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mericanadesico
ふりかえるとよみがえる / 毎週ショートショートnote
曲がりくねった木々の間を抜け、伸び放題の草を踏み分けて進む。
もうどれくらい歩いているのか分からない。辺りは何度目かの夕闇がしっとりと降りている。
「もし、」
あぁまたか。
振り返るとスーツを着た男。
「私も連れて行ってくれませんか。」
「首にロープがついてるから無理です。」
ぴしゃりと断ってまた歩き出す。背後から恐ろしい呻き声が聞こえるがもう慣れた。
彼らはたぶん森で自殺した者たちだろうが、今更帰りたいらしく次々と私に声をかけてくる。
帰りたいのは私も同じだ。
ドライブ中に喧嘩なんかしなければ良かった。
…彼も探しているだろうな。
沢山の霊たちを無視して進むと、やっと道路に出られた!しかもほら、白い車!やっぱり私を探してくれてたんだわ。
私は喜んで後部座席に座った。
「やっぱり嘘かぁ。」
この心霊スポットに白い車で来ると女の霊が出るという噂だった。さて帰るか。ふと後部座席を振り返ると半透明の女がいた。
「…イッショニ カエロウ」
夏なんでホラーっぽいものを…と思ったけど、あれ?「よみがえる」が無いような…。
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