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デジタルバレンタイン / 毎週ショートショートnote

チョコは渡せなかった。仲良く話すミナと彼が頭から離れないまま部屋にこもっていると、お兄ちゃんがまたリモコンを持って部屋にきた。
「今度のはタイムマシンだぞ。戻ってチョコ渡してこい。」
2月14日に設定して赤いボタンを押す。
ダリの絵みたいな時計がすごい勢いで左右を通り過ぎ、気がつくとお兄ちゃんがいない。
外に出てみるとミナっぽい顔の等身大レゴブロックが立っていた。
「110100…」
「え?何?」
「00011011101…」
なんか変だ。
青いボタンを押すとダリ時計が逆向きに通り過ぎていく。
「失敗じゃない?ミナはカクカクしてたし、0と1しか言わないよ。」
「デジタル言語だな。容量が少なすぎてドットなのかも。」
お兄ちゃんは私の報告に考え込みながら部屋を出て行った。
結局チョコ渡せてないし。
携帯がミナからの着信を告げる。
「彼、私と仲良くなりたかったんだって。」
ミナの声が楽しそうだ。
「私の友達が気になってて、色々教えてくれって。良かったね!」
…それって、もしかして。
ガチャッとお兄ちゃんがまた部屋に入ってきた。
「改良したぞ!」
「もういらないかもぉ。」


↓ バレンタイン当日の話


#毎週ショートショートnote
#デジタルバレンタイン

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