個人Vでもできるプレスリリースの送り方&SNS活用プロモ戦略【『VTuber学』プロモしてみた】
2月19日に発表された岩波書店様のVTuber総合学術書プロジェクト『VTuber学』 先生方に混じって恐縮ですが、私バーチャル美少女ねむも著者の一人として参加させて頂いています。
実は今回、大規模な広告予算をかけるのは難しいとのことだったのですが、プロジェクトの魅力を少しでも広く伝えるために、私が著者としてだけでなくプロモーションにも全面的に協力させて頂くことになりました。メディア (プレスリリース)・SNS・動画配信等を活用し、編者・著者のみなさんにも協力頂いて草の根的な宣伝活動を行った結果、想像以上の反響を頂いています。当然ながらプロジェクト自体に情熱と魅力があり共感を呼んだこと、拡散協力して頂いた皆さんのご協力あってのことです。本当にありがとうございました。
私は「VTuber」とは、個人がアバターによって概念を身に纏うことによって生まれる、メディアの新たな形だと考えています。今回のプロモーションでも、日常的に一人でメディア・SNS・配信と悪戦苦闘しながら活動している個人VTuberならではのノウハウと機動力を生かした情報発信として貢献できたのではないかと思います。
この記事では、どのようなプロモーションを企画・実行し、どのような成果がでたのか、プレスリリースの送り方、効果測定のデータと共に簡単に紹介します。個人Vでもできる、個人Vだからこそのプロモ術! 参考になれば幸いです。
※2/23追記:こちらの記事、非常に反響が大きかったため、質問が多かった点を中心に大幅加筆して更新しました。プレスリリースの掲載率やSNSでの拡散 (バズ) を最大化する為に重要なポイントをまとめました。
1.伝わるキャッチコピーを考える
今回の企画は「多数の専門家が集結したVTuber(バーチャルYouTuber)をテーマにした総合学術書」ということで、その魅力を印象的かつ端的に伝えるキャッチコピーとビジュアルが必要だと考えました。単に「本を出しました」だけだとニュース性は全くないので、そこにどんな意義や新規性があるのかを短いフレーズで端的に伝える必要があります。
キャッチコピーについては、プロジェクトの目的や想いについて聞かせて頂いたお話を元に、複数の案を提案させて頂きました。編者のみなさんと相談した結果、今回はシンプルに「VTuberを”学問”へ」としました。
こちらを元にビジュアルを制作しました。今回は学術書ということで、ブルーを基調にスマートな雰囲気で、識者が集まってた信頼感を表現してみました。スマホの小さな画面にサムネとして表示された場合の視認性を考慮してキャッチコピーを一番大きく、インパクトを考慮して著者のみなさんの写真も可能な限り大きめに掲載させて頂きました。縦版はポスターなど、横版は記事のサムネイルなどで使われることを想定しています。
2.メディアに取り上げてもらう (プレスリリースの送り方)
発信力のあるメディアのみなさんにニュースとして取り上げてもらう為に、情報公開のプレスリリース (メディア向けの告知資料) を書かせて頂きました。
プレスリリースの掲載率を大きく左右するのは、内容はもちろんですが、それを引き立たせる①タイトルと②ビジュアルのインパクト、そして③発行タイミングです。メディアの担当者さんには毎日大量のプレスリリースが届くため「今すぐ掲載しなければならないホットな情報」だと一目で判断されないとニュースにしてもらう以前に読んですらもらえません。また、一度発行したら後から修正は効かない一発勝負です。事前に掲載率が高くなるタイミングを考慮して情報公開スケジュールを立てて、原稿のドラフトをまとめて出版社・編者・著者のみなさんに意見を頂き、プロジェクトの目的と著者の略歴が印象的かつ簡潔に伝わるようにブラッシュアップしました。
今回は有料のプレスリリース配信サービスなどは一切使わず、私の方で人力で100社近くのメディアに直接プレスリリースをメールやお問い合わせフォーム等から送って掲載をお願いしました(いわゆる「投げ込み」)。送ったプレスリリースの原稿はこちらです。ビジュアルは記事のサムネイルに使いやすい横版を添付しています。
個人的には、掲載してくれそうなメディアに当たりが付いている場合は、有料のプレスリリース配信サービスを使う必要は全くないと考えています。何度か比較して見ましたが、大手メディアは人力で送った方が総じて掲載率は高いです。類似のキーワードでGoogleでニュース検索をすると、どんなメディアが記事にしてくれそうか簡単に洗い出せます。ほとんどのメディアはプレスリリースの受付先を公開していますので、そこに「投げ込み」してみましょう。
今回は結果的に、プレスリリース発行翌日(2/20)時点で、全14件のメディアで取り上げて頂くことができました。ITニュース大手のITmedia NEWS様や、Yahoo!ニュース様でも2件掲載して頂いたことをはじめ、IT関連・エンタメ関連・VR関連・VTuber関連を中心に幅広く掲載頂くことができました。
メディア掲載一覧:
ITmedia NEWS様:学術書「VTuber学」(仮)、岩波書店から7月刊行 3月に企画発表会をライブ配信
Yahoo!ニュース(窓の杜様経由):VTuberを“学問”へ。VTuber現象を分析する総合学術書『VTuber学』、岩波書店より7月刊行決定(窓の杜)
KAI-YOU.net様:VTuberを学問へ──『VTuber学』刊行 哲学やジェンダー論の専門家が分析
Yahoo!ニュース(KAI-YOU.net様経由):「VTuber」を学問として確立へ──哲学やジェンダー論の専門家による学術書が岩波書店から刊行(KAI-YOU.net)
Real Sound様:VTuberを“学問”へーー13名の識者による総合学術書『VTuber学』刊行決定 3/10には企画発表会も
