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ガチ勢が選ぶ! バーチャル美少女ねむライブ配信傑作選【人類美少女計画の歩み】
ねむのライブ配信全241本からガチ勢が選んだ珠玉の5作品とは!? ねむが駆け抜けた7年半の思想の歩みが遂に明らかに!
「ねむちゃんねるに上がっている動画を全て観た(!!!)」というねむちゃんねるガチ勢「ソーサツ・チエカ」さんが、私の7年半に及ぶ活動のライブ配信アーカイブ241本から、おすすめの5作品をピックアップして見所長文徹底解説記事をまとめてくれました。
まるで私の脳内を4次元的に構造解析したかのような興味深い内容でした。私は基本的に勢いと好奇心だけで活動しているのですが、活動を通して私の興味がどう変化し、どう思想が形成されていったのか、ポイントを抑えて分かりやすく解説されたクロニクル(年代記)とも言えるレポートです。これまで無我夢中でやってきた活動が、なんだかんだしっかり私の血となり肉となってるんだなと感動してしまいました。また、傑作選をならべると、大人数(3人以上)での対話よりも、「一対一での逃げ場のない魂のぶつけ合い」から思いも寄らないトーク回しや新しい発見が生まれるケースが多いのかも? などなど、他者の視点による新しい発見もありました。
この記事では、ソーサツ・チエカさんによる解説を一部抜粋し、私のコメントと共に紹介します。
①「バ美肉バレるとどうなるの?【jumius】」2021.03.18
バ美肉にも動機やポリシーによって異なるタイプがあること、物理現実での生活でもバーチャル美少女であることを隠さない例が周知されたこと、人間に対するインターフェースとしての「かわいさ」を工学的に作る試みが国立大学で研究テーマになっているという希望、jumiusさんのかわいさ、ねむさんの反応の限界ぶりなど、意義も見どころも多い回です。
ハイライトは、バーチャル美少女になった動機をjumiusさんが明かす53分01秒以降のシーンです。このやり取りで、元々そのケがなかったところから、自分の精神に美少女を強制的に作り出したねむさんとの違いが鮮明になります(あるいはもしかすると、今美少女になっている方たちの中ではねむさんの方が特殊な例なのかもしれません)。
『メタバース進化論』でまとめた私の考えは、実はこの配信の後jumiusさんとVRChatで毎夜毎夜繰り返した対話の数々から生まれたといっても過言ではないのですが、まだ出会ったばかりの頃ですね! いまよりずっと初初しいゆみちゃんがとにかく可愛いです(限界)
②「ハネたんと徹底討論! 二次元VTuber VS 三次元VTuber」2019.01.04
この動画の意義はひとえに、ねむさんの「VTuberのVはVRのVではない」という発言を引き出したことにあります。これは見かけ以上に重大な宣言で、萌え擬人化ブームからボーカロイドを経てVtuberへと続くバーチャルキャラクター実践が、技術や媒体に囚われない、社会的・文化的・心理的な実践の一つの流れであることを示しています。ねむさんの今に至るまでの活動を貫く思想的な軸でもあり、この一言を理解すれば人類美少女計画の全てを理解したことになります。
懐かしい~!!! 色んな人と対話して試行錯誤していた時期ですね。言われてみると、確かにこの配信はその後展開する私の思想のベースが生まれた瞬間と言えますね。
③「著者が答える『メタバース進化論』【全レス】」2022.05.13
タイトル通り、『メタバース進化論』の発売を記念して、リスナーから寄せられるコメントに答えていく配信です。質問の多くは既に『メタバース進化論』または過去のねむちゃんねるの動画またはねむさんのtwitterで答えられているものですが、それらを通じて、ソーシャルVRへの参入やメタバースブームを経てもねむさんの活動コンセプトの根幹が変わっていないことを確認することができます。
