運命に抗え!「バ美肉紅白2024」開催レポート【ボイチェン初勝利】
開催5回目にして「ボイチェン」チームが念願の初勝利!
科学の力・ボイスチェンジャーを駆使して声を変える「ボイチェン」チームと磨き抜いた発声技術のみで声を変える「両声類」チームが「kawaiiボイス技術」を競い合うメタバース内の歌合戦イベント、「バ美肉紅白2024」が12月28日に開催された。第5回となる今回は過去にも増して壮絶な技術の応酬が繰り広げられ、「ボイチェン」チームが念願の初勝利を手にした。
メタバースでの音声技術はアバターと合わせて「なりたい自分になる」ための最後の鍵として注目されているが、非常に難易度が高く今後のさらなる発展が期待される分野である。その可能性を発信するため、3時間に及ぶイベントの動画アーカイブが無償公開された。
この記事では、そもそも「ボイチェン勢」「両声類」とは何なのか、出演メンバーの音声技術、イベントの模様、みなさんから頂いた感想を紹介する。約8,000字。書き下ろしである。
※2025/1/7追記:激闘8分ダイジェストを公開
※12/30追記:合唱MV「ディビデュアル ~姉妹校合唱 ver.~」公開
🐸⚡️🐸⚡️メタバース音楽ライブ「バ美肉紅白2024」🐸⚡️🐸⚡️
バ美肉VTuber(バーチャルYouTuber)8名が「ボイチェン(=ボイスチェンジャー)」チームと「両声類」チームに分かれて「kawaiiボイス」を競い合う、メタバース内の歌合戦イベント。単なる音楽ライブではなく、各メンバーが磨いた音声技術の実演博覧会である。メタバースで美少女になる文化「バ美肉(バ―チャル美少女受肉)」と音声技術の振興のために毎年開催されており、今回は第5回となる。
両チームのメンバーが歌唱と技術紹介を披露したのち、来場者の決戦投票により勝敗を決定、勝者チームがその年の「紅組」の栄冠を手にする。これまでの第1~4回は全て両声類チームの勝利であった。
今回は「私立バ美肉学園の文化祭」をモチーフに、メタバース「cluster」内の特設ステージで開催された。
※2025/1/7追記:激闘8分ダイジェストを公開
3時間以上に渡って行われたイベントのYouTubeアーカイブをチャプター付で無償公開中だ。ライブでの総視聴者数の合計は約900名であった(clusterメタバース会場来場者322名、YouTube Live視聴者約566名)
「両声類」「ボイチェン勢」って一体なに?
男性と女性の声の「高さ」には一般的に約1オクターブ(12ピッチ)の違いがあり、kawaiiボイスを出すためにはいかにして声の高さを上げるかが一つの課題となる。
それに加えて、男女の声には「声質」の違いも存在する。以下の図は縦軸を「声の高さ(ピッチ)」、横軸を「声質(フォルマント)」とした二次元kawaiiベクトル空間である。このように「kawaiiボイス技術」と一括りに言っても、どのように目標の地点に辿り着くか、様々なアプローチが存在するのだ。
「ボイチェン勢」とは、「ボイスチェンジャー(ボイチェン)」と呼ばれる機械で音声を変換し、現実とは違う声で喋ることを目指す者達だ。音響加工機器を利用する「HW(ハードウェア)ボイチェン」、PC上のソフトウェアで音声にエフェクトをかける「SW(ソフトウェア)ボイチェン」、機械学習を用いて別人の声に置き換える「AIボイチェン」など、様々なタイプが存在する。いずれも音質や遅延などの問題があり、自在に使いこなすには高い技術を要する。大規模公開アンケート調査「ソーシャルVRライフスタイル調査2023」では、回答者の約9%がボイチェンを利用していた。
「両声類」とは、ボイストレーニングを極めることで声帯を自在に操り、男声・女声両方を生身で出し分ける発声技術を獲得した者達だ。非常に難易度の高い技術だがメタバース住人の中では一定数が両声類として暮らしており、畏怖を持って「両生類」ならぬ「両"声"類」と呼ばれている。同調査では、回答者のうち約4%が両声類であった。
2024年に行われた定性調査「メタバースでのアイデンティティ」では「ソーシャルVRでは物理現実と行動が変わる」と答えた62%の回答者の自由回答の中には「アバターの外見に合わせて行動を変えている」「喋り方が変化する」といったコメントが見られた。
※出典:メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)、ソーシャルVRライフスタイル調査2023 (Nem x Mila, 2023)
⚡バーチャル美少女ねむ(ボイチェン):『二次元kawaiiベクトル空間』で分かるkawaiiボイスの秘密
