アメリカ製保健室 / 毎週ショートショートnote
保健室は今日も人だかりが出来ていた。
みんなフィンリー先生が目当てで、ケガはもちろん英語を教えて欲しいとか何とか理由をつけては保健室へとやってきていた。
「OK、傷にはサビオ貼るデスネ。」
「アタシ英語はアメリカ製よ。授業はクイーンズっしょ。」
美しい顔立ちに微妙な日本語がまた可愛い。危うくニヤケそうになるのを何とか抑える。
「ほら、授業始まるぞ。戻れ。」
「うるさい体育教師が来たー。」
文句を言う生徒達を保健室から追い出すと後ろ手に扉を閉める。
フィンリー先生は人形のように美しい瞳で悪戯っぽく笑った。
「じょっぴん、かった?」
頷く僕にフィンリー先生が閉めたカーテン越しの陽が柔らかい。先生の長い指がゆっくりと白衣のボタンを外し出した。
僕はもう我慢出来ず、ジャージのジッパーを降ろし脱ぎ捨てた。先生の白衣もすとんと床に落ちる。
「たら丸!」
「エベチュン!」
互いにTシャツの絵柄を確認しガッチリと握手した。アメリカ製保健室は全国民道産子化計画のアジトなのだ。
【解説】
サビオ) 絆創膏のこと。道産子お婆ちゃんとかが言います。
じょっぴんかった?) 鍵かけた?
※どちらも公式からお借りしました。
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