トロッコ問題
「答えのない話をしようか」
ユワリが言った。答えのない話?
「どれだけ考えても、どれだけ悩んでも、その最果てに、何もない、何も訪れない、そんな話」
どういうこと?
「優しく、ゆるやかに、話そうじゃないか、僕たちの未来、僕たちのすべて、僕たちの、その、どうしようもない、いたたまれない、真っ白な、かなしい、夢」
なんだろう、なんのことを話しているのだろう、ユワリは?
「行こうじゃないか、最果てへ、その先へ、夢へ、空虚へ、色彩へ、穴へ、柔らかさへ、滴りへ、僕らが生まれてきた、その、すべて、その、わけ、その、その、その、美しい、やさしさへ」
「希望へ」
僕はゆっくりと頷いた。頷いた。そうして、言った。
「限りなく、やさしくありたい」
(2024.11.3)
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