ねむは「訓練ゼロ&スイッチひとつで全人類kawaiiボイス」を目指しており、音声技術(筋肉)を一切使わずピッチもフォルマントも全てボイチェンで加工するアプローチ。ステージでは、色んな声を出すことのできるボイチェンの特性を活かして「色んな自分とハモる」パフォーマンスを行った。
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⏩️12:15 ⚡️ねむ「ignited -イグナイテッド- / T.M.Revolution」~FREEDAMで20年越しの運命の呪いが解けたシンに西川貴教衣装で捧げる~
⏩️17:44 ⚡️ねむ:『二次元kawaiiベクトル空間』で分かるkawaiiボイスの秘密
⏩️23:14 ⚡️ねむ「ファントムセンス AM3:00 REMIX 2025(オリジナル)」~ボイチェンなら色んな自分を作ってハモれる~
🐸hal(両声類):女声は『英会話』と一緒!? 目指せkawaiiバイリンガル♪
halは、女声技術と『英会話』との共通点を指摘し、リスニング・座学・実践で「kawaiiバイリンガル」を目指す手法を解説。ステージでは、架空の「蝶ネクタイ型変声機」を使って、男声と女声を瞬間的に切り替えながら歌う超絶技巧と透明感のある美しい歌声を披露した。
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⏩️29:30 🐸hal「勇気の神様 / 野田順子」
⏩️34:45 🐸hal:女声は『英会話』と一緒!? 目指せkawaiiバイリンガル♪
⏩️39:23 🐸hal「Feeling Heart / 中司雅美」~蝶ネクタイ型変声機で爆速男女切り替えで歌う~
⚡️セイ・クイーン(ボイチェン):必勝のため編み出した新技「地声&裏声のWボイチェン歌唱」でカッコイイとカワイイを超融合!?
セイは昨年の敗北の悔しさをバネに編み出した新技「地声&裏声のW(ダブル)ボイチェン歌唱」について解説。ボイチェンに導入する声を地声と裏声で瞬時に切り替えることにより、カッコイイとカワイイを融合する、ボイチェンでしかできない新たな音声表現をステージで披露した。
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⏩️45:20 ⚡️セイ「恋のミクル伝説 / 朝比奈みくる(後藤邑子)」
⏩️49:25 ⚡️セイ:必勝のため編み出した新技「地声&裏声のWボイチェン歌唱」でカッコイイとカワイイを超融合!?
⏩️55:25 ⚡️セイ「唱 / Ado」~地声&裏声のWボイチェン歌唱~
🐸荒木パカ(両声類):衝撃の両声類デスボイス
パカはVTuberとして活動したりVRChatで喋るなど、女声で喋るのを「日常」にすることで練習を生活に組み込むことの大切さを力説。ステージでは衝撃の「両声類デスボイス」による圧倒的な世界観で観客の度肝を抜いた。
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⏩️1:02:07 🐸パカ「世界は主観だから救いは自分の中にあるよ(オリジナル)」
⏩️1:05:15 🐸パカ:女声で喋るのを「日常」に! VRChatで喋りまくれ!
⏩️1:09:37 🐸パカ「Ley-line / Fear, and Loathing in Las Vegas」~衝撃の両声類デスボイス~
⚡️日野みのり(ボイチェン):ピアノ生弾き語りとボイチェンkawaiiボイスで"誇り高きアイドル"に
みのりは美少女アイドルを目指すため、自身の音楽的素養を活かした「MIX師」的な音響加工アプローチによりkawaiiボイスを創造する手法について解説。ステージでは、ピアノの「生弾き語り」とボイチェンkawaiiボイスの「生歌」により"誇り高きアイドル"を目指す自身の生き様を見せつけた。
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⏩️1:15:12 ⚡️みのり「恋愛サーキュレーション / 千石撫子(花澤香菜)」
⏩️1:20:25 ⚡️みのり:MIX師的音響加工アプローチを極めて「kawaii」を創造する
⏩️1:26:00 ⚡️みのり「誇り高きアイドル / HoneyWorks feat.Kotoha」~ピアノ生弾き語りとボイチェンkawaiiボイスで"誇り高きアイドル"になる~
🐸あまちじょんこ(両声類):4000部突破の「kawaiivoiceを目指す本」の最強理論! 最高効率で目指すkawaiiボイス!
