「運の要素を極力排除する」とはどういうことか
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前回紹介した「戦争」は運100%のトリック系カードゲームでしたが、トリック系のゲームが運要素の強いものばかりとは限りません。ゲームを構成する要素が少なめ(だからこそゲームの母数も多い)であるが故に、結果的に運要素しかないゲームも生まれやすいと言えます。
世界三大カードゲームの一つで、トリック系の代表格である「(コントラクト)ブリッジ」には国際共通ルールがあり、「運の要素を極力排除したゲーム」であると公式が謳っています。
母集団の数だけルールがあり、いずれのルールも運要素の強さが否めない、ラミー系の代表格である「麻雀」打ちとしては何とも気になる文言ですが、ブリッジも他のトリック系ゲームの例に漏れず、ゲームを構成する要素は至ってシンプル。ブリッジと各種トリック系の相違点は、「オークション」と「ダブルス戦」にあります。
カードゲームである以上、配られる札は「不確定」かつ相手の手札は「不完全情報」。これらの運要素を排除してはそもそもカードゲームとして成立しません。必要なのはむしろ「実力要素の導入」。麻雀団体でも見受けますが「運要素を極力排除する」とは、「二人」「確定」「完全情報」ではない故に運要素を避けられないゲームの競技化を目指す団体が、外野にも分かりやすいように便宜上そのように主張しているに過ぎないように見受けます。
そのことを踏まえたうえで、「オークション」と「ダブルス戦」について考察してみると、確かに「実力要素が強くなっている」ように見受けます。
何故なら、自分で勝利条件を決める「オークション」は、明らかに無理な条件をコールした時点で敗北が確定してしまうように、「たった一度の選択ミスで簡単に負けてしまうことが容易」である為です。麻雀で「特に戦略的理由もなくアガリ牌を見逃す」のは重大なミスですが、それでも次巡以降アガってミスが帳消しになることも少なくないので、「一度の選択ミスで敗北確定」とはなかなかなりません。
もちろん簡単に負けてしまえるゲームでも、簡単に最適解を再現できてしまう場合は(最適解を知っている者同士では)実力差が出るとは言い難いのですが、獲得できるトリック数を正確に予測することは、「難しいけれども実力で精度を高めていける要素」と言えるのではないでしょうか。
「ダブルス戦」は、「対戦相手のミスが自分に利するとは限らない」。「二人」ゲームでないが故に生じる運要素を軽減すると共に、協力プレイという形で選択要素を増やすことで実力要素を高めていると言えます。麻雀は相手のミスのせいで自分が負けることも日常茶飯事。麻雀の競技化を目指すうえでも、多人数戦であるが故に生じる運要素について対処する必要があります。
ブリッジは「オークション」「ダブルス戦」によって、運要素を排除というよりは実力要素の導入で競技化を図っているという話でしたが、麻雀は「配牌が不確定」「他家の手牌が不完全情報」に加え、「ツモが不完全情報」であるが故に同様のルールを導入するのが難しいと言えます。ダブルス戦は導入自体は可能ですが、「パートナーからのアシスト、差し込み」でもアガれるようになるので、配牌、ツモという運要素に恵まれたプレイヤーがますます有利になってしまいます。
シンプルかつ実力差が出やすいゲームであるブリッジ。オンライン対戦も存在しますが、世界三大カードゲームでありながら麻雀と比べて競技人口は控えめ。娯楽の多様化で競技人口が減るのは致し方ないことですが、麻雀はオンライン対戦も盛況なのを見るに、麻雀は多様化する各種娯楽の中にも取り込まれてきたからこそ未だに根強い人気があるということもうかがえそうです。今回はこのあたりでお開き。次回以降も各種カードゲームの実態を見ていくことにいたしましょう。
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