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ガチ勢が選ぶ! バーチャル美少女ねむYouTube動画傑作選【ねむ解体新書】
ねむの「YouTube動画」全210本からガチ勢が選んだ珠玉の5作品とは!? 自分でも気づかなかった思考ルーチンが今浮かび上がる…!!!
「ねむちゃんねるに上がっている動画を全て観た(狂)」というねむちゃんねるガチ勢「ソーサツ・チエカ」さんが、前回の「ライブ配信」傑作選に続き、今度は私の7年半に及ぶ活動で投稿してきた「YouTube動画」210本からおすすめ5作品をピックアップして見所を徹底解説記事にまとめてくれました。
最新の活動から懐かしい動画までピックアップされており、完全に私の黒歴史発掘祭り(笑) 鋭い分析から、私が自分でも気づかなかった特有の思考ルーチンが浮かび上がり、まさしく「ねむ解体新書」とも言うべき内容になっています。
この記事では、チエカさんによる解説を一部抜粋し、私のコメントと共に紹介します。
殿堂入り「バーチャル美少女ねむ、誕生の瞬間【再現VTR】」(いわゆる「お前は誰だ」動画)
本記事では、2025年2月16日までのねむちゃんねるの短編動画の中から私が特に好きな5本を選び、その「ここすき」ポイントを紹介します。ここで短編動画とは、ねむちゃんねるの「動画」タブに上がっている動画を指しますが、本記事ではオリジナル曲のMVと「バーチャル美少女ねむ、誕生の瞬間【再現VTR】」(いわゆる「お前は誰だ」動画)を除いてベスト5を選びます。MVは他の動画より特に力を入れて作られているものですし、「お前は誰だ」動画は既に多くの方が話題にされているからです。ポケモン映画のランキングを決めるときに「ミュウツーの逆襲」を除いて考えるようなものです。
私が初めて日の目を見た「お前は誰だ」動画! この動画がバーチャルYouTuberブームの始まりになった初代「バーチャルYouTuberよくばりセット」に転載(14:34~)されて猛バズしたのが全ての始まりでした。正直この動画とこれより前に投稿した動画は本当に人に観られることを全く想定していなかったので、今から見返すとめちゃくちゃ恥ずかしい(笑)ボイチェンもサムネも何もかもひどい。まあ、今となっては逆に歴史的価値が出てきてる気もするので消さなくて良かったです。
「バーチャルでなりたい自分になる」とは言っていても、正直実際にアバターを着てタレント活動したり(VTuber)生きていく(メタバース)ような時代がそんなに早く来るとは、当時私も全く思っていなかったのですよね。今さら元動画だけ観てもなんでバズったのかよく分からないと思うので、コメント付きバージョンで観ると当時の雰囲気が分かってオススメです。
①「新メタバース「レゾナイト」最速レビュー「実家のような安心感」」2023.10.07
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えっちすぎる。
説明しないといけませんか? これはねむさんがResoniteに初めて来たとき、NeosVRからのデータの移行がうまくいかずアバターやアイテムを持ってこられなかったときの動画なのですが、結月ゆかりアバターになったねむさんがあまりに私の精神の平穏を乱したので、圧倒的一位としてここに紹介するものです。この出来事をデコルテの露出が増えたとか、ギャップ萌えとか、尊厳破壊とか、メカ娘趣味といった短絡的な言葉で理解されるのは不本意なため、無粋ですが説明にお付き合いください。
まずは、外形的によく似たシチュエーションである「清楚だった幼馴染がしばらく見ない間に金髪黒ギャルになっていた」と引き比べながら分析するべきでしょう。どちらも見慣れた相手が予告なく見慣れない姿に変わってしまうシチュエーションです。しかし、この動画や多くの黒ギャル化では、変わってしまった側に悲壮感がないという点が尊厳破壊とは異なります。自分の意思で変わっていたり変わってしまったことを追認していたりするなら、黒ギャル化やNTRを含む大きなカテゴリである「堕ち」の枠組みで解釈できるのですが、ねむさんの場合は変わることを望んでも追認してもいないことが言動に表れており、無批判に「堕ち」とも呼び難い状況です。このような分類の難しさは、そのまま各ジャンルのいいとこどりを実現するものでもあります。つまり、本人にとって不本意であることで見る者のサディズムを刺激し、一方で悲壮感がないことによって見る者の意識の焦点が「相手が悲しいかどうか」から「それと対峙した自分が悲しいかどうか」へと移り、「堕ち」を見るときに似たマゾヒスティックな情緒が生じる、ということです。
