ウエストのモザイクケーキ

幼い時から変わらぬ味がある。
それは銀座ウエストのモザイクケーキである。


これまで32年間生きてきて、「美味しい〜」と感じた思い出のケーキはいくつか存在する。ロサンゼルスで食べたデビルスフードという名前のどこで食べたかわからないからもう一生食べることができないであろうチョコレートケーキや、名前すら忘れたがホテルオークラに一時期あった銀紙に包まれたバタークリームを使ったふわふわしたケーキ(説明になってない)や、2019年に閉店してしまった浅草アンヂェラスのケーキなど、ふと思い出した時に「あ〜食べた〜い」と思うケーキたちがわたしの人生にも多数登場している。


中でも幼少期から一番食べているケーキといえば銀座ウエストのモザイクケーキである。
格子状の2色のスポンジの間にバタークリームが入っていて、外側は薄いチョコレートで覆われているこのケーキはわたしのおばあちゃんの大好物で、おばあちゃんっ子だったわたしは祖母の真似をしてケーキといえばこればかり食べていた。
ケーキって自分の体が大きくなったからじゃなくて、実際に年々どれもこれも少し小さくなっていったり、味が変わったり、種類が変わったり変化があるじゃないですか、どこのお店も。でもこのモザイクケーキはわたしの味覚と視覚調べでは初めて食べたあの日から今日まで味も形も変わってないんです。
ずっとあるものなんて存在しない世の中でいつまでも変わらずあり続けようとしてくれるこのケーキは、嬉しい時も悲しい時もわたしに寄り添い、一緒に32年間を歩んできてくれたケーキなのです。

「日常」がどんどん「日常」でなくなってしまう日々の中でいつ、どんな時に食べても同じでいてくれる存在に近頃改めて救われて、どんな時に食べても子供のわたしが走って戻ってきます。

バタークリームのケーキって好きなものと嫌いなものがあるのですが、このシンプルなモザイクケーキはいくつになっても飽きが来ません。


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今日も美味しかったです。

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