2024 慶應ロー 答案構成
過去問を解く際に沢山の先輩方の答案構成と再現答案を参考にさせていただいたので、私も書いてみようと思います。何かしらの参考になれば幸いです。(再現答案は時間に余裕があるときに書きます。)
提出書類について
TOEICや推薦文等の書類を提出せず、成績証明書とステメン(3枚)のみ提出しました。学部成績はあまり良くないし、大学生活で特筆すべき活動をしていたわけでもないのでので多分書類点は低いです。。
論述式試験について
憲法(55分)
1、本決定はC自治会の思想及び良心の自由(19)を不当に制約し、C自治会の「目的の範囲内」(地方自治法260条の2第1項)の行為とはいえないのではないか。
2、(1)本決定はC自治会と構成員という私人間の行為であり、憲法上の権利を主張することは許されないのではないか。
(2)憲法上の権利は、国家・地方自治体に対する権利であり、私人に対して憲法上の権利を主張できない。しかし、憲法上の権利の重要性に鑑み、私人間であっても、私法上の一般条項の解釈にあたり、憲法上の権利を考慮することで間接的に当該憲法上の権利を保障することができると解する。
(3)そこで、本決定が「目的の範囲内」の行為かについて解釈するにあたり、憲法上の権利を考慮することも許容される。
3、(1)強制加入団体性について
C自治会は強制加入ではないが、未加入者は有事の際にA市からの援助が受けられず、かつ、配布物も配布されないといった甚大な不利益が存在しており、実質的に強制加入団体的性質を有している。
(2)構成員の権利
ア)かかる強制加入的性質を有する団体においては、様々な思想及び信条を有する構成員の存在が当然に予定されるから、構成員の思想及び良心の自由(19)は尊重されるべきである。
イ)では、寄付をするか否かを決定する自由(「本件自由」)は思想及び良心の自由により保障されているか。
→「思想及び良心」に広く人の内心活動を含めると、保障対象が拡張され、内心の自由の価値の希釈化のおそれがあり妥当でない。そこで、「思想及び良心」とは、世界観、人生観、主義、主張等の個人の人格形成活動に資する内面的精神作用をいうと解する。
→肯定
4、(1)権利の重要性
思想及び良心の自由は内面的精神活動についての権利であるため、重要な権利である。
(2)制約の強度
(3)限定解釈(????)(血迷いました。)
地方自治法260条の2第1項にいう「規約に定める目的」とは、C自治体規約4条により具体化されていると解することができる。そして、上記権利の重要性及び制約の強度を鑑みると、本決定が「目的の範囲内」の行為かを判断するにあたっては本決定によりC自治体規約4条の目的を具体的に達する可能性が十分に認められるかにより判断すべきである。
(4)検討
C自治会はB地区の住民により結成される(規約2条)が、水害を被ったのはB地区以外の地域であり、B地区の住み良い地域社会の形成には直接関係がなく、かかる地域への見舞金の寄付により上記目的は達し得ないとも思える。
しかし、水害を被ったのはA市の中のB地区以外の他地域であり、B地区とかかる他地域はA市という同一の地域社会に属している。又、徴収金額も一世帯あたり100円と低額であり、組合員に寄付を強制しても組合員に特段の経済的不利益を与えることにならない。寄付金の総額はおよそ5万円に達し、被害地域が復興するのに資する金額といえる。さらに、同じ地域共同体に属する者は災害等があった際に相互扶助することを期待されているのであって、C自治体が被害地域に見舞金として寄付を行うことは、より良い地域社会の形成に資する。(うろ覚えです。)
民法(35分)
設問1
1、Bへの請求
(1)賃貸借契約の解除に基づく甲4階の返還請求
→Bの無断転貸により「賃貸人」Dに解除権が生じ、Dはこれを行使。
(2)Dは「賃貸人」にあたらないのではないか。
→AからDへの賃貸人の地位の移転及び対抗要件の具備(605条の2第1項、3項、借地借家法31条)
(3)本件転貸借契約は背信行為とはいえず、無断転貸にはあたらないのではないか。