私は「バーチャル美少女ねむ」であること、あろうとすること、に強い拘りがあるので、この動画はトラブルによる例外中の例外です。既存モデルの改変アバターではなく基本的に唯一無二のオリジナルアバターを使っているのもその現れ。自分自身のワンオフの顔でないとアバターのキャラクターに引っ張られてしまうような、魂を奪われてしまうような恐怖感があるんですよね。この動画はそれに抗う意味で私の自我が逆に強く出ているような気もしますし、「尊厳破壊」は言いえて妙です。
②「「神様もう要らないかも(爆)」ねむ、メタバース時代の"神"を語る【リトルプレス『面とペルソナ20's』独占インタビュー】」2024.10.05
この動画でのねむさんの主張を要約すれば、「神とは人間にとってどうにもできない事柄に納得するために生み出されたものだが、メタバースでは人間の自由になる物事が増えるので神は必要なくなる、むしろ超自然的な力と不完全な心を持って生きる私たち自身が多神教的な神々の在り方に近づく」ということになります。
(中略)
バーチャル美少女と宗教とを繋げる議論は、恐らくねむさんの活動の中で徐々に深まってきたもので、ねむxなもVIのUnferthさん回(2019.07.20)ではまだはっきりとした形で表れてはいませんでした。今でも民間祭祀に明るい宗教家や精神分析家の方との本格的な対談に私は期待していますが、同時に、これ以上はメタバース内で実践例が増えるのを待つフェーズなのだろうとも思います。私の知る限りVRChatでFUJIYAMAグループが2024年から始めた祭礼行事の試みが、今のところ代表的なものでしょう。クローズドな魔女宗の集まりがあるということも聞き及んでいます。
神話や宗教をバーチャル時代における新しい価値観とどう統合していくか、というのは私の活動の裏テーマであり、一番苦戦しているところでもあります。活動初期に書いた小説『仮想美少女シンギュラリティ(VTuber文庫)』で、日本神話や祭祀と紐づけてバーチャル美少女の在り方の再解釈を試みたのもその一環です。
この動画は実はもともと『面とペルソナ20's(リトルプレス)』という書籍のインタビュー記事の文字起こし用に録画したもので、公開するつもりはありませんでした。取材してくれたリトルプレス黒木貴啓さんが「神」や「異界」に関して鋭い質問をしてくれたので、私の口から思わぬ言葉が出てきて自分でも本当にびっくりしました。
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③「【ニコ生LOG】ねむちゃんねるLIVE【はじめまして】」2017.11.17
これは記録に残っている中では最初のねむさんの活動コンセプト表明の動画で、まず2017年11月17日という日付に歴史的価値があります。自己紹介動画(2017.12.28)やシンギュラリティ動画(2018.03.06)も実質的に同じことを言っているのですが、この動画が最も古く、最も内容が充実しています。
この動画には「性別を離れた、かわいいという概念の象徴としての美少女」「自分がかわいくなるためではなく、全人類がかわいくなれる土壌を作るために活動する」「それによってよりよい社会が到来する」という発想が既に示されており、その後七年間にわたりねむさんの活動の核心であり続けています。「人類美少女計画」という言葉が初めて登場するのは自己紹介動画ですが、その基本要素である三つのコスプレ(および2022年の『メタバース進化論』で再編された四つのコスプレ)は、このニコ生LOGで語られた考えから自然に導かれるものです。その意味で、ねむさんの思想は活動開始から二か月のこの時点で既に完成していたもので、以降の活動は全てその肉付けと実験的検証だったと私は見ています。ねむさんはしばしば「活動の中で自分の思想が形成されてきた」と仰いますが、私はこれを部分的にしか信じていません。
懐かしい! 活動開始直後に、世界最古の個人クリエイターによるアバター配信グループ(まだ「バーチャルYouTuber」「VTuber」という言葉が誕生していなかった)である「バーチャルアイドルちゃんねる(VIC)」のニコニコ配信枠で配信させてもらったものです。これも色々クオリティが低すぎて、今観ると頭がクラクラします。(そっ閉じ…)
この時点ではまだ「3大コスプレ理論」「人類美少女計画」「仮想美少女シンギュラリティ」などのパワーワードは登場していないものの、たしかに言われてみると、私の活動コンセプトの大枠自体は既に出揃っていると言えなくもないですね。私は直感先行で後から理屈を考えたり実データ収集していくタイプ。ただ、当初は自身でもあんまり確信もっていた訳ではなかったのと、単に結果論として大枠が変わらなかっただけ、でもあります。
