どんどん出てくるサウナの車 赤坂サウナ祭り(サウナレポ)
サウナの本場、フィンランドには、サウナのついてる観覧車や、サウナのついてるバーガーキングなどがあるらしい。恐ろしいサウナ愛ぶりだが、本邦も負けてはいない。
バスを自走式のサウナに改造してしまった「サバス」、そして冷蔵トラックの荷台を、サウナと冷却室に改造してしまった「サウナフリーザー」。日本の誇る奇サウナに入る……もとい『乗車できる』イベントが赤坂であると聞き、筆者は「赤坂サウナ祭り」に飛んだのだった。
「赤坂サウナ祭り」は、赤坂のTBS付近で開催されていたサウナイベントだ。
僕はテレビはNHKしか見ないので(お金を払っているのでNHKは見る)、民放にはあまり詳しくないが、どうやらサウナ関連の番組などをやっている縁のようだ。だが、そんなことはあまり関係ない。「サバス」に乗れる、それが重要なのだ。
桜が微妙に咲いている中会場にむかうと、遠くからでもわかる異様な存在感。バスが止まっている。都会の真ん中に。
受付からシャワーなどをすませ、水着を着て会場に出る。
目玉の「サバス」と「サウナフリーザー」、そしていくつかの小さなサウナつき車がとまっていた。休憩スペースもしっかり設けられている。
サウナにこだわるとテレビはうるさくてイヤ、と敬遠されがちだが、なにせ運営がTBSなのでテレビがあった。
ひとしきり回って、「サバス」と「サウナフリーザー」の圧倒的な存在感を確認する。水風呂ももちろん完備されていて、さらにホットタブ、お湯まであったのがすごい。だいたいこういうイベントは水だけしかなくて、水風呂前はお湯で汗を流す派としてはそこがちょっと不満だったのだ。このイベントは、わかってる人間が、しかるべき予算で運営しているようだ。
さっそく「サバス」へ。
バスの後ろ半分がサウナ室になっており、普段バスで使っている座席と同じ形にサウナの座席があるのが、かなり面白い。
普通のサウナ室と比べて狭めで、しかも大きな薪サウナストーブのため、温度感は高い。バスの座席によくある、タイヤの上にあるので位置が高くなっている席が、サウナ室の上段のような役目をしているのにシナジーが発生している。
それだけでもだいぶ面白い+サウナとしてよくできてるのだが、「サバス」にはもう一つコンテンツがある。
わはは。面白すぎる。
これがやりたすぎて、サウナ室内の成人男性たちが、まるでバスの降車ボタンを押したがる子供のように、機会をうかがっているのだった。
このボタンはサウナストーブのすぐ近くにあるため、迂闊に触れないぐらい熱くなっている。
しかし、この仕組みは面白さだけでなく実利もあるもので、従来のセルフロウリュと違って、蒸気でやけどすることもないし、水を補給するために室内にスタッフが何度も入らなければならないこともない。全サウナに導入してほしいぐらいだ。
思っていたよりもサウナとしてしっかりしていて、大満足なのだった。
少しぬるめの水風呂にしっかり入り、春のうららかな外気で外気浴をし、完全に良い状態になった。
続いて目玉その2、「サウナフリーザー」へ。
この奇怪な機械(ハンターハンターの念能力みたいだね)について、筆者はどうも冷凍室が自走するらしいということは知っていたが、まさかサウナまでついているとは思わなかったので、実物を見てかなりビビった。
従来、車と合体したサウナやテントサウナは、各地の湖や川を天然の水風呂とするために作られているものだが、「サウナフリーザー」はひとつの車にサウナも、水風呂がわりの冷凍室も完備してしまったのだ。何がそこまで駆り立てるのかは知らないが、すごいということは確かだ。
サウナ室に入ってみると、ほとんど照明のない中に薪サウナが煌々とともっている。「サバス」もそうなのだが、車についているのに燃料や電気ではなく薪で動いているのが不思議だ。(よく考えるとサウナぐらいの熱をずっと出していたらいくらガソリンがあっても足りないのだろう)
形は座面がストーブより高くなっている「SAUNAS」のケロサウナに似た構造で、かなり使いやすい。狭いながらもかなり過不足く、好みのサウナだ。ロウリュの音もいい。
十分に蒸されてから外にでて、荷台の前半分、冷凍室のほうに向かう。
車の荷台に部屋があるというのは外見からすると不思議すぎる。ドアをあけると、ビョウビョウと冷気のこもった風がふきつけて、容赦なく体温を奪っていく。床に結露した水が凍っているぐらいだ。本来はたぶんマグロとかを冷凍したまま運ぶためのものだろう。少なくとも裸の人間が入るものではない。
温度感としては「サウナラボ神田」のアイスサウナと同じぐらいの感覚だ。水風呂の冷却感よりはマイルドだが、十分体温が奪われる。いい感じだ。
そのまま外に出て、非常に良いサウナ体験をした。
「サバス」も「サウナフリーザー」も、見た目の奇抜さ以上によくできたサウナで、大満足だった。
他にも小さなサウナ小屋カーがいくつかあり、セルフロウリュすると一気に熱くなる感じが良いものだった。
「赤坂サウナ祭り」はもう期間が終わってしまい、しばらくは「サバス」や「サウナフリーザー」を見かける機会はないだろうが、もし色物だと思って敬遠している人がいたら、ぜひ機会をみつけて体験してほしい。
サウナに行きたいです!