老母はワガママ
最近読んだ記事の中で、実母との折り合いが悪い娘の話が結構あって、私と同様に苦しめられている人がいて、ちょっと安心した。
古くは田嶋陽子センセイから脳科学者の中野信子さんも母親との確執を著書で書いていた。一番感動したのは、上野千鶴子先生で「子を持たないのは、母と私の関係を再生産したくないから」と述べていたことだった。
そう、キライな親であっても、おそらくソコが一番似てしまっていて、同じ愚かな行動を繰り返すであろうことは、賢い方々は理解している。
そもそも私と母との相性が悪い。子供の頃、お正月にトランプの七並べをすると、肝心のカードを隠し持って最後まで出さず意地悪をする人だった。負けず嫌いですぐ対抗心を持つ。
極端なキレイ好きで、私と父が触った場所を直接触れたくないので、冷蔵庫の扉はタオルを媒介にして開ける。父の入れ歯は見るのもイヤで、顔をそむける。自分だってインプラントを数本入れてるくせに、歯は丈夫だと言っている。
父が入院して私が大変な時でも、変わらぬ日常を送っていた。毎月白髪染めをして、週に1回手作りこんにゃくを作り、自分の好きな人に配る。自分の兄弟妹は訪ねて来ないので、父の親族が来ると、いい人ぶってあれこれ持たせる。
弟二人から歳暮が届いたら、自分でお返しをすればいいのに、私にやらせる。自分のことは、自分でやれ。
6年前も昨年も父の入院の見舞いは、助手席に乗ってついてくるだけだった。たまには、母が運転したってバチは当たらない。必要な物もすべて私が用意した、何もしないくせに口だけは出す。
別に父の世話を手伝えとは言わない。ただ協力くらいできるだろう。料理作っても、味見をしないから塩からいし、芋類は生煮えで父には食べられない。だから何もしなくていいから、余計な口出しをやめてほしい。
トイレが濡れていた、トイレのふたが開いていた、トイレの扉が閉めてない、電気がつけっぱなし、ささいなことを口に出して言う。黙って行動ができない。
冷蔵庫の中に、自分の作った食材が多すぎて、何がどこにあるのか覚えられず、探しまくっているので、毎日冷蔵庫がピーピー鳴る。あれもこれも認知症の一症状なのだろう。
だから母のことは、隣のおばさんだと思いましょうと父に提案して2年以上たつ。父は心やさしい人なので、意地悪されても文句言われても、耳が遠いから半分も聞き取れないけど、話しかけられたら返事はしてあげる。
私は相手にしない。言い返さない。同じ空間にいない。避けることで、自分の心の平安を保つ。所詮、世代が違うから考え方がお互いに理解できないと思うしかない。