お水の獣道5〜相席屋の乱〜
〜ここまでのあらすじまとめ〜
スナックで働き出したはいいが、謎のお坊さんがソロ来店するだけの毎日を送っていた。
そしてある日ママがこう言った
「春ちゃんと梅ちゃん(私)相席屋に行ってきて」
私の脳内を(((なんやそれ)))が埋め尽くした。
相席屋とやらに向かってる時に春ちゃんが教えてくれた。
相席屋というのは…
出会いを求めた見知らぬ男女が相席して交流?する場らしい。女性は無料・男性は有料とのこと。
そして我々に課せられた指令は
良い感じに仲良くなったらお店に引っ張ってこい。ということ…
私は震えた。ただただ恐怖だった。
お店の中でならママもいるし安全だからまだしも…
相席屋という謎が詰まったお店で知らない男の人と交流!?
嗚呼怖い。くわばらくわばら。
誤って睡眠薬で眠らされでもした挙句に拉致される。
絶対拉致される。
そしてコンクリート部屋かなんかで目覚めてデスゲームが始まる…
「お母さんにもう顔向けできない。嗚呼、母さん…お母さん…」
そんな事を脳裏によぎらせながら私は道中でただならぬオーラを醸し出しながらベンチに座っている人に目線を奪われた。
マ○コデラッ○スさんに激似だった。
そして相席屋に到着してしまった。
めちゃくちゃ人がおる。若者。パリピが一堂に会してる。
席につき店員さんから説明を受ける
「女性は無料で飲み放題・食べ放題となっております。」
え?
食べ放題…だと?
この時、私の中でキラキラが広がった。
お母さん、私、もう何も怖くない。
お皿とグラスを渡され軽やかにビュッフェにむかう。
私を出迎えてくれたのは…
緑豊かな惣菜達
茶色番長唐揚げ軍団
お喋りの友フライドポテト…
そして何よりも感動したのがこちら
チョコレートマウンテン!!
上からチョコレートが永遠に溢れ出てるアレ。
神様…ここは楽園ですか…?
私は食べた。ひたすらに食べた。
途中、あんなにびびっていたボーイズと相席をするも私は会話という会話もせず永遠に食べ続けた。
思えば色んなボーイズがいたもんだ。
チューチュートレイン系男子
サラリーマン金太郎系男子
チェケラ系男子
極道系男子
と、様々な男子と相席をした。
しかし私には唐揚げやチョコレートに浸した食材達がいる。恐れなどない。
今でも覚えているのは
極道系男子はひたすら唐揚げとチョコ漬けしたスポンジを交互に食べる私を見て普段の食生活の心配をしてくれていた。優男だった。
実に優しい人達であった。
人は本当に見かけによらない。
この時の私のホットワードは
「チョコレート浴びてくる」
多分ほっとんどの時間チョコレートマウンテン前にいたわ。門番かよってくらいいたわ。
今思えば、ほぼ任せっきりにしてしまった春ちゃんには悪い事をした。
でもあんな楽園を知ってしまったら誰だってこうなるに違いない。実に反省している。すまんかった。
普段自分が家にこもってた間に
今時の若者はこんな楽園を謳歌していたのか。
これは取り戻さないといけないな。
私の中で野望が生まれた。
仕事中だってのに。そんな事綺麗に忘れていた。
大はしゃぎである。
なんやかんやでママからお店に戻れと連絡があり
この日の収穫は無しだったけど
私の頭の中は(早くまたここ来たい)だった。
デートしてて「今日は帰りたくないな。」って言う女子の気持ちがわかった気がした。
相席屋最高。この言葉に尽きる。
名残惜しみながらお店に戻る道中で
私はただならぬオーラを醸し出しながらベンチに座っている人に目線をまた奪われていた。
やっぱりマ○コデラッ○スさんに激似だった。
(本人ではない)
しかし楽園も長くは続かないのであった…
つづく