→賃貸借契約が当事者の個人的信頼を基礎とする継続的法律関係であることに鑑み、賃借権の無断譲渡・転貸が行われ、第三者に賃借物の使用又は収益をさせた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、612条2項の解除権は発生しないものと解する。
→たしかに、B、Bの妻、及びBの妻の弟Cは家族ぐるみでスポーツショップを経営しており、転貸借契約後もかかる家族ぐるみの経営形態には変化が無いとして背信行為と認めるに足らない特段の事情があるとも思える。しかし、AB間の賃貸借契約においては甲4、5階はスポーツショップの営業を目的としていたにもかかわらず、転貸借契約後は甲5階は改装されスポーツバーとして営業されるに至っているから、かかる転貸借契約にAへの背信性がないとはいえない。
(4)よってDの請求は認容される。
2、Cへの請求
(1)所有権に基づく返還請求
AD間の売買契約によりDに所有権。
Cが甲5階をスポーツバーとして利用して占有
(2)CはBから甲5階を転借しているため、占有権限があるのではないか。
→賃貸人Dが無断転貸によりBとの賃貸借契約を解除し、Cに甲5階の返還請求を行っている以上、もはや賃貸人と転貸人が再び賃貸借契約を締結するなどして転借権を賃貸人に対抗することは不可能になったといえるため、かかる時点で転借物たる甲5階を使用収益することはできなくなったとして616条の2により転貸借契約は終了している。
→Cの主張は認められない。
設問2
1、CはBに対し必要費返還請求(608条1項)を行う。
Bは甲の屋上の修繕義務(606)を負うから、屋上の補修費は「賃貸人」たるBの「負担に属する必要費」であり、かかる費用を「賃借人」たるCが支出した(みたいなことを書いた気がします。)
2、Bが無資力の場合
(1)CはAに対して不当利得返還請求(703)を行う
(2)頑張って当てはめました。転用物訴権を上手く答案に書けませんでしたし、途中答案です。
刑法(60分)
問題1
1、XがAを床に投げつけた行為に殺人罪が成立するか。
→成立する。
2、Xの上記行為は正当防衛として違法性が阻却されないか。
→Aはゴルフクラブを握りしめただけであり、Xの身体を侵害しようとしてない
→「急迫不正の侵害」がない。
3、誤想防衛として責任故意阻却
→ 故意責任の本質は規範を無視した反規範的人格態度に対する道義的非難にあるところ、違法性阻却事由を基礎付ける事実について誤信している場合、規範に直面できたとはいえない。
そこで、自己の主観を基準として正当防衛(36条1項)が成立する場合、責任故意は阻却されると解する。
→Aはゴルフクラブという凶器を手にしていたが、
Xは大学の柔道部のキャプテンであり、武道に精通していた上、体格においてもAより優っていた。
→相当性を欠く。
4、誤想過剰防衛
→36条2項の趣旨である緊急事態の下で精神の動揺のため行き過ぎた防衛行為を強く非難できないという点は妥当するから、同項を準用すべきである。
→◯
5、Xは殺人罪が成立するが、誤想過剰防衛として36条2項が準用され、任意的減免。
問題2
1、XがAの首を絞め、死に至らしめた行為に殺人罪が成立するか。
→◯
2、Xがスマートフォン等を持ち去り、破壊した行為に窃盗罪が成立するか。
(1)Aはすでに死亡しているため、Aがスマートフォン等を占有していたとはいえず、上記持ち去りは「窃取」にあたらないのではないか。
→確かに、死者には占有の意思がなく物の占有を認めることができないため、「窃取」(235条)にはあたらないとも思える。
しかし、被害者を死に至らしめた者との関係において、財物取得行為が被害者の死亡と時間的・場所的に近接する場合には、致死行為及び財物取得行為という一連の行為を全体的に考察すれば、死者の生前の占有を侵害したものと評価できるため、「窃取」にあたると解する。
→Aの占有が認められ、Xは他人たるAの「財物」にあたるスマートフォン等を「窃取」したといえる。
(2)故意○
(3)不法領得の意思
