神様時計(砂) / 毎週ショートショートnote
「さぁ、どうする?」
死神はニヤけながら蝋燭を見ている。その間も彼女の蝋燭は弱々しくチラチラと揺れている。その横で僕の蝋燭はどっしりと長い。
「お前のと交換してやってもいいんだぞ。」
それで彼女は長生きできる。けど代わりに僕の命が…。悩んでいるとたくさんの蝋燭の中に砂時計が一つあるのに気づいた。
もしかして。この砂時計をひっくり返せば時間が戻るのではないだろうか。それで事故の前に戻せたなら彼女は助かるに違いない。
僕が砂時計を掴むのを見て悪魔は慌てた。
「やめろ、その神様時計に触るな!」
悪魔の手が届くより先にひっくり返す。
と、黒い悪魔が霧のようなものに包まれた。
「あぁ、あなたのお陰で戻れました。お礼に彼女の蝋燭を長くしてあげましょう。」
霧が晴れ、中から現れた白い天使が言った。
あぁ良かった。彼女を轢いた時は本当に焦ったけど、これで僕が殺人犯にならなくて済んだ。
もう飲酒運転はやめよう。
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