結婚式ゾンビ② / 毎週ショートショートnote

ブライダルフェアに来た年配の女性は満足そうに帰って行った。深々と頭を下げていた先輩は顔を上げるともう笑顔が消えている。
「いやー疲れましたね、先輩。もし息子が結婚するとしてって架空の相談に何時間も笑顔で対応できるなんて、本当にさすがです。」
新人の私はもうクタクタだった。
「まだ息子の相手は決まってないって言ってましたよ。それじゃ結婚式ゾンビも増えないし今日は疲れただけですね。」
先輩はフフッと笑った。
「母親達のコミュニケーション能力を甘く見ちゃだめよ。あの式場はすごくいいわよ、なんて１人が近所で言うでしょ、翌日には近所どころか親戚が住む遠方まで広がるの。彼女達の噂は早く広がる上に、知人から聞いたってだけで信頼度抜群なんだから。」
「結婚式ゾンビのウィルスみたい。」
「そうね。どんどん増やして給料爆上がりよ！」
先輩はまた力強く宣言した。

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