バーチャルライフマガジン様:VTuberを”学問”へ。岩波書店から総合学術書『VTuber学』刊行決定! 執筆陣13名を紹介、3/10に企画発表会
NFT Media様:VTuberを”学問”へ。岩波書店から総合学術書『VTuber学』刊行決定! 執筆陣13名を紹介、3/10に企画発表会
あにぶニュース様:VTuberを”学問”へ。岩波書店から総合学術書『VTuber学』刊行決定! 執筆陣13名を紹介、3/10に企画発表会
VTuber Labo様:VTuberを”学問”へ。岩波書店から総合学術書『VTuber学』刊行決定! 執筆陣13名を紹介、3/10に企画発表会
VTuber Post様:VTuberを”学問”へ。岩波書店から総合学術書『VTuber学』刊行決定! 執筆陣13名を紹介、3/10に企画発表会
3.SNSで拡散してもらう
一般の方向けにはSNSで情報公開を行いました。大規模な広告予算がないプロジェクトでは、無料で使えるSNSを活用しない手はありません。
SNSで大きな拡散 (バズ) を狙う上で重要なのは、①内容と②ビジュアルのインパクト、③投稿タイミング、そしてなんと言っても、④ひとつの投稿に導線を一点集中することです。瞬間的にどれだけ大きな話題を作れるかで成果が極端に変わってしまうSNSでは、ひとつの投稿に「一点集中」でエネルギーを集めることが重要になります 。なぜならば、殆どのSNSユーザーは「ひとつのトピックでひとつの投稿しか共有してくれない」からです。従って、似たような投稿が複数あると票が割れて伸びなくなってしまいますし、新規ネタでないと注目してもらえないのでやり直しが効かない一発勝負です。
今回は、発起人・編者である岡本先生にX(旧Twitter)でメインのポストを投稿して頂きました。SNSについてもスケジュールを事前にまとめており、拡散されやすい時間帯を考慮して投稿タイミングを決めました。添付するビジュアルは、スマホでの画面占有率が高い縦版でいくか(露骨に広告感でるのでウザがられることもある)、確実にフル表示されるコンパクトな横版のどちらでいくか、悩ましいところですが、今回は渾身の企画ですので思い切って縦版を採用しました。
岡本先生のメインのポスト:
また、このメインのポストに10分おきにリプライ(返信)でぶら下げる形で連続して追加情報を投稿して頂きました。こうすることで、リプライのたびにメインのポストがタイムラインに再浮上して拡散されやすくなりますし、拡散してほしい重要な投稿であることがフォロワーさんにはっきりと伝わります。
岡本先生のリプライによる追加情報:
さらに、編者・著者の皆さんに事前にお願いしておき、このメインのポストを、タイミングを合わせて一斉に「引用リポスト」してもらいました。もちろん話題にしてもらいやすいようにハッシュタグ「#VTuber学」も事前に決めて統一しています。
編者・著者の皆さんによる引用リポスト:
結果的に情報公開翌日時点(2/20 13:00)で、リポスト839件・いいね1,544件と大きく拡散してもらうことができ、岡本先生のメインのポスト単独で50万インプレッション(ポストを見た人の数)・12,250件のエンゲージメント(ポストに反応した人の数)を獲得することができました(その後さらに大きく伸びています)。
Xのポストアクティビティによる集計データ:
つまり「一日で50万人の目に入り、そのうち1.2万人以上に興味を持ってもらうことができた」ということです。これはあくまでメインのポスト単体での数値なので、全体では少なくともこの2~3倍の数字は達成しているはずです。
仮に同様のインプレッション数を有料のTwitter広告で獲得しようとすると、概ね1インプレッションあたり0.5円程度必要と言われているので、おそらく50~75万円程度の予算が必要になるかと思います。その場合もこれほど高いエンゲージメント率を達成するのは不可能でしょう。著者が団結して想いを直接伝えたからこその成果ではないでしょうか。
拡散に加えて、「VTuber学」のキーワードを話題にしたポストも114件頂くことができました。ポスト数のグラフでも情報公開のきっちり一時間後の2月19日13:00の時点で大きなピークが確認できます。
Yahoo! リアルタイム検索による集計データ:
拡散協力頂いたみなさん、
本当にありがとうございました。
書籍の制作は進行中ですが、ぜひよい本をお届けできればと思います。私自身も、13名の著者の一人として精一杯原稿を書かせて頂きます。
4.配信で直接魅力を伝える
さらに情報発信の総まとめとして、私のYouTubeチャンネルから「企画発表会」を配信させて頂くことになりました。
発起人・編者である岡本先生・山野先生にプロジェクトの意図や執筆陣の紹介、制作の進捗状況などを直接インタビューさせて頂く予定です。YouTubeで無料で視聴できますので、ぜひ御覧ください。
みんなの感想
質問
プレスリリースの有料配信サイトを使うメリットは?
テレビや新聞での掲載を狙うには?
※テレビ局や新聞社にはプレスリリースをFAXでしか受け付けていない所もありますが、FAX番号もWebサイトで公開している所がほとんどですし、FAXはコンビニの複合機でも可能なので、特にお金をかけなくても送ることができます。
バズらせるのに必要なフォロワー数は?
フォロワー少ない場合にバズらせるには?
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岩波書店様のVTuber総合学術書プロジェクト『VTuber学』 について、詳しくはこちらの記事にまとめたのでご覧ください。
今回は私が全面的にプロモーションを行っていますが、裏方(アドバイス)に徹しているケースもあります。こちらも合わせて読んでいただくと、初心者がつまづきやすいポイントなど分かりやすいかもしれません。
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