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ナウシカ✕進撃の巨人✕メタバース『宇宙・動物・資本主義』稲葉振一郎✕バーチャル美少女ねむ 公開対談レポート

『風の谷のナウシカ』や『進撃の巨人』、社会現象になったサブカルチャーを構造分析することで、神なき時代に醜く足掻く自分を肯定する姿勢それこそが「人間」であるという、テクノロジー時代の指針となる新たな哲学が浮かび上がる…!!!

ご著書『宇宙・動物・資本主義』刊行記念に、なんと社会哲学者「稲葉振一郎」先生と公開対談させて頂きました! 緊張しましたが、先生のテーマに触れられたのと、メタバースに関する議論もできて楽しかったです。学びばかりで非常に貴重な時間となりました。如何だったでしょうか。

この記事では、配信にチャプター機能を付けたのでその紹介と、私自身の感想(というか対談後メモ)とみなさんから頂いた感想をまとめました。


6.23 稲葉振一郎✕バーチャル美少女ねむ 公開対談『宇宙・動物・資本主義――稲葉振一郎対話集』発売記念

6.23 稲葉振一郎✕バーチャル美少女ねむ 公開対談
『宇宙・動物・資本主義――稲葉振一郎対話集』発売記念

現代日本が誇る不世出の社会哲学者・稲葉振一郎の膨大な仕事、広大な関心領域を一望のもとに収めた初の対談集『宇宙・動物・資本主義――稲葉振一郎対話集』が5月24日に発売された。人間とはいかなる存在か? AIや動物は? そして社会はどこへ向かうのか? 本書初出6本を含む白熱の対論12本を含む、大ボリュームの大著となる。

そしてもう一つ、現在大きく注目を集めているのが"人生を送ることのできる仮想空間"「メタバース」だ。

本書の発売を記念して、6月23日(日)20:00より、稲葉振一郎とバーチャル美少女ねむによる公開対談をねむのYouTubeから無償でライブ配信することが決定した。不世出の社会哲学者はメタバースが人間・社会に及ぼす影響をどう見るのか? メタバースで生きるバーチャル美少女は対談集からどんな未来を思い描くのか。本書に収まらなかった「もう一つの対談」から目が離せない。

本対談は書評新聞『週刊読書人』の主催によって行われ、対談の模様は後日記事化され『週刊読書人』に掲載される予定だ。

6.23 稲葉振一郎✕バーチャル美少女ねむ 公開対談
『宇宙・動物・資本主義――稲葉振一郎対話集』発売記念

チャプター

予想通り(?)なかなかカオスな対談になったため、配信アーカイブにチャプターを付けてみました! 時間クリックで該当箇所を一発再生できます。今回特に稲葉先生と、『風の谷のナウシカ』と『進撃の巨人』から読み解く「人間とは何か」について議論させて頂いたパート、そして、「アバターとは!?」についての考察が見どころです。

  • 01:55 オープニングトーク 稲葉振一郎✕バーチャル美少女ねむ

  • 10:15 今回の対談の経緯について

  • 14:05 ねむの感想から激論 -『風の谷のナウシカ』と『進撃の巨人』から読み解く「人間とは何か」

  • 46:35 人類史から見る「バーチャルリアリティ」の意味

  • 54:50 バーチャル美少女ねむのメタバース生活の裏側

  • 1:00:05 「アバターとは、Windowsにおけるポインタのようなもの」? 人間らしさを保ったままテクノロジーと融合するためのインターフェース

  • 1:14:48 メタバース原住民の世界は意外と「自然」? より人間らしくいられる宇宙の在り方

  • 1:27:20 「ダークフォレスト」!? 人間が人間らしくいられるインターネットを作るには

  • 1:35:40 エロスとバイオレンス。メタバース原住民の"欲望"から考える「新人類」の在り方

  • 1:55:17 "資本主義"、足掻きながらも前に進んでいく"ある種最も人間らしい"「社会システム」

  • 2:02:14 宮崎駿監督と「ナウシカ2」について

※イベント告知とメディア掲載まとめ:

ねむの感想(というか対談後メモ)

6.23 稲葉振一郎✕バーチャル美少女ねむ 公開対談
『宇宙・動物・資本主義――稲葉振一郎対話集』発売記念

『風の谷のナウシカ』や『進撃の巨人』、社会現象になったサブカルチャーを構造分析することで、神なき時代に醜く足掻く自分を肯定する姿勢それこそが「人間」であるという、テクノロジー時代の指針となる新たな哲学が浮かび上がる…!!!

