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塩人 / 毎週ショートショートnote
真夜中の公園に幼い男の子が座っていた。
「どうしたの?」
小さな肩がしょんぼりしている。
「みんな、僕が塩人だから嫌いって言うんだ。」
「しおんちゅって?」
男の子はポケットから小瓶を出し蓋がついたまま逆さに振って見せる。
「僕のお仕事。こうやって振るの。」
小瓶にはサラサラと白い物が入っている。幼稚園で流行っている遊びだろうか。
「よく分からないけど、私ならそんな事で嫌いにならないなぁ。」
「本当?」
笑顔で頷くと男の子が顔を上げた。
「ありがとう。ちょっと後ろ向いて。」
男の子に背を向けると、小瓶の蓋を開け私の背中に振りかけた。
「ぎゃーっ!くそっ、塩人め!」
突然、背後で叫び声があがり風が通り抜ける。
「悪い霊が憑いてたから振っておいたよ。…だけど、やっぱり霊には嫌われちゃうんだ。」
またしょんぼりした肩を撫でる。
「全員に好かれるのは無理だよ。悪い霊には好かれなくてもいいんじゃないかな。」
ぱっと笑顔になると塩人はすぅっと消えた。
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