バイリンガル餃子 / 毎週ショートショートnote
夜道を歩いていると大きな餃子が話しかけてきた。
「すみません…。」
そのまま見ているとまた話しかけてきた。
「Do you have a minute?」
英語?じっと見ていると他の言語でも話しかけてくる。
「いや言葉が分からないんじゃなくて、道で餃子に話しかけられたことが無いから驚いているだけです。」
餃子はホッとした…ような気がする。
「実はお腹が空いてしまって。あなたがお持ちの肉を分けて欲しいのです。」
肉なんて持ってません、と返事をする間もなく餃子は右のふくらはぎにぱくりと食いついた。
ふにふにと変な感触だが痛くはない。歯がないからだろうか。するりと離れた餃子はふっくらと満足そうだ。私の右足は…細くなった!
「ちょっと、左も食べてよ。」
「いえ、もう満腹でして。」
奥の方からぎゃあ、と悲鳴が聞こえた。
他の餃子がいるかもと悲鳴の方へ向かう。
「そっちはカニ焼売で肉は食べません。」
道には四角く青い殻が落ちていた。
「たらはさん…」
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