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私と雀と鍵と

 2023年9月8日。念願のヘブバンデビュー。2022年2月10日のリリース初日当時はスマホが非対応機種、金欠の為機種変も断念。非常に悔しい思いをすることになったが、もし当時からプレー出来ていたとすればゲームに夢中になるあまり、2022年より1年間連載を続けた一姫現麻なる私の麻雀創作活動を通じた貴重な繋がりを得られることは無かったであろうから、今思えば本当に絶妙なタイミングであった。

 私が愛して止まない鍵作品の集大成と言っても過言ではない「ヘブバン」。最新のメインストーリーまでのネタバレが解禁となったこの機会に、ヘブバンの魅力を熱く語ることにしよう…と思ったのだが、語りたい事が多すぎるうえに、人に何かを勧める文章を書いた経験が無いので何日経っても筆が進まない。これからゲームを始める人に、ネタバレを踏んで欲しくないというのもある。そういうわけで、今回は何故私が鍵作品を好むのかについて、物語の核心に触れないまま伝えることにしよう。

 ヘブバンに限らず鍵作品の魅力と言えば、「萌え」「笑い」「泣き」。美少女キャラに萌え、キャラ同士の掛け合いに笑い、クライマックスで泣かせにくる。まさに序盤中盤終盤隙が無い。

 「萌え」「笑い」「泣き」。これら3要素を鼎立させるのは難しい。「笑い」「泣き」が相反する感情なのは言うまでもないが、「萌え」と「笑い」もまた相反しがち。現実でも「笑い」のスペシャリストの多くは、「美形とは言えない中年男性」。美少女とは対の概念にあたる存在だからだ。

 ヘブバンは「萌え」「笑い」「泣き」。この3要素がとことんまで凝縮されていて極めてハイカロリー。人によってはカツカレーとピザと刺身定食を同時に食べるような、食い合わせが悪いうえに胸焼けしそうな代物かもしれないが、私に言わせれば、3要素揃ってこそカツカレー、あるいはチャーシュー麺。

「カツ」「ルー」「ライス」あるいは「チャーシュー」「麺」「スープ」がそれぞれ単品でしか食べられないくらいなら、大量の雑味が混じってもカツカレーやチャーシュー麺が食べられた方がマシ。だから私は鍵作品に出会うまでは、「現実は苦痛も多いけど、それでもつまらない創作よりはマシ」だと思っていたし、今でも鍵作品以外の創作にはほとんど触れずにいる。

Wright Flyer Studios × Keyが贈るドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』。麻枝准、15年ぶりの完全新作スマホゲーム『ヘブバン』公式サイト。好評配信中! 

 15年振りの完全新作とあるが、ヘブバンリリース2022年の15年前は2007年。「リトルバスターズ!」がリリースされた年であり、私がKey作品を本格的にプレイし始めつつ、Web版「現代麻雀技術論」を書き始めた年でもある。

 「現麻」の特徴は「手組」「押し引き」「状況判断」。麻雀戦術を構成する3要素をそれぞれ取り上げていること。1要素だけなら当時から優秀な記事は多々あり、正直現麻はそれらを引用したうえに、私の稚拙な解釈を加えたものに過ぎないが、「大量の雑味が混じってもチャーシュー麺が食べたい」という思いが、私を創作に駆り立て、その原動力が「萌え」「笑い」「泣き」の3要素をふんだんに詰め込んだ鍵作品にあったことに今更気付かされた。

 あれから17年経った今、再び鍵作品に夢中になれて毎日が充実しているが、不満があるとすれば、当時よりコンテンツの数も内容もずっと広大になってしまったので、どれだけ作品が面白くても、その面白さを身近な仲間と共有することが難しくなってしまったこと。当時は私が勧めなくとも、鍵作品を好きになってのめり込んでくれる仲間が沢山居た。

 そしてコンテンツの数がどんなに増えても時間に限りがあるので、既存のコンテンツを消費するのに精一杯になり、私自身新しい創作に取り組もうとする意欲がだいぶ失われてしまったということ。ごっこ遊びが楽しめるのは、ごっこ遊びするまでもなくそのまま楽しめるコンテンツを知らないから。だから大半の大人はごっこ遊びをやめてしまうのだ。

 正直、もうこのままコンテンツを消費するだけの存在になってもいいと思いかけていたが、架空の世界の空想の物語にも関わらず、台詞の一つ一つがまるで画面の向こう側の私に問いかけてくれるよう。これもまた私がヘブバンを愛して止まない理由。今週13日リリースの最新話を読破次第、ままごとを再開することにしよう。

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