砂利ベッド売り / 毎週ショートショートnote
妻が大きな段ボールと格闘している。背の低い彼女には中身が出せないらしいので手伝うと中から四角い木枠と砂利の詰まった袋が出てきた。
「砂利ベッド買ったの。」
『砂利ベッド売り』と書かれたチラシを見せる。
「砂利ベッドに二人で座ると子供が出来るんですって。」
嬉しそうな彼女に騙されてるとは言いづらく、畳半畳ほどの木枠に砂利を敷いて並んで座った。
「ちょっと痛いね。」
「三時間我慢して。そうしたら翌朝には産まれるらしいの。」
「名前は砂利太郎かな。」
「女の子かもよ?」
「砂利子か。」
三時間、砂利の上で笑いながら過ごした。
翌朝、卵みたいにパカっと割れた砂利のそばに赤ちゃんがいた。
「砂利が楽しそうだと感じたら赤ちゃんが産まれるって書いてあったんだけど…。」
リビングを埋め尽くす大勢の赤ちゃん達。
「みんな女の子みたい…けど砂利子は嫌だわ。」
「じゃあ…ジュリエットにしよう。」
ジュリエット達は嬉しそうに手足をバタつかせた。
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