→不可罰的な使用窃盗及び利欲犯的性質のない毀棄罪と区別すべく、窃盗罪の成立には、故意とは異なる主観的要素として不法領得の意思が必要であると解する。そして、不法領得の意思の内容は、①権利者を排除し他人の物を自己の所有物として、②その物の経済的用法に従いこれを利用処分する意思であると解する。
→XはAとの不倫関係を隠すために持ち去り、破壊しようとしているのだから、経済的に利用処分する意思は認められない。
(4)窃盗罪は成立しない。ただし、器物損壊罪は成立。
3、キャッシュカードについて
時間がなかったので何も書いてません。
商法(40分)
問題1
136→145条1号により承認みなし。
→適式な手続きに則り133条により本件名義書換請求を行なっている
→株主名簿(121条以下)の趣旨は、会社が名義書換請求に適切に応じることを前提に、会社の事務処理上の便宜を図る点にあるため、適法な名義書換請求がなされた場合はこれに従わなければならないと解する。
→応じなければならない。
問題2
1、本件選任決議及び本件剰余金配当は299条1項に違反するとして831条1項1号により取り消すことが認められるか。
2、(1)名義書換が完了していないが、Fは「株主」と認められるか。
→株主名簿の上記趣旨に照らすと、名義書換請求を不当に拒絶しているにもかかわらず、名義書換未了を理由として譲受人を株主として扱わないことは、信義則(民法1条2項)に反するといえる。そこで、不当拒絶の場合、名義書換未了の譲受人は、株主たる地位を会社に対抗することができると解する。
→Fは「株主」としての地位を会社に対抗できる。
(2)株主たるFに招集通知を欠いているから、299条1項違反という法令違反が認められる。
3、(1)裁量棄却されるか。
(2)Fが出席しても309条1項により本件選任決議及び本件剰余金配当は決議されたと考えられるため、違反する事実は決議に影響を及ぼさない。しかし、299条1項の趣旨は、株主に株主総会への準備と参加の機会を与えることにあるところ、Fは招集通知を受け取っておらず、本件株主総会の存在を知り得たという特段の事情も存在していないことから、299条1項の趣旨に反しており、招集通知の欠缺は重大なものといえる。
(3)裁量棄却されない。
民事訴訟法(55分)
問1
(1)
既判力の適用範囲と客観的範囲
→前訴と後訴の訴訟物は同一・矛盾・先決関係のいずれの関係にも無いから適用場面じゃない。
(2)
ア)既判力の適用範囲と客観的範囲
→Yの主張は判決理由中の事実に関するものであるから、前訴において既判力は生じていない。
イ)争点効
→明文ないし要件不明確だから認められない
ウ)信義則による遮断
→訴訟の紛争解決機能を維持すべく、実質的な紛争の蒸返しとなる場合には信義則(2条参照)を適用して拘束力を認めるべきである。具体的には、ある法律上の地位を基礎付ける事実について一方当事者が既に主張立証を尽くしたといえる場合において、前訴で主張をし尽くした敗訴当事者が同一争点を持ち出して応訴する場合、もはやその地位を訴訟上主張し得ないことについて相手方当事者の信頼が形成される結果、そのような地位を主張することは信義則上制限されると解する。
→Yの主張はAY間の賃貸借契約を基礎付ける事実を否定するものである。AY間の賃貸借契約の存否は、前訴においてXY間で主張立証し、裁判所がAY間の賃貸借契約を肯定する判断を下しているにもかかわらず、後訴においてYが再び同一の争点を持ち出しているものであり、もはやかかる争点について争われることはないというXの信頼に反し、かつ、紛争の蒸し返しとなる。よって、Yの主張は信義則により遮断されるべきである。
問2
将来給付の訴えの訴えの利益の認否
→将来給付の訴えは原則として訴えの利益が認められないが、①請求権の発生が相当程度確実であり(請求適格)、②その請求権について現時点で給付判決を得ておく特別な必要性が認められる場合には、「あらかじめその請求をする必要がある場合」(135条)として例外的に訴えの利益が認められる。
継続的不法行為のように請求権の発生が流動的である場合、将来債務者の側に請求異議の訴えの提起という負担を課すことを正当化できるような事情が必要である。
