描いてきて、どんなことをやってきて、今後それは何に繋がるのかを考えました。答えが出たからこれを書いているわけじゃないし、これも何日もかけて書いてます。


私のお芝居のファンの方々に皆さん共通することで、とっても分厚いお手紙にしてくださる方、メールでくださる方、SNSに書いたくださる方、ブログなどに書いてURLを送ってくださる方、アンケート裏面まで書いてくださる方、どれも皆さんとっても長文ですごい言葉数です。その皆さんの中から出てきた多くの言葉に私は次の作品を作る勇気をもらっています。

演劇は一人では作れません。素敵な出会いもたくさんあります。でも、同じ分、「どうしてこんな言葉を浴びせられながらやっていかないといけないんだろう」と感じて涙が出たり、我が子のように大切な作品を生み出したのに、生み出す機械のように扱われ、苦しくて押し潰されそうになって、もう劇団以外の仕事をしたくない、と感じることも今までありました。もともと私は心が強いタイプの人間ではありません。多分、強いと思ってくださっている方もたくさんいると思うんですが、それはそう見せている部分と、あと周りが弱い私を強く見せてくれていたり、この人たちのために強くありたい、と願って来れたからだと思います。
関わってくれている人たちをそういう人から守りたくて、でも自分もそんな強くなくて、みたいなことの繰り返しです。
そして何より、素敵な感想をいただけるから続けてこれました。これからもきっとそうです。

なるべくポップに、芸術家ぶらず、みんなが好き勝手言いやすい存在でありたいと思って、私は今のスタンスで活動をして来ました。
「自意識強い女」とか「ブス」とか、みんな面と向かっては人に言えないことも、私には言えて、SNSとかで私への悪口を書いて、その分誰かが悪口を言われないならそれでいいやと思って「言いたいなら言え。」を貫いてきました。
なんか言い方が難しいんですけど、ポップでいることで演劇の間口を広げたかったからなんです。事実まあまあ広げてきたと思っています。ほぼそこ評価されてなかったりするんだけど。
でも、評価してくれている人はいるし、何より届けなきゃいけないお客さんにちゃんと届いている実感はあるので全然これでいいんです。
演劇界の一部からめちゃくちゃ嫌われて、あることないこと言われて全然身に覚えのないことを言われることも日常茶飯事でした。
その度、「いや、演劇のためにやれることをやっていて、事実ある程度の間口を広げてきて、悪口は外部から言われるのはいいけど同じ演劇の人が言いたい放題言ってくるのってただただ辛い悲しい」と思って、でもとにかく前例がないこととかにいまだに優しくないんですよね、一部の人は。
飲み会で若手の頭叩いてそれが面白いと思って笑ってる演出家とか本当に昔から嫌いなんですよ。(そんな人超一部ね。)自分の誘いを断るのか?みたいなノリで夜中に電話ガンガンかけてくるのとかも本当に嫌で、全部断って、ブロックして生きてきたからそういう人たちは私のことが異常に嫌いみたいです。でも世の中の私のイメージはまだ「おっさんに可愛がられている。」みたいなのなんだなあーってTwitterとかで読んで思います。
21歳の時に某事務所のマネージャーに
「根本さんはもっとおじさんをうまく使って媚び売れば早く売れるよ」
って言われて、それから本当に芸能界ってまあまあクソだなって思ってきたし、共に作ってくれもせず、いいとこ取りの俺が育てた系の人は一切排除して活動してきて、気がつけば今までやった劇団外のちゃんとした公演は過去一度も男性のプロデューサーから演劇の仕事をもらったことがないと昨日気がつきました。断っているとかではなく、気がつけばそうなっていた、ということで自分の作品を広めたいと思ってくださるのは女性が多いんだなって感じたという話だし、まあ自分がやってることとしてそうなってるのはめちゃめちゃ健全だなと思っています。
とにかく私が苦手なのは今も昔も怒鳴って何かを押さえつけたりする男性でして。
そもそもこの文章をここに読みにきてくれているような人たちはとても優しく楽しい人たちだからこんなことをその人たちに言ってもしょうがないし、こんな文章読ませてごめんね、という気持ちに今なっています。ごめんね。
でも、たまにはこういうことを書かないと、というか今は書きたいから書いてしまいました。そうなんだ〜って読んでくれたらそれでもう私は十分です。
伝わらない人には永遠に伝わらないし、分かり合えない人とは分かり合えないし、でも私は分かり合うことを諦めたくないんですよ。毎度毎度仕事でもこれでもかってくらい長いメールを送ったり、話し合ったりして面倒くせえなと思われてる部分もあると思うんですけど、それでもちゃんと話がしたいんです。
昔はそういう意味わからん人に怒鳴られたりすると怖くて何も言えなくて泣いたりしていたんですけど、泣くと余計調子乗って言ってくるんですよ。だからとにかく相手がおかしなことを言っている時は、どれだけ今理不尽なことが起きているかを集中して考えてそこを話すようになりました。
あとはそうじゃないとっても素敵な大人にたくさん出会ってきて、私の立ち振る舞いを肯定してもらい、そこからちゃんと間違ってなかったんだと思えるようになって話ができるようになりました。
しっかりと何が正しい、と肯定してくれる人が近くにいることのありがたさってものすごいです。状況をわかって冷静に改善しようとしてくれる人も本当にありがたい。