④「【MV】Choose Me ミキシ x ねむ x Kapruit【ヒャダイン】」2020.11.10
オリジナルでない曲のMVは除くとは言っていない。ねむさんの発信の中で「自分自身を性的対象にすること」が語られることは実は多くなく、これは「VIVEフェイシャルトラッカー実演ライブ」(2021.04.02)、「バ美肉した経験が無い男、ガチで危機感持った方がいいと思う」(2024.02.02)と並んでその貴重な例です。私は自分自身を素材にして他者を作り出すということ、より踏み込んで言えば自己言及や循環参照を作り出して論理的思考の限界の先を垣間見ることに興味があるので、たまにこのようなコンテンツが出ると嬉しくなります。
ねむさんは『メタバース進化論』でバーチャル活動とアイデンティティの関係について、「立体物である魂に様々な方向から光を当て、(物理/仮想)現実というスクリーンに投影する」と主張しています。別の場面では、「魂という宇宙からキャラクターを召喚する」という言い方をしており、個人的にはこちらの方が「自分を他者として扱う」ニュアンスがあり好みです。翻ってChoose Meを見ると、「深層心理の私」が「バーチャル世界の私」とは別に登場しており、これはスクリーンに投影される前の魂のことを指しているのでしょう。魂のうちまだ光の当たっていない側面がまだあると考え、それと出会うことを予祝しているのか、それとも全ての側面を合わせた魂そのもの(初音ミクはそのようなものを表現するのにうってつけのキャラクターです)にアクセスするために擬人化しているのかは定かでありませんが、いずれにしてもこの動画は、物理現実/仮想現実という単純な二元論を超えた射程を持っています。
アバターにより"分人(dividual)"の集合体として生きることができるなら、次の段階として、自分の中の”分人”同士の人間関係や脳内社会が重要トピックなるのは必然です。最大の理解者にしてライバルですから恋愛関係や敵対関係になることもまた自然な帰結だと思います。
⑤「はじめての顔トラ❤VIVEフェイシャルトラッカー最速レビュー」2021.03.28
実は私はねむさんのアバターの中では私式が一番色気があると思っているんですよね。目に険がないこと、口が大きいこと、服と髪型に生活感のようなものがあることがその理由だと思いますが、この動画では「Virtual Stargazer」と並んでそれらがよく動くところを堪能できます。冒頭の「ダメだよ」がとてもいいですね。
頬を膨らませるところなどは意図した通りに動いていないように見え、またアイトラが暴発しているのか頻繁に瞳が小さくなります。これらは人間の顔としては不自然なのですが、私はそのような様子にむしろ、不自然になるリスクを負ってでもバーチャル美少女という新しい存在になろうとする足掻き(ボイチェン声に感じるのと同じものです)、不気味の谷を渡る勇気を試されている武者震いのようなものを感じます。
アバターの顔が自分の肉体と連動して動いた初めての瞬間をそのまま動画にまとめたもの。ご指摘のとおり、まだ慣れてなくて誤動作しまくっているんですが、私は「初めての瞬間」の自分の心の動きや感動のリアルを生のままコンテンツ化して残しておくことに意義があると考えているので、このテの動画は敢えてほぼぶっつけ本番で撮っています。一度慣れてしまうとこの感じは二度と出ないんですよね。
番外編「バ美肉した経験が無い男、ガチで危機感持った方がいいと思う」(2024.02.02)
軽く触れられていましたが、ショート動画では自分でもコレが傑作だと思ってます。普通のVTuberと違ってあまり配信メインで活動していないですが、こうして改めて初期の頃の動画と見比べると、トークや語りも7年半の活動でなんだかんだ結構上手くなったなーと我ながら(笑)
ソーサツチエカさんの解説全文はこちら!
バーチャル美少女ねむさんのこれまでの動画(配信・ショート以外)のうち個人的ベスト5のここすきポイントを書きました。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) February 16, 2025
またまた!ソーサツ・チエカが選ぶねむちゃんねる動画5選(短編動画部門)(2025年2月版)|ソーサツ・チエカ @chieka_quantizd #note #ねむちゃんねる https://t.co/OwiSUPwdZt
参考:前回「ライブ配信」傑作選はこちら
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