見出し画像

骨髄ドナー体験記#10

10.そして入院

いよいよ骨髄提供手術にこぎつけました。

手術は木曜日。入院したのは水曜日から。
結局、会社は水木金の3日お休みを取りました。
もちろん「ボランティア休暇」を使いました。

午前中に書類書き、採血、いろんな説明など。
明日は9時から手術で、3時間くらいかかりますとのこと。
朝8時15分くらいから準備開始します~っとかいう説明を受けました。

午前中にそれらの手続きを済ましてしまうと、午後からはすることなし。
コーディネーターさんからも、退屈なのでいっぱい本でも持って行ってくださいね~と言われていたので、10冊くらい持ち込みました。

当時の日記メモを見ると、この日だけで3冊読破。ほんっとに退屈でした。

売店で、手術の時に必要な「T字帯」を買いに行った他はずっと読書してました。
T字帯ってなんねって思ったんですが、買ってみて分かりました。
フ・ン・ド・シ。

素敵~
この年でデビューするとは思わなんだ。

売店からの帰りしな、頭の剃り跡や点滴持っていて、いかにも歩くのがつらそうな患者さんとエレベータで一緒になりました。
超健康体の自分としては、なんだか居心地が悪く、どこも悪くないのに入院なんかしてることにとても違和感を感じたのを覚えています。

病院では、特に要求したわけでもないのですが、個室をあてがってもらいました。
あとで、患者さんの費用負担であることを知って、とても申し訳ない気分になりましたが、看護婦さんや医師の方が丁重に扱ってくださってとても快適でした。

医師・看護師の方がドナーである私に取ってくれた態度。
特に言葉にしてもらったわけではないですが、感謝の念、尊敬の念を込めてくださっていたのが非常に伝わってきました。

医療関係者にとっては日常たくさん処理する患者さんの処置・針刺して、数値見て、薬をあげて…なんていう事務的なものではありませんでした。

物好きな奴だと笑いもせず、他の病院にいるはずの白血病などで苦しんでいる患者さんに思いを馳せ、目の前にいるドナーを大切に扱って頂きました。

別に尊敬してもらいたいからとか、お礼を言ってもらいたいからドナーになったわけではないのですが、自分の決断したことを肯定していただき、態度に示してもらえた…というのはとても重要ですね。

この病院のメンバーなら、明日の手術に対する信頼感もバッチリです。
私は単に骨髄をあげる人。あげる決断を下したことでやるべき事はほぼ終えてあとはお任せ状態です。
手術して骨髄を取り出すのはお医者さんや看護師さんの仕事。
それを受け取って患者さんに移植するのは別の病院のお医者さんの仕事。
移植されて生き続けるのは患者さんの仕事。

みんなちょっとずつ仕事をして、生命をつなげるんだな~…と思いました。
患者さん、明日の手術成功したらいいな。

夜。
特に緊張もせず、いつもどおり目をつぶったら3秒で寝落ちです。明日は手術。

つづき

いいなと思ったら応援しよう!