nwm ONE MBH001はMDR-MA900の後継機となって難民を救うことができるのか
集合住宅ではスピーカーで音を出すと近隣トラブルになりやすいので、私はSONYのMDR-MA900というヘッドホンを使っていた。
製品自体は素晴らしいのだがケーブルが煩わしくなりBluetooth接続のヘッドホンを探していたが、MDR-MA900の装着感に慣れてしまうと通常のヘッドホンに戻れなくなってしまっていた。
そんな中『nwm ONE MBH001』というヘッドホンを発見したので購入してみた。
昔々SONYが開発したフルオープンエア型ヘッドホン『MDR-MA900』という名機があった
『MDR-MA900』というヘッドホンの名機をご存知だろうか。
SONYが開発したフルオープンエア型ヘッドホンで、通常のヘッドホンと違いイヤーパッドとドライバユニットの間が物理的に空いているという一見正気の沙汰とは思えない製品である。
当然音は漏れまくるので外では使えないのだが、一人暮らしで家の中で使う分には問題ない。
音質については私はあまり詳しくないのでなんとも言えないのだが、明らかに1万円以下のヘッドホンよりは良いので不満はない。
そもそも音質を重視するヘビーユーザーにとっては選択肢に無いだろう。
側圧もかなり弱くて一日中装着していてもまったく苦痛がない軽くて蒸れないという日常使いには最強のヘッドホンだった。
私はこの製品をずっと愛用していた。
10年以上使っていたのでイヤーパッドはペッタンコだし本体も細かい傷だらけ、ケーブルは椅子のキャスターで何度踏んだかわからない。
それでも全く故障する気配がないのだから本当に素晴らしい製品である。
しかし2012年4月に発売された製品のため、イヤーパッド等の交換部品も含
めて生産終了している。
そして残念なことに後継機は無い。
前機種であるMDR-F1から15年経ってMDR-MA900が発売されているので、やはり一般受けはしない製品なのだろうか。
また、他のメーカーから同様の製品が出ないということはこの機構と音質を両立するのは難しいと思われる。
そのため他に代替品も無い状態が長い間続いていた。
nwm ONE MBH001とは
nwm(ヌーム)という聞いたことがないブランドだったのでちょっと不安だったが、NTTグループのブランドのようだ。
最大の特徴はMDR-MA900と同じくイヤーパッドとドライバユニットの間が物理的に空いている点と、その音漏れ対策である新技術『パーソナライズドサウンドゾーン』を搭載している点だろう。
ある音波に対して逆相の音波を当てることで音漏れを防ぐという、とても高度な技術なのだが難しすぎるので謎技術と呼ばれたりしている。
ヘッドバンドやイヤーパッドなど、直接触れる部分はシリコン素材を採用している。布製のものより付け心地は若干悪いが汚れても拭けるので衛生的。
また、公式ページではヘッドホンではなく、
『オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー』と呼んでいる。
普通のヘッドホンとは少し違ったコンセプトで作られていることが分かる。
デザインは近未来的で好みが分かれるところだが、私はアーマード・コアとかに出てきそうなロボット感があってカッコいいと思った。
折りたたみ機能は無いので持ち運びや収納にはやや不便である。
基本的に黒系しかないヘッドホンでライトグレイのカラーがあるのはポイントが高い。黒は埃が目立つからね…。
電池持続時間は約20時間なので及第点ではあるが、最近のヘッドホンは40~50時間持つ機種も多いので若干物足りないか。
そして気になるのは価格である。
MDR-MA900は2万円程度で買えたが、nwm ONE MBH001は4万円と倍の価格になっている…。
nwm ONE MBH001を実際に使用した感想
nwm ONE MBH001の良い点
MDR-MA900と同様の軽くて蒸れない装着感
Bluetooth接続のためケーブルレスによる快適さ
音漏れの少なさ
nwm ONE MBH001の悪い点
MDR-MA900に比べて音質が劣る
Bluetooth接続による遅延
折りたたみ機能が無い
価格の高さ
全体的な感想
MDR-MA900より若干側圧が強めなのとイヤーパッドがシリコン製なので独特の感触があるが、慣れると装着感は悪くない。
重量はnwm ONEは約185g、MDR-MA900は約195g。
nwm ONEはBluetoothやバッテリーも搭載しているのに、MDR-MA900より約10gも軽くなっているので技術の進歩はすごい。
フルオープン型の開放感は健在で、長時間使っていても全く蒸れないし外の音も聞こえるので安心。
音質についてはやはりMDR-MA900のほうが良い。
ドライバユニットの大きさがそもそも違うし、有線とBluetoothでは比べるまでもないのだが…。
MDR-MA900はとてもクリアな音であったが、nwm ONEは若干籠ったような音に聞こえる。
ドライバユニットを動かして耳の方向に正しく向けることで結構変わるので少し慣れが必要。
驚いたのは音漏れがかなり軽減されていること。
さすがに満員電車の中などで使うのは難しいが、公式ページのイメージどおり室外での使用も十分可能なレベル。
残念なのが、Bluetooth接続のため音の遅延が発生することだ。
私がケーブルの煩わしさに我慢しながらMDR-MA900を10年以上使っていた理由は代替機が見つからなかったこともあるが、この音の遅延が気になる問題があった。
Windows10時代のSBC接続では約220msも遅延していたので、アニメでは口パクと音声がものすごくズレていて視聴できるレベルでは無かった。
Windows11ではAAC接続に対応しているため遅延は約120msである。
アニメや動画の視聴は若干遅延を感じるときがあるものの、ギリギリ耐えられるレベルにはなっている。
しかしゲームはかなり厳しい。音ゲーは完全に無理で普通のゲームでもボタンを押して効果音が出るのにワンテンポ遅れるので若干ストレスを感じる。
私の環境では対応していないので試すことはできないが、低遅延のLC3コーデックで接続すればゲームも遊べるのだろうか。
有線接続はUSB-Cのみで、3.5mmステレオミニプラグを搭載していない。
iPhoneのように古い規格を切り捨てて性能に全振りしたのは勇気ある決断だと思う。
まとめ:nwm ONE MBH001はMDR-MA900難民を救えたのか?
音質や細かい部分で違いがあるのでnwm ONE MBH001はMDR-MA900の完全な後継機というわけにはならないだろうが、MDR-MA900難民であった私を救うことはできた。
MDR-MA900の後継機を探している方は、nwm ONE MBH001を検討してみてほしい。