フシギドライバー / 毎週ショートショートnote
気がつくとタクシーは森の中を走っていた。
運転手を見ると昔の飼い猫がハンドルを握っている。
「ハッチ元気だった?」
猫のハッチは笑った。
「僕もう死んでるのに元気?だなんて。凛ちゃんは疲れているね。」
こんな夢を見るくらいにね。
「ハッチを撫でたら元気出るんだけどな。戻ってこられないの?」
ハッチはまた笑った。
「無理だよ。だけど、」
ハッチはタクシーを止めて振り向いた。
「凛ちゃんに出会う前に産まれた僕の子供を助けて欲しいんだ。一匹だけ野良のままでさ、公園の松の枝から降りられなくなってるんだ。」
ハッチの子猫!飼いたい!
「まかせて、ハッチ。」
返事をすると目が覚めた。タクシーに乗った筈なのに、公園のベンチだ。
細い松の木を見上げると、いた。ハッチと同じハチワレ猫だ。
幸い松の木はそんなに高くない。ベンチをズルズル引っ張ってきて登り、手を伸ばす。
フギャーッ
思い切り引っ掻いて走り降りると猫は一目散に逃げていった。
『本作品はamazonkindleで出版される410字
の毎週ショートショート〜一周年記念〜 へ掲載
される事についてたらはかにさんと合意済です」
↑ 勝手にオススメしちゃいます。
秋田柴子さんのフシギドライバーを読んで昔の猫が運転手だったらいいなぁと思いながら書きました。
けど猫ってこちらの思惑通りにはいきませんよね。
#毎週ショートショートnote
#フシギドライバー
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