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なぞの背ネームの進化

学生が団体でオーダーして作るシャツは以前からあった。

部活やサークルで、揃いのユニフォームや、シャツを着ることがあるのはわかる。体育祭、球技大会、文化祭用に『クラスTシャツ』を作るのも知っていた。

たとえば、文化祭ではクラスのシャツ、部活のシャツ、実行委員になると法被を着たりと、忙しい。模擬店はエプロンに三角巾もする。兼部していると、出し物ごとに違うシャツを何枚もチェンジすることになる。

以前、地元の高校の文化祭に行った時、クラスTシャツは、ユニフォームのように、背中に数字と名前を入れていた。背中の真ん中につく大きい数字は、学年クラス出席番号を表す。数字の上に英語で名前が入るものもあり、だいたい運動部のユニフォームくらいの情報量だった。

それが、ここ数年でさらに進化したようだ。

Tシャツを印刷する業者さんの企業努力のおかげでけっこうな文字数を表記可能になった。文字数が多いときは、長体がかかってるかも。英語だけでなく、ハングルもプリントできるところもあるらしい。

今は、この2つの枠に、
・数字 出席番号ではなく、好きな数字を。2桁まで。
・名前 本名ではなく、背ネームを入れる。

生徒は名前、出席番号も伏せている。
つまり、背中には、学校側で管理される情報がないのだ。

じゃあ、私服でいいのに。何で着るの? と思ってしまうが、外部の人と見わけがつきやすいからかもしれない。
制服がない自由な校風の学校の生徒が、わざわざ制服風の服を選んで通学するのと同じく複雑。それに、文化祭の日でも、私服で校内を歩き回るには”異装届”が必要という、だいぶ厳しめな学校もある。

最近はお店でも、店員さんは、名札をつけない、あるいはつけても本名はのせずにイニシャルなどで表記するところが増えた。
気軽に写真をSNSにあげたりできる時代だからこそ、クラスTシャツも本名を入れない方が安心なのかも。とも思う。

先月は、親戚の子の通う高校の文化祭に行った。やはり、背ネームのついたクラスTシャツを着ている生徒が多かった。

担任の先生もクラスTシャツを着ている。
先生の場合は背ネームが簡単だ。自分の名前をそのまま平仮名やあだ名をローマ字表記で書いているので先生だとわかる。
たとえば、校内で迷って道を尋ねたいときに、向こうから人が歩いてくるとする。上はクラスTシャツ、下はジャージだ。先生か、生徒か迷う。いきなり『先生ですか?』と聞くのは失礼だ。
その場合は、背ネームがヒントになる。そのまま名前なら先生の可能性が高い。すれ違って背中を確認してから敬語で声をかける(実話)。

生徒の見分け方は、シャツのデザインでとりあえずは何年何組か所属がわかる。
それから、背ネームを見る。背ネームは、自己紹介のような感じで何かを書く。SNSで使う自己紹介のような感じで。たとえば、

・好きな物 趣味、好きな食べ物、飲み物、音楽、推してるもの、好きな動物 →好きな物を書くのが無難で、実際に多い。
・自分のあだ名
・出身地がらみの一言 
・部活がらみの一言
・好きな格言
・性格、特徴、得意な教科がらみ、いろいろ。

数字は、語呂合わせや、好きなスポーツ選手と同じ背番号など。でも、野球部の子は17、バレー部の子は14などは避ける(偉大すぎる選手と重なるから、おそれおおいそうだ。文化部の子はあまり気にしないそう。でも茶道部にアスリートがたくさんいたり、帰宅部で実は外のチームで何かしている子もいるからいろいろとのこと)。

知り合いのお子さんに聞いたところ、1年生は自己紹介も兼ねていて、今後の学生生活を背負うわけだから、悩むそうだ。
面白いことを書けた人は勝ち。みたいなルールかというと、そうでもない。自虐ぎみなのがいいのかというとそうでもない。
ジョンくんなどの仮名でもOK。
往復2.5時間チャリ通学、とか、アイスティーざんまいとかでもOK。

スマホで調べると、考えるのが面倒な人向けのヒントが満載のサイトもすでに複数存在しているので、需要はあるのだろう。無理やり自分をどこかに当てはめるのかな。

学校内で、知らない人の背ネームをじっと見たりはしない。何だろう?と気になっても、失礼なので最初は見て見ないふりをする。

学生時代にせっかくだからTシャツは作りたい。
でも、まったくお揃いは窮屈。
だから微妙にカスタマイズがしたい、ということなのかなあと思う。
不思議な世界だった。
そのうちQRコードに進化したりして。



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