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2021年10月の記事一覧
熱波師戦争、あるいはアウフグトゥスの乱
《熱波到来》以前のファランクスの歩兵が見れば、それは自分達に対する侮辱と受け取ったに違いない。
厚手の布を手に提げた薄着の男達の一団が、密集陣形を取りながら一糸乱れぬ行進を続けている。逞しい彼らの肉体は数百度の外気に晒され赤銅色に輝き、身に纏った短衣には「熱波魂」「豪風招来」「サンタナ」と極太の書体で認められている。
「下がれ!熱の民が無許可でエア・スクリーンへ接近することは誓約で禁じられてい
革命は正しい思想から
不穏分子からの逆流汚染を嫌って、思想再教育キャンプの2階層以深には、職員が生身で立ち入ることが禁止されている。
つまり、この手作りサウナには誰も来ない。
「おいエリス!!バカ、てめえ!」
おれはクソ女の襟首をつかんで揺さぶった。気付くと理三郎が息をしていなかった。
「ロボット三原則知らねえのか!やりすぎだ!」
「わたしはロボットではありません」
「アンドロイドでも一緒だ!バカ!心臓マッサージ
ワンサウナ、ワンユニヴァース。
池袋『かるまる』のケロサウナから、サンダートルネード水風呂に入る。やっぱシングルはすごい。体をふいて外気浴へ。心臓の鼓動が全身に広がり、意識が、あーととのう、宇宙を感じる、というか宇宙だ。宇宙が生まれている。ビッグバンだ。宇宙はめちゃくちゃ熱い何かが一気に冷えてできた。熱→冷。サウナだ。俺の中で宇宙が生まれるのも道理か。脳内の宇宙で銀河ができる。あれは地球だ。マグマが冷やされて固まり地球になる。
もっとみる竜をサウナに入れるには
熱と蒸気の吹き出す火口を、周囲の山ごとすっぽりと覆う天幕。巨大なテントサウナだ。自衛隊のヘリと、地上の観測施設から、多くの人間が固唾を呑んでそれを見上げている。
「開きました!」
観測手が叫んだ。テントの入り口が開き、中からサウナハットをかぶった竜が出てくる。文字通り山を巻く巨体。全身の鱗が蒸気で濡れ、美しく光を反射している。
竜は体をのたうたせ、かつて登別の市街地だった場所を破壊しながら、
惑星サウナOE6Yの開発について(正式計画名は来年以降決定予定)【逆噴射プラクティス】
私こと鎮守院征士郎は、庸の一環で課せられた定期系外探査の最中、全球水の惑星を発見した。皇帝は、それをサウナにすることにした。光栄にもその総監督に命ぜられたのが本件の端緒である。
今年、帝暦39621年は、今上陛下在位98年になる。
再来年の治世100年を記念するイベントの一つとして発案されたその史上最大のサウナ建設は、例によって惑星上の全動体総燼滅作業から始めることになり、それは順調に推移