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出会いは大学でのナンパ - 一生大切にしたい、ルームメート


アメリカの大学のキャンパスにある、フードコートから始まった。


彼女はスタッフと何やら専攻について話していた。
専攻名を聞いて私は急にどきどきわくわくした。
クラスメート以外で同じ専攻の学生に出会うことは難しく、初めて訪れる旅行先で小学校の同級生に再開したかのような運命を感じた。


深く考えずに、「あなた、○○を勉強してるの?」と気が付いたら話しかけていた。


彼女は気さくに会話に応じてくれ、たしかメッセンジャーか何かで連絡先を交換してその場は終わった。


それ以来図書館や道で出会うとどちらからともなく手を振ったり、「Hi, how are you doing?」と話しかけるようになった。

彼女はどうやらアニメやコスプレが好きらしい。
パジャマやシャワーを浴びて髪の毛が濡れたまま授業を受けるのも珍しくないこのキャンパスで、彼女は常にお気に入りの洋服、メイク、髪の毛をセットしていた。


彼女と知り合ってから数か月後、もうすぐ年度末になるころ。
彼女から「来年、ルームメートにならない?」と誘われた。

大学内の寮では、部屋を決める際にルームメートを事前に申告することができる。(特定の相手がいない場合は出会うまでお楽しみ)

私は即okay した。
初対面よりもある程度知っている相手のほうがよかったから。


「私ね、小さいころおばあちゃんに言ったの、将来絶対日本人の子と友達になってルームメートになるって。」


その相手が私でよかったのかは自信がないが、彼女の宣言が実現したことに鳥肌がたった。



彼女との生活は楽しかった。なによりも居心地がよかった。


深夜まで一緒に図書館で勉強した
文化や政治について明け方まで語り合った
コスプレの衣装やメイクを見せてくれた
お互いの言語を教え合った(彼女はスペイン語と英語を話す)


相手に迷惑をかけないよう、尊重しつつほどよく雑音のある生活。

彼氏や母親との電話中、ときどき私を巻き込んでくれた
夜は音楽を流してくれた(私の好みにぴったりだった!)
泣いているときはそっとしておいてくれた


干渉しすぎず、干渉して、そこにある日常はすごく自然で、
お互いの生活を尊重しながらも相手は確実に自分の生活に豊かさをもたらしてくれた。


彼女の芯がある考え方
逆境にめげず常に今できることに全力で取り組む姿勢
弱いときは休み、まわりの人に助けを求める勇気


彼女が全力で生きているというだけで、私は自分を奮い立たせることができる。




あと少しでアメリカ留学へと戻る。
彼女との思い出の大学ではなく、編入先の別大学だ。

そのころには雪が数メートル積もり、外にいては顔も身体も凍り付いてしまうほどに冷たい世界になっているはずだ。


大学は彼女の住む町にそう遠くない場所なので、必ず再会できるだろう。


日本からたくさんのおみやげを持って、離れていた間の出来事を伝え合うんだ


物理的に離れていても、心は繋がっている。


かわいいねこやアメリカで見つけた日本のお菓子の写真を突拍子無く送り合える関係なんて、そうそうない。


頂いたお礼は知識と経験を得て世界を知るために使わせていただきます。