じょんこは自身で発行している4000部突破の「kawaiivoiceを目指す本」で展開する最強理論について解説。声を分析して「視覚化」することにより、行き当たりばったりな修行ではなく、最高効率でkawaiiボイスを目指す手法について解説した。ステージではアバターを切り替えることにより全く違うキャラクター・声・歌い方を出し分けるパフォーマンスを行った。
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⏩️1:34:00 🐸じょんこ「星座になれたら / 結束バンド」
⏩️1:39:49 🐸じょんこ:4000部突破の「kawaiivoiceを目指す本」の最強理論! 最高効率で目指すkawaiiボイス!
⏩️1:47:33 🐸じょんこ「ルル / やくしまるえつこ」
⚡️ララン(ボイチェン):ピッチ+12のソース系ボイチェンで美しい超高音オペラボイスを出す、たった一つの方法
ラランは、ピッチ+12とボイチェンで声の高さを大きく加工しながらも、音質を保って美しい超高音オペラボイスを出すため、試行錯誤の末辿り着いた独自のアプローチを解説。ボイチェン超高音オペラボイスで自分自身が"最強の推し"になる、圧巻のステージを魅せつけた。
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⏩️1:55:04 ⚡️ララン「なまらめんこいギャル / オーイシマサヨシ」~ボイチェン超高音オペラボイスで"ギャル"になる~
⏩️1:59:43 ⚡️ララン:ピッチ+12のソース系ボイチェンで美しい超高音オペラボイスを出すたった一つの方法
⏩️2:08:30 ⚡️ララン「最強の推し! / 鈴木愛理」~ボイチェン超高音オペラボイスで"最強の推し"になる~
🐸雫月 / シズキ(両声類):「ンナァー」発声練習と公開練習で楽しみながら「自分だけ」の声を作ろう
雫月は、独自に開発した「ンナァー」発声練習を披露。公開練習で楽しみながら「自分だけ」の声を作ることの楽しさと大切さを語った。ステージでは、両声類ならではの「無段階男女ボイス切り替え歌唱」で会場を湧かせた。
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⏩️2:17:42 🐸雫月「はっぴぃにゅうにゃあ(迷い猫オーバーラン!)」
⏩️2:23:00 🐸雫月:「ンナァー」発声練習と公開練習で楽しみながら「自分だけ」の声を作ろう
⏩️2:31:26 🐸雫月「花ハ踊レヤいろはにほ(チーム"ハナヤマタ")」~両声類ならではの無段階男女ボイス切り替え歌唱~
「ボイチェン」初勝利! ボイチェン&両声類で「ディビデュアル」合唱
来場者投票の結果、バ美肉紅白「第5回目」にして、遂に「ボイチェン」チームが投票率75%で念願の初勝利を飾った。
両声類もボイチェン勢も磨き抜いた技術を惜しみなく注ぎ込んだ高度なパフォーマンスの連続であった。「なりたい自分」への鍵であるバーチャル音声技術の新たな時代がここからはじまりそうな、希望にあふれるイベントとなったのではないだろうか。
最後はボイチェン&両声類全員でバーチャル美少女ねむ「ディビデュアル -分人新生-」の合唱を披露した。
※12/30追記:合唱MV「ディビデュアル ~姉妹校合唱 ver.~」公開
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⏩️2:44:17 その時歴史は動いた!「ボイチェン」チーム初勝利! みんなの感想
⏩️2:56:00 ⚡️ボイチェン⚡️&🐸両声類🐸合唱「ディビデュアル -分人新生- / バーチャル美少女ねむ」
出演者の感想
おまけ:出演者&スタッフ打ち上げ
みんなの感想
応援ありがとうございました! よいお年を!
みんなのレポート
Vの原石発掘隊(月宮みやびさんブログ)
こちらにバ美肉学園メンバーの舞台裏トークがまとまっています! みんな真剣に挑んでくれてありがとう!
武州路回遊さんのnote
メディア掲載歴
バーチャルライフマガジン
ClusTimes
テックピックス
VTuber Post
VTuber Labo
プレスリリース(株式会社ブイノス)
※イベント告知時のメディア掲載は別途こちらにまとめてあります
1/5まで「Cluster Accelerator Awards 2024」推薦受付中
2024年心に残ったclusterイベントはありますか? 私もバ美肉紅白など多数イベントを開催したり、他の方のイベントに出演しました。良かったら推薦してね♪
過去の「バ美肉紅白」レポート
昨年行われたバ美肉紅白2023(第4回)。モチーフは「関ケ原の合戦」
バ美肉紅白2022(第3回)。モチーフは「アウトレイジ」
バ美肉紅白2021(第2回)
バ美肉紅白(2020、第1回)
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