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窮栄レインメイカー 最弱激安スキル縛りでデスゲーム攻略配信 #QeNDA2
「オシゴト終了!討伐数トップ、『時間停止』イチカ!報酬20億円獲得!」
アナウンスとともに、札束が降り注いだ。
「アッハハハ!すごいよキューちゃん!この『異能力』最強!」
親友の私も見たことのない笑い方で、イチカは手を伸ばす。
が、掴めない。札束が消えた。
「異空間使用費、1億円」
「え?」
「オシゴト参加費、2億円。人件費、企画費、蘇生費」
彼女がかき集める端から、金は消えていく。
「待って待って!」
「及ビ『異能力』使用費。計30億円。債務超過。破産!」
強い『異能力』ほどお金がかかる。『時間停止』乱発が自殺行為なのは分かっていたはずなのに。
イチカの体がバラバラと崩れ、紙幣になっていく。虚空から手が何本も伸び、それを回収する。
思わず駆け寄る私を、イチカは必死の形相で指さした。
「あっちから取って!連帯保証人なの!」
そういうことか。
でも取立ては止まらない。イチカは消えた。絶望する暇もなく私も換金され始める。
「生涯年収2億ってとこか。お前も破産だぞ」
不躾な声に振り返ると、スマホを私に向けてニヤつく男子がいた。
「連帯保証人になるとか、アホなの」
「イチカは親友だもの!」
「まだそんなこと言えんの」
「言える!」
男子はさらに口の端を吊り上げる。
「いいね、お前。10億で買った」
彼の言葉に反応したように、体の変換が止まった。
「精算完了。キューコ、債務完済!」
「な、何で?」
男子は私にスマホを見せる。配信画面には大量の投げ銭。
「俺、エイジ。デスゲーム配信者」
「そうじゃなくて」
なんで10億も、と訊くのを、巨大な咆哮が遮った。
「オシゴト継続!レンタル『異能力』開示!」
「よォしキュー子!一番安いやついけ!」
討伐に失敗すれば、当然死ぬ。元手は僅か。一番安くて弱い『異能力』で攻略する必要がある。
「でも『マッサージ』で怪獣退治は無理だよ!」
「だからだろうが!バズるぞォ~これは!」
つづく
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