著名な稲葉振一郎先生との対談ということで緊張しましたが、先生のテーマに触れられたのと、メタバースに関する議論もできて楽しかったです。学びばかりで非常に貴重な時間となりました。如何だったでしょうか。

しかし、「人間とは何か」をそんな人間らしさと定義すると、必然的に「人間らしいAIを人間として認めるべきか?」という新たな命題が浮上する。人間を生物としての形で捉え続けること自体既に無理になりつつある。サブカルには、そんな新哲学を量る社会実験としての役割があるのかもしれない。

メタバースで今起きている人間の欲望の在り方の変化は、テクノロジーと融合して「人間ではないもの」になりつつある私達が最後まで残したい「人間らしさ」を浮かび上がらせる。神は死んだ。私達は「人間とはなにか」を自分たちで決めなければいけない時代に入っている。

稲葉先生が「仮想現実のアバターとは、Windowsにおけるポインタのようなものだ」と表現していたのは言い得て妙でいた。2次元→3次元→身体感覚。人間らしさを保ったままテクノロジーと融合するためのインターフェースなんだなと改めて感じました。

また、”資本主義”という言葉を、宗教のように分かりやすい「正解」を出せない私達が、足掻きながらも少しずつ前に進んでいく為の"ある種最も人間らしい"「社会システム」である、と捉えていたのも印象的でした。政治というよりも、哲学と捉えた方がしっくりくるのかもしれませんね。

苦労して辿り着いた壁の向こうにもユートピアなんて存在しない。私達が人間である限り、人の業からは逃れられない。私達メタバース原住民も、遠からず漫画版ナウシカや『進撃の巨人』エレンと同じ失望を味わう。それでも、決して折れずに進んでいきましょう。

※ねむ、本の初見時の感想

ゆでたまご屋さんの感想

紅閣史紫陽さんの感想

みんなの感想

稲葉振一郎『宇宙・動物・資本主義──稲葉振一郎対話集(晶文社)』

稲葉振一郎『宇宙・動物・資本主義──稲葉振一郎対話集(晶文社)』

【概要】
哲学、倫理学、社会学、経済学、宇宙開発、ロボット工学、文芸批評、文化研究、SF、ファンタジー、コミック、アニメーション──現代日本が誇る不世出の社会哲学者・稲葉振一郎の膨大な仕事、広大な関心領域を一望のもとに収めた初の対談集。大屋雄裕、吉川浩満、岸政彦、田上孝一、飛浩隆、八代嘉美、小山田和仁、大澤博隆、柴田勝家、松崎有理、長谷敏司、三浦俊彦、河野真太郎、金子良事、梶谷懐、荒木優太、矢野利裕と第一線で活躍する作家、批評家、研究者を迎えて縦横無尽に語り尽くす。

【目次】
第1部 人間像・社会像の転換
 01 新世紀の社会像とは?(×大屋雄裕)
 02 〈人間〉の未来/未来の〈人間〉(×吉川浩満)
 03 社会学はどこまで行くのか?(×岸政彦)
第2部 動物・ロボット・AIの倫理
 04 動物倫理学はいま何を考えるべきか?(×田上孝一)
 05 AI「が」創る倫理──SFが幻視するもの(×飛浩隆×八代嘉美×小山田和仁)
第3部 SF的想像力の可能性
 06 学問をSFする――新たな知の可能性?(×大澤博隆×柴田勝家×松崎有理×大庭弘継)
 07 SFと倫理(×長谷敏司×八代嘉美)
 08 思想は宇宙を目指せるか(×三浦俊彦)
第4部 文化・政治・資本主義
 09 ポップカルチャーを社会的に読解する──ジェンダー、資本主義、労働(×河野真太郎)
 10 「新自由主義」議論の先を見据えて(×金子良事)
 11 中国・村上春樹・『進撃の巨人』(×梶谷懐)
 12 どうしてわれわれはなんでもかんでも「新自由主義」のせいにしてしまうのか?(×荒木優太×矢野利裕)

【書籍情報】
書名:宇宙・動物・資本主義──稲葉振一郎対話集
著者:稲葉振一郎
発売日:2024年5月24日 Amazonで発売(全国の書店でも発売中)
判型・頁数:四六判、並製、608頁
定価:本体3,800円+税
版元:晶文社
宇宙・動物・資本主義──稲葉振一郎対話集(Amazon)

『仮想美少女シンギュラリティ(VTuber文庫)』

脳と機械を繋ぐ「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」研究者の「私」は、実験中に意識を失っている間に、自分がバーチャルYouTuberとしてアイドルデビューしたことに気づく。YouTubeに残されていたのは謎の仮想美少女「ねむ」が「お前は誰だ」と自問自答する奇妙な動画だった…
ねむの目的は何なのか? 人類はついに現実の肉体のくびきから開放され、新人類へと進化するのか? 進化を目前とした人類の葛藤と恐怖を鮮やかに描く黙示録。

『メタバース進化論(技術評論社)』

バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論(技術評論社)』は、メタバースに興味を持った幅広い読者の方を対象に、現在のメタバースの真の姿、そしてその革命性をわかりやすく伝える「メタバース解説書の決定版」です。自身も黎明期のメタバースで暮らす"メタバース原住民"の一人である著者・VTuber「バーチャル美少女ねむ」が、自分自身の体験、数多くのユーザーへのインタビュー、そして全世界のユーザー1,200名を分析した大規模調査「ソーシャルVR国勢調査」を元にメタバースのリアルを明らかにする、世界初の「仮想世界のルポルタージュ」です。

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