第十期天鳳名人戦牌譜検討第44回
第三節四回戦卓3
鳴きやすいトイツ残りなのでリャンメン変化を残すメリットが薄く、安牌残しと河の強さ的にも4m先切り。
東も現物ですが東から切ってもアガリまで結びつく可能性は低い、ドラ北を切って安手の可能性が高い下家へのアシストの意図もあって打2m。自分のアガリ以外でどのような結果になるのが望ましいかを意識するのも重要です。
現物を切りつつ最大限にアガリを目指すなら打2pですがテンパイ時に無スジ6mを切ることに。親のメンタンピン赤なら巡目が深くても勝負になりそうですが、現物2m7mを切ってテンパイに取れる目が残るならそうするに越したことはないと判断して打2m。
こちらもテンパイと降りとの比較だとするなら5sを止めるほどでもなさそうですが、5sを切らずにテンパイが取れる公算が高いので西家の仕掛けに5sを止める打6s。
西家視点から3s2枚切れ。246sなら打2sでカン5sにするはずで、単騎なら3s以外に受けるはず。しかし「カンチャンかつ単騎」のこの形だけは当たり得ます。テンパイを十分目指せる手である以上流石にやむを得ない放銃とみますが、どの程度の手牌と放銃リスクなら3sも止めて打6sとすべきなのか気になるところです。
ツモ69pの三色手変わりと、マンズ一色手仕掛けの東家および、その仕掛けにドラ白を切ってきた北家へのケアの合わせ技でダマを選択。評価が難しいですが個人的には北単騎リーチとしそうです。
平和がつく形でメンツ候補6組を維持するリャンメン固定は珍しくないですが、仕掛けがきく役牌アンコの手牌からのリャンメン固定は珍しい選択。マンズは赤5mと678三色変化があり、ピンズは南家が早い段階で打4pとしたことからカン3pの場況がやや良い&比較的アガリに近そうな南家への安牌残しというところでしょうか。メンツ候補6組に受けるかどうかの目安としてよく、「どちらのメンツ候補が良いか選べない時」と表現されますが、どちらも同程度の価値というだけなら単にどちらかを選んでしまった方がよいので語弊があります。選べないからではなく、後々選べることが明確なメリットになると判断できるなら6ブロック維持と考えます。
同じメンツ候補6組維持でも、これは赤5s、東トイツがどちらも打点絡みなので単純に446mがメンツ候補として最も価値が低いが故の選択。鳴きがきく手なのでカンチャンよりトイツ残しとしがちですが、先にメンツができない限りマンズを外す手なら瞬間の赤5m受けを残す打4mがよかったかもしれません。
役牌ドラ3で11600のアガリ。南家の立場からすれば、北家リーチに4mを打ってきた東家はテンパイの可能性が高く、手順からクイタンではなく役牌手。9pはリーチ仕掛け両方に通っていない牌で、9pを切っても次巡以降危険牌を切ることになることを踏まえると、東家には通り、通れば安牌を水増しできる打2sがよかったかもしれません。
どちらの現物待ちなら字牌単騎、トップ目とはいえ加点のメリットも十分あるので打3pリーチとしそうなものですが打中ダマを選択。
山に2枚とも残ってそうとはいえ山の深くにあるかもしれない中単騎よりは、東家北家が手牌から抜き打ちしてくれる可能性がある3p単騎の方が、「自分が無スジをつかんで降りる前にアガれる可能性が高い」ということでしょうか。東家が手の内から抜き打った3pで出アガリ。結果論ですが中単騎にしていれば次巡1mツモで南家に振り込んでいるところでした。無スジをつかんだ場合に降りるべきかも検証の余地がありますが、この発想は無かったので参考になります。
1mを切っているにもかかわらずツモ2mで打2s。北家が東家の仕掛けに3sを止めて回っているくらいですから、こちらも3sを切らない手組にしたというところでしょうか。2sは1sの出が早いので通りやすそうではあります。とはいえツモ14sでも3sを止めるべきとまでは言えないので、2m切りが無難だとは思います。
リーチしていれば止められていた9mで出アガリ。トップ目につきラス目の東家の仕掛けをケアする意図もありそうですが、出アガリ可能な9mが1枚のみ、北家との点差的にリーチの加点も無駄にならないとなると流石にリーチでしょうか。東家は中のみの手で1シャンテン。確かにドラを固めたテンパイであってもおかしくないのですが、何が何でもアガリにかける必要があるラス目親ということは、それだけ仕掛けが高打点テンパイである可能性も低いということ。このあたりを踏まえて押し引きを判断するのは難しいものです。
テンパイ時にダマにする可能性が高いのも、ダマ高打点の手への放銃を特に避けたいのも、ラス目の北家ではなく2着目の西家。ドラ3sなのも選びにくい要因ではありますが、ここは1sがよいと思われます。
奇しくも三局連続三色のアガリ。北家の立場からすれば5pは止まりようのない牌ですが、「前局のミスがなくても2着だったからむしろラッキー」と考えるのは私くらいでしょうか。