ねむさんのソーシャルVR参入前(VRchatから配信をするようになる2019年以前)からの違いとして、「人類美少女計画」という言葉を使わなくても人々がメタバースで自然に美少女に辿り着くだろうという確信を強めていること(包帯少女makoちゃんさんの質問への答え)と、美少女になる前の自分を保存することを分人主義に基づいて認めるようになったこと(伊藤正樹さんの質問への答え)が見て取れます。これらは、ソーシャルVRで美少女アバターによる自己表現やコミュニケーションの例に多く接したことや、活動歴が長くなって美少女と物理現実の自分との関係が安定してきた(のかもしれない)こと、企業や行政の案件が増えてきたことの影響でもあるでしょう。私としては、Vtuberの「喰われ」として語られるような自己認識の不可逆な変化をも受け入れるという腹を括って自発的になる美少女が好きなのですが、業としてやっているのではないメタバース住民の実態に沿うなら、表向きは分人主義を平野啓一郎さんの定義に近い形で解釈して、一つの肉体に宿る精神のうちの数ある側面とするのが無難です。活動コンセプトを「なりたい自分になる」と表現し始めたのもその一環だと思っています。
半年くらい書籍執筆で全然配信できなかったので、ぶちまけるようにしゃべくりまくったのがすごく気持ち良かった記憶があります(笑)
④「シン・VR飲み会 ~クラフトビール講座②~ 【リーチャ隊長✕ねむ】」2022.06.05
記事の冒頭で「話している内容が真面目な社会改良の議論を含む」と書いたのですが、シン・VR飲み会シリーズのリーチャ隊長回に限っては真面目な内容が一切なく、あったとしてもリーチャ隊長が呂律の回らない声でしゃべっていて今ひとつ緊張感がないので、頭を使わず楽しく聞くことができます。それでいて、ねむさんの話の運び方は普段の配信とは違う種類の知性の産物で、開幕からの畳みかけるようなダル絡みや、「そんなこと言っても隊長にはわかんないと思うんだよね」を合図としたテンドンなどは、第三者としてはいつ聞いても笑えるものです(当事者としてリアクションするのは御免蒙りたいですが……)。
私、自分の「語り口」(トーク回し)我ながら結構面白いと思いつつ、これまでその魅力をうまく言語化できなかったんだけど、完全にコレでした!(いつも狙って出せるとは言っていない)
⑤「池谷和浩×バーチャル美少女ねむ『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント」2024.06.21
言葉、特にその内容ではなく形式(語り方)が持つ奥深さは、画像や映像の刺激に偏っているソーシャルVRではあまり語られない事柄で、ねむちゃんねるでもそれを主題にした企画はこの対談が初めてです(2020年3月の「このセルパブがすごい!2020 特別インタビュー」回は、ほぼ内容についてのみ語った動画でした)。しかし、バーチャルなリアリティを作り出す技術のうち最も古く最も強力なものが言葉であることを考えれば、池谷さんのようなタイプの作家がバーチャル文化と関わりを持つことはごく自然であり、また必要なことでもあると思います。私が個人的に好きなテーマでもあります。
池谷さんとの配信は私にとっても予想外の発見の連続で、言語的な観点と組み合わせることでバーチャル文化の新たな切り口の可能性が垣間見れました。異分野の方と話していて面白いのはこういう瞬間ですね。
番外編「VRおじさんの失恋【120】」2021.3.13
個人的には、傑作選に「VRおじさんの失恋」が入ってなかったのはちょっと意外でした。これが一番好きという意見結構多く聞きますし、私的にもベスト配信かもと思っています。狙っても作れない、なんとも言えない気まずい空気感がたまらなく好き(笑)またいい感じの三角関係を見つけたら続編をやりたいと思っているのですが、面白い事件自体は結構あっても、なかなか関係者全員が出演快諾してくれるケースに恵まれないですね。
「VRおじさんの失恋」回は、私が個人の人間ドラマよりも人類の精神史という大きなスケールの話に興味があることと、ガードが堅めの120さんと望Nさんの反応を引き出しきれていないように見えることから、ベスト5には入りませんでした。120さん回では私はこれが好きです。
ソーサツチエカさんの解説全文はこちら!
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