私は作品を通じて、私の作品を欲している人に届けばいいやって思ってやってきました。私の作品を好きでいてくれる人はみんな
「まだ2回くらいしか観たことがないからファンなんて言えないんですけど」とよく言ってくださるんです。本当に私と似た人が私の作品を好きになってくれるんだなって思います。
「これ言ったらうるせえって思われるかな?」とか思っちゃうよね。
でも、そんなこと全くないんだよ。1回でも観てくれてることがまず嬉しいし、そこで感想を持ってくれたってことが嬉しいんです。なので、まだファン歴が浅いとか一切気にせず感想をもらえたら嬉しいのです。
解釈なんて決まりもないんです。あなたが感じたことが全て。
評論家が苦手ってのも本当に昔から変わらないし。めちゃくちゃ有名な演劇評論の人がチョコ食べながら観劇していたり、遅刻してきていたりなんかもうなんなんだよお前の仕事・・・と思ってしまって。これは前回の「ほまれ」にレミーの話書いたのが全てですけど。

作品に想いを込めて、普段はなるべくポップに、馬鹿みたいにいる。
こうしてきたけど、これの正しさと弱さを知りました。
私が「変われ、変えたい。」と願っている世界の住人にはこのやり方では届かないのです。だから今までとは少し違うやり方で戦っていこうと思います。こうして言葉にしっかり残しているのもその一部です。そのために今年からまたフリーになったのもあります。新しいマネージャーと、周りのスタッフはこのような状況の2020年を一緒に戦ってくれていますし、とても私の意見や言葉を大切にしてくれます。もちろん昔から変わらず一緒に作品を作ってくれているスタッフや俳優もそうです。
おかしな世界にはおかしいと言っていきたいし、素敵なものには愛を込めて言葉を伝えたいし、そのために芸術を選んだし、なので私は私のやり方で。
発言をしっかりと聞いてもらえるポジションまでいかないと、かすれた声で届かぬところに叫び続けているのと同じだということに絶望してしまいました。でもこの絶望は次の希望に向かうのに必要な絶望だし、しっかり自分の中に希望があるからこれを書いてます。
今のところに来るまでだって、めっちゃくちゃ大変だったのにさらにやれるのか私にその余力があるのか、正直わからないし不安も凄いあるんですけど、昔よりしっかりと人に「ここを助けてもらえますか?」と仕事で人に頼ることができるようになりました。昔はそれができず「なんで一人でやらなきゃいけないの!!」と勝手にいっぱいいっぱいになり、誰にもそれを言えず急に家で泣いたりしてたのがアホだなと今なら思えます。素敵な人にたくさん出会ったきたからです。素敵な人と、嫌なやつ適当なやつの区別がしっかりつくようになった、が正しいかも。
でも、言わないとそりゃ何を手助けしたいいか周りもわからないし、自分のせいだわって気がついて、何が一人でやれなくて何が苦手で、どこに手助けが必要かをしっかり考えて仕事をするようになっていろんなことができるようになりました。リモートでも仕事を止めずにやれたのは周りをしっかり頼れたからです。
本当に周りにありがとうって思ってます。

私は魔法使いでもなんでもないし、とっても普通の人間なので、「救う」ことなんてできないのかもしれないけど、でも自分の演劇で誰かの何を少しだけ引き伸ばしていくことができると信じて、その力がある作品だけを世の中に出し続けたいと思っています。
真っ直ぐで、嘘がなくて、真っ白で真っ赤で真っ黒なそのままの感情で作家をやっていたいです。


作品や活動を観て、聴いて、読んで、それで感想を伝えてくれるというアクションや力は本当に尊いです。数行の罵倒の言葉なんかそれらの尊い言葉で消せます。
素敵な心の綺麗な言葉使いがこの世からいなくなってしまうことは、とにかく悲しく心が張り裂けそうなこと。
私の作品を選んで伝えてもらった数々の言葉はずっと色褪せず、今後も何度も私を助けてくれることだと思います。

守りたいものを守って、自分の心も守って、戦わないといけないところと戦って、これからも私は私にやれるやり方で生きていこうと思います。
支え合いましょう。

いつだっておかしな世界はおかしいし、素敵な人は素敵です。
文章もどう受け取られるかわからないからすごい言葉を選ぶけど、今日書いたのは怒りの文章ではないことをわかってもらえたら。
うぜえむかつくみたいな話じゃなく、めちゃくちゃなことがありすぎるなと思っているのでしっかりと言葉にしていこうと思いました。何があったからとかではないのです。活動始めてからずっと変わらず思っていることです。

体調、みなさん引き続き気をつけましょうね。

今日からはまた頻繁にnoteを更新しようと思います。
有料だったり無料だったりです。
また、9月と11月に作品の発表予定もあるので、こんな毎日ですが共に楽しめることをつくりましょう。
楽しみをいろいろな気持ちを引き伸ばすように上手く使っていきましょう。

いつも私の長い文章を読んでくれてありがとうございます。


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