星屑ドライブ / 毎週ショートショートnote
「道間違えたんじゃない?」
真っ暗な木々の間を走り不安になった薫が聞いた。
「大丈夫。確かこの辺に…ほら、ここ一本道に見えるけど右の細い道に入るんだ。」
更に悪路になった後、ぐるりと回ると湖に出た。まだ少し怖がる薫を外に誘い、上を指差す。
空には満天の星。
「綺麗。」
空を見上げる薫の前に片膝をついて箱を差し出す。パチパチと瞬きする薫に向けて蓋を開けた。
「大きなダイヤは買えないけどさ、付き合って三年目って事で…。」
薫は笑いながら箱を手に取り、幾つもの小さなダイヤが散りばめられた指輪を右手の薬指にはめた。
「綺麗。指に星空があるみたい。」
「小さいから星屑だけどな。」
「ありがとう。」
薫がぎゅっと抱きついた。
「けどさ、指輪パカッてするのは記念日じゃなくてプロポーズだよ。」
「そうだっけ。」
薫の背中を抱きしめながら二人で笑う。
プロポーズのつもりだったんだけどな。もう少し大きなダイヤ買わなくちゃ。
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