骨髄ドナー体験記#08
08.改善したこと
今回の移植の話を受けたのは、他人様の命を救えるという高尚な目的を達成するためではありますが、私の場合、実際はもっと低次元の動機のほうが勝っていました。
移植手術を受けるってどんな感じだろうという好奇心:8割
映見ちゃんみたいな素敵な女性が死んでいいのか、という思い込み。:1割
人並み外れて健康優良児。ありがたいな~という感謝の気持ちと、それを誰かにもお裾分けしたいな、という大阪のおばはんみたいな根性:1割
しかしながら、今回天から授かった使命が一個見つかりました。
うちの会社の人事、お~ま~え~じゃ~
「移植手術で休むのはボランティア休暇としては扱えません」
あんだってぇ。
仕事ばっかり突っ込みやがって~。
…なんていう私怨は置いといて。
仮にも世の中で一部上場してる大企業です。
それなりの社会的使命があるやろ~。
それを認めませんと云うのは、どのような了見よ。
社員がボランティアしようとしてるんやから支援せんかいっ。
社長に直訴したろか。
…なんて思っていて、ふと気付きました。
社会貢献室とかいう部署があったな。
わが社は世の中のためにこんないいことしてます~って言いたい時の活動を宣伝するところです。
植樹したとか、寄付したとかなんとか。
社内のホームページを探すと…ありました。
さっそくその部の責任者にチクりメールを書きました。
休みなんてどうせ忙しくて消化できずに毎年どんどん消えていってるから、自分の年休使ったって別にいいのだけど。
でも今後同様にドナーになる人が
「休みが取れないから同意しません」とかなったらどうすんよ。
こんな時のための部署でしょ、なんとかしてよ的なメールを。
…1週間ほどして、そこの部署の人からメールが来ました。
会社として検討した結果、骨髄バンクでの骨髄提供手術はボランティア休暇に該当する、ということに決まりました。
本来は3か月前までに申請するというルールですが、貴方の場合事前に申告があった(けどいったん断られた)ことと、手術予定日まであんまり日がないので、今回は特例として認めます
…という感じの内容でした。
最後に、一言付け加えられてたのがとっても印象的でした。
「手術のご安全、ご成功と、お相手の方の恢復を心からお祈りしています」。
人事の野郎の官僚的なメールとは全然違いました。感情がこもっていて嬉しかったです。
後日、コーディネーターさんにこの話をしたら、えらく感謝されてしまいました。
いや、自分で納得できなかったんで動いただけの話ですけど。
その時にチラッとこぼされた愚痴。
公務員とか、大企業なんてのは骨髄提供のための休暇制度が完備されているのに、休みがとれないから…なんてコーディネートを拒否する人が多いんだとか。
逆に中小企業や自営業で、メチャクチャ忙しく働いているおっちゃんの方がなんとか時間をやりくりして協力してくれることが多いんですって。
まあ、勤務先の大小が関係するとは思えませんが、いったん登録すればそれなりに関係者の方に手間を取らせることになりますので、その辺踏まえた上で行動したいもんですね。
<つづき>