そこで、ⓐ請求権発生の基礎となるべき事実関係および法律関係が既に存在し、その継続が予測され、ⓑ請求権の成否およびその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動があらかじめ明確に予測し得る事由に限られ、©これについて請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止し得るという負担を債務者に課しても格別不当とはいえない場合には、請求適格が認められると解する。
→Yは甲地を占有しているからXの請求権の基礎となる事実関係がある。そして、YはXとの交渉に全く応じていないことからその存続が予測される。(ここで終わりました。)
刑事訴訟法(25分)
時間もなくひたすら答案を書いていたため何を書いたのか全く覚えていません。
設問1
(1)訴因変更の要否の判断基準
→ 当事者主義(256条6項、298条1項、312条1項など)の下、裁判所の審判対象は、一方当事者たる検察官の主張する具体的事実である訴因である。そうすると、当事者たる検察官の主張する具体的事実に変更が生じた場合は、訴因変更手続が必要となるのが原則である。もっとも、些細な事実の変化でも常に訴因変更を要するとするのは、手続が煩雑となるため、事実に重要なまたは実質的な差異が生じた場合に訴因変更が必要と解する。
具体的には、まず、訴因制度の趣旨が審判対象識別機能と防衛権告知機能にあるところ、前者が満たされれば後者も満たされる点で、両者は表裏一体の機能といえるため、①審判対象画定のために不可欠な事項に変化があった場合は訴因変更が必要と解する。
また、②①以外の事項の変化であっても、争点明確化の観点から、それが訴因において明示され、一般的に被告人の防御にとって重要な場合には、原則として、訴因変更を要すると解する。もっとも、具体的な審理経過等から被告人にとって不意打ちとならず、かつ、不利益とならない場合は、例外的に、訴因変更は不要と解する。
(2)上記基準に従い訴因変更の要否を検討する。
審判対象画定のために不可欠な事項に変化があったとはいえない。
被告人の防御にとって重要な事項である。嘱託殺人よりも殺人罪の方が刑罰が重いため、殺人の事実を認定することはXにとって不利益である。
→
訴因変更を要する。
設問2
上記基準に従い訴因変更の要否を検討する。
→
審判対象画定のために不可欠な事項に変化があったとはいえない。
被告人の防御にとって重要な事項である。しかし、Yは共同正犯か否かを争い、主張が一部認容された結果幇助犯と評価されるに至っているのだから、Yにとって不意打ちとはならない。そして、共同正犯に比べ幇助犯の方が罪状が軽いため、Yにとって不利益とはならない。
→
よって、訴因変更は不要。
設問3
公訴事実の同一性が認められるか
→当事者主義的訴訟構造(256条6項、298条1項、312条1項)の下、裁判所の審判対象は、一方当事者たる検察官が主張する具体的事実である訴因である。そうだとすれば、「公訴事実の同一性」(同項)は、訴因変更の限界を画する機能的概念に過ぎず、訴訟の一回的解決の要請と、被告人の防御上の不利益防止の要請との比較衡量により決するべきである。
具体的には、事実の共通性のない範囲にまで「公訴事実の同一性」を拡大することは、両要請からして相当とはいえないため、基本的事実関係が同一といえる場合には「公訴事実の同一性」が認められると解する。
その判断は、両訴因記載の事実の共通性を第一次基準とし、両訴因の非両立性を補完的に考慮すべきである。
→受託収賄の罪と贈賄の罪の訴因は同一事実について法的評価を異にするにすぎないから、基本的事実関係が共通している。(途中答案)
所感
時間が無さすぎて途中答案が2、3個あるし論点落とすしで正直受かっていると思いませんでした。とにかくペンを動かして最後まで書き切ろうとして論理が破滅している部分も多かったです。(各科目2枚半以上は書きました。)
規範は簡潔に書かないと終わらないです。途中答案無い人はどう答案を書き上げたんですかね